ナナとワタシ
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2003年08月05日(火) |
嫉妬と葛藤とやさしさと |
ナナにはやさしいパパがおります。 それはそれは、大切にされております。甘やかされております。 「パパでなければ、あたしと生活できないよねー」とナナは言います。 ワタシもその通りだと思います。
そりゃ、ナナとパパにだって、問題がないわけではないですよ。
パパ、実はナナと笑いのツボなどがビミョーにずれている感があります。 考え方・価値観などもちょっとずれてるかもしれません。 このへんはワタシの方がパパよりナナと相性が良いでしょう。
しかしまあ、そんなことはどーでもいい、と思えるくらい、ナナとパパはバッチリの相性です。 良い夫婦です。 ワタシがヤキモチ妬いたりするのは、まったくの筋違いです。 そもそも、ナナはワタシのものでもないし、ワタシは自分の気持ちすらナナに伝えておりません。
ナナはパパのもの。 「のもの」という言い方にいろいろ問題があるのは承知しておりますが、でもまあ、この二人の場合、この表現がピッタリ来ると思います。
ヤキモチなんて妬かないもんね。そんな権利、ないもんね。
とまあ、とにかく、ワタシはそのことを常に大前提として、ナナと友達づきあいしているわけです。
などという、能書きというか、自分への注意書きが全部頭からすっ飛んでしまうようなことがあるんですね。
上記の長いマクラは、ひとつの伏線と思っていただきですね。
ひとまず置いといて。
月曜日、ナナに誘われて、日帰り温泉小旅行に行ってまいりました。 片道2時間弱くらいの温泉宿で、お部屋を借りて、ゆっくりと温泉を楽しもう、という趣旨です。 「ご休憩」というやつですね。 この言葉、なんだか恥ずかしいんですけど。
温泉に入る前に、部屋でちょっとのんびりしましょうということになり、ナナが 「本でも読もうと思ってたのに、持ってくるの忘れたー」と。 「余分に持ってきたよ」 「ホント?何?」 「これ、昨日買ったんだけど、超おもしろかった。ナンシー関の『記憶スケッチアカデミー』」
ぱらっと見せたら、本に載っている、奇妙なイラストの数々に食い付いてきたナナ。
「なにこれおもしろーい!」
もう夢中。
ワタシなんていてもいなくてもいい感じで、ひとりで「ふふふふふ」「はははははははっ」 「おかしすぎるよこれー」と涙しながら笑いまくりで。
ゆうべ、きょんとやはり涙を流しながら一緒に読んだときは、ソファに並んで仲良く笑っていたのですが、今日はテーブルはさんで向かい合って座っているふたりですので、ワタシはひとりぽつんと残される形に。
それでも、ナナが楽しそうに笑ってる姿を見ていると、こっちまで「ふふっ」とか「ははは」とか非常におかしくなりましてね。 ワタシ、もともと「もらい笑い」がすごく得意なんですが、相手がナナだと、もう、一人取り残されていようがなんだろうが、笑顔が嬉しくて、もらい笑いの嵐でございます。
「この人、天才だね」とナナ、ナンシーを褒めまくり。 「うん。天才だよ。死んじゃったけどね」 「死んじゃったのかー。惜しい人をなくしたね」 「まったくね」 「この本、あたしも今日買って帰るー。長女とかは大笑いして読むだろうな」 「長女ちゃん、好きそう」 「パパにはこのおもしろさがわかるかなあ」 「わかるでしょ」 とは言ったものの。 どうかな。
(パパは結局、いまいちおもしろくなかったみたいです)
なんてやりながら、相変わらず替わりばんこに、ナナもお風呂に入ってきまして。
戻ってきたら、開きの大きい、白いタンクトップ。
わお。
露出度アップ。 首と肩が出ましたよみなさんはぁはぁ。
ていうより、本日の目玉は胸です。
でかいじゃんいつもより全然。今日の胸。どうしちゃったの。
たぶん、ナナ、ちょっと太ったせいだと思うんですけど。
まずいですねえ。 視線がどうしても胸に。 やめようやめようと思っても胸に。 危ない橋だぜそれ以上はやめときな自分、と思っても胸に。
なんだかこんなに悶々とというかムラムラとしてしまったの、すごく久しぶりなんですが。 困った困った困った。
もともと、淡泊なはずなんですけどねワタシ。 たぶん。 いや、他の人のことよくわかんないんですが。 「気がついたら押し倒してました」なんてことはしたことないんですが(フツウしませんかそうですか)、この日は気をつけてないとなんだかまずいことになってしまいそうなくらい、くらくらと。
いっそ見えてしまえば目をそらせるんですけど。 ダイレクトな刺激には弱虫なじょりぃですからね。 でも、見えそうで見えない、という感じですとね、見よう見ようとしてしまう、人間の心理の摩訶不思議。 って、おおげさですねワタシも。
とにかく、落ち着こうじゃないか。自分。
なんて思ったところへ、末子ちゃんからナナの携帯へ電話が。
「次女とケンカして泣きながら電話してきたんだけどさ、ママだけじょりぃちゃんと出掛けてずるいって怒られたー」と。
子供の名前が出て、現実に引き戻されるじょりぃ。
というわけで、温泉では、相変わらずもちろん当然案の定、何の進展もございませんでした。 もはや報告するまでもないと思いますが。 それでも道中は、そこはかとなく良い雰囲気のふたりではありました。 気のせいだよと言われれば何の反論もできない程度ですけれど。
ナナ宅へ戻ってからは、罪滅ぼしのために子供たちと遊び倒すじょりぃ。 次女ちゃんからも「ママだけじょりぃちゃんと遊んできてずるい!」と怒られておりましたのでナナ。
この日はとても蒸し暑くてですね。 おかげさまで、夜遅くなってから、ナナはふたたびタンクトップ姿に。 じょりぃ、色めき立ちます。 子供もパパもいるんだから落ち着こうよ、と思っても、視線は胸へ。
ワタシは子供たちと床に座って、「記憶スケッチアカデミー」のマネをして子供たちとお絵かき。 ナナはソファに座っています。 そうすると。
胸より下の位置から胸を見るって、なんだかいやらしい造形なんですね。 しかもやっぱり、今日はなんか大きいぞ胸。 ズルしてないか? 非常に薄い胸板と、下から見るとことさら盛り上がって見える胸の、対照的なコントラスト。 あ、かがんだ。ナナのそんな谷間、見たことないぞ。 あ! もうちょっとで全部見えちゃいますけど。わお。 困った困った思いながら、ちらちらと盗み見を続けるじょりぃ。
気がついていたんじゃないかと思うんですが。 ふと気付くと、顔見ないで胸見て会話してたりという愚かさを披露しておりましたので。
落ち着けよじょりぃ、と思われるでしょうね。 ワタシだって落ち着きたいんですよ。 でもコントロールできないんですよ。 今日のナナの胸はエッチなんですよ。 第三者からそれをみなさんに証明してほしい。 誰かいないか誰か。
なんて思っていたらですね。
証明してくれる人がいらっしゃいました。
子供たちと遊び、すっかり遅い時間になり「じゃあ帰るね」と立ち上がり、ナナも見送るために一緒に立ち上がって玄関に向かって歩き始めたとき。
パパの様子がヘン。 なんか、ビミョーな顔してニヤニヤしてるんですよ。
「なにパパ、その顔。 どしたの?」とナナ。 「ん? いや別に」とパパ。 「なんかヘンに嬉しそうだよ。なんで?」 「んー?」 ビミョーにニヤニヤ。ニヤニヤしないようにしようと思ってるのにニヤニヤって感じ。
「心がここにないとか? 他のこと考えて嬉しそうにも見える」とワタシ。 「んー?・・・ていうかさ」とパパ。 「なに?」とナナ。
「そのタンクトップ、 いいよなー」
え?
パパ! 見るな! こら!
ナナ「は?」 パパ「なんかいいよ、そのタンクトップ着るとさ。 胸が、なんかね。 ママ似合うそれ」にまー ナナ「何言ってんの?」 <わざとつっけんどんに じょ「何を嬉しそうにしているのかと思えば」 <平静を装うじょりぃ ナナ「パパ、やらしー(笑)」
ワタシもやらしーんですよ、ナナ。 ねえねえっ。 ワタシもずっと見てたんだよ、胸。 ねえ。 そんなこと気付かれたくないはずだったのに、言ってもらえないというか、気付かれてさえいないかもしれない自分がなんだかですね。
ここで冒頭の能書きを思い出してください。 そうです。 日頃より常に思い続けているはずのあれらが、全部頭からすっ飛んでしまったじょりぃ。
ヤキモチなんて妬かないもんね。そんな権利、ないもんね。
って思ってたの、誰!?と、自分の胸ぐらをつかんで揺さぶりたくなるほどの、ものすごい嫉妬心に体中支配されてしまいまして。 小さい小さい虫が、心臓と、手足の先までざわざわとうごめいているような、あの、イヤな感じ。
本日の嫉妬心も本日の「悶々」同様、久々のコントロール不可状態。 なんだいあれくらいのことで、ふっ、と、自分に言い聞かせてみるも、効果なし。 生理前でもないのにな。 でもだってそうだよ、ものすごく好きなんだもんなナナのこと。 考えないようにしてたけどさ、なんて考えてみてしまったり。
なんだこのキモチ。 濡れた半紙に薄い墨汁をたらしたときのように、かなしいようなくやしいような感情がにじんでじわじわ広がっていくような。
玄関で靴を履きながら「パパ、ニヤニヤしてると思ったらあんなこと考えていたのか」と、ふたたびぼそっと口にしてみるじょりぃ。 「ホントだよねー」と、なんでもなさそうにしてるナナ。
「ワタシも同じ事思ってたんだよ。そのタンクトップ」
車まで歩く短いあいだに、何度も言おうとして、でも言ったらやっぱりヘンだよと葛藤したこのセリフ。 結局言えないまま車に乗り込むワタシ。
「気をつけてね」 「うん」
車を切り返しているうちに、いつの間にか次女ちゃんがナナの横に立って。 暗い中、手を振る二人に手を振りながら、走り去るじょりぃ。
では終わりにならず。 気持ちは治まらず。
嫉妬心と、やるせなさで、運転しながらどうにかなりそうでですね。 今日、パパはあの勢いで、ナナに★△×☆○?@なんてことまで考えてしまいまして。
イヤだイヤだ。 イヤだよう。 今日はふたりででかけてきたのに。 楽しく仲良くしていたのに。 どうしてもそれだけはイヤだ。今日はイヤだ。
自分的に、ものすごくホントに久しぶりの駄々のコネ具合。 良くない種類の過剰なエネルギー。負の激情。
イヤだって言ったって、どうしようもないんだから。 こんな気持ち、今日が初めてじゃないんだから。 と自分をなだめてみるものの。 効果なし。 ゼロ。 無効。
いいじゃん。 じゃあ、正直にそれを伝えてみるべきなんじゃないの?という声も聞こえ始め。 ナナだって、「何でも話してよ」って、いつも言ってるんだし。 自分の気持ちや感情を話さないワタシに不満すら持っているんだし。
「今日パパがその気になっても、そーゆーことはしないでほしい」って伝えてみてしまおう。
でも電話じゃとても言えない。 「なんで?」と突っ込まれてもそれ以上の説明は今のワタシにはできない。
じゃ、メールしてしまえ。 「なんで?」ってことになったら「深い意味はなかったんだけど」とか「4人目できちゃうって予感が」とか適当なことを言ってしまえ。 それにしても適当すぎるけど。特に4人目発言。
でも、携帯メールは、現在ナナと長女ちゃんと次女ちゃん3人の共有なのでありました。 さすがに見られちゃまずい。 ナナ宅にはパソコンがないため、メールと言えば携帯しかないのです。
運転しながらナナに電話。
「もしもし?」 「あ、じょりぃちゃん!どうしたの?戻ってきてくるの?」 次女ちゃんだ。 「うーんと、じょりぃちゃん、忘れ物しちゃったんだよ。ママに代わってくれる?」 「なんだ・・・・ママか・・・・いいよ・・」 あ、さびしそう。 「次女ちゃん、ちょっと待って! もしもし?」 「 もしもし? どうしたの? 忘れ物?」あ、ナナだ。 「あのさ、 ええと ちょっとメールを送りたいんだけどさ」 「うん」 「見られたくないんだ。子供たちに」 「あ、はい」 「でも今運転中だから、すぐには送れないんだけど」 「わかった。じゃ、待ってるから」
電話を切って。
でもこれ伝えてしまったら、事実上の告白になってしまうんだろうか。 それに、ものすごくさしでがましい。 夫婦のことに、なぜワタシが口出しできるのか。
でもパパがナナの胸に手をかけているところを想像すると、行き場のない負のエネルギーが体の中で膨張。 言わなきゃ。 こういうことは、逃げずにきちんと対処するんだ。がんばれじょりぃ。
・・・・・・・・でもやっぱり、すごくさしでがましい。 これって、ワタシひとりの感情の問題だ。 でも今日パパがナナに・・・って、バカな想像するとたまらない。 でもナナとパパには、ワタシのこの感情はまったく関係ない。 逃げずに対処するって、この場合、どうすることが正しいことなんだろう。
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいよう。
でもイヤなもんはイヤだ。 たまにはそういう感情をぶつけたっていいんじゃないのか。
結論が出ないまま、家に着き。
携帯を手に。 沈思黙考。
よく考えるんだじょりぃ。 早く考えるんだじょりぃ。 ナナが待ってる。
決まった。
携帯をぴぴぴぴと打ち、送信。
"ごめん。やっぱ、なんでもない。お騒がせしてすみません。"
ゴメン。 ひとりで大騒ぎして。 落ち着いて考えてみれば、まったくもってワタシが口を出せることではなかった。 告白すらしてないのに。 どうかしてた。
すぐにナナから返事が。
"どしたの? 気になるじゃん。"
"そうだよね。ごめん。落ち着きを取り戻したら、あまりにも意味不明なことを伝えようとしていたことに気付きました。頭がおかしくなっていたんでしょうきっと。子供たちに関係することではないから安心して。"
何か子供たちのこと?と思わせてしまうと、ナナがまた心配の塊になってしまって気の毒ですから、それだけは伝えておかないと。
"どしたの、大丈夫? 電話入れた方がいいですか? 私の方こそ帰り際に何か気に触るような事を言ったかな?"
"いや、そんな気に触るような事なんて全然ないです。本当に超個人的感情なことで。しかも、怒ってるとか傷ついたとかでもないので、気にしないで。ごめんホントに。"
ここでナナからの返事もストップ。
せっかくの小旅行だったのに、やるせない気持ちになってしまったワガママじょりぃであります。 もしかしたら今頃ナナとパパは・・・なんて考えると、もうホント、いろんなものをしばき倒したくなります。 じょりぃのバカ。 パパのバカ。 ステキなタンクトップのバカ。
そして、 ナナ、ゴメン。
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と、ここまで書いて、朝の4時をまわってしまったのでちょいと寝たんですが。 それにしても、ワタシも元気ですね。 前の晩もろくに寝ていないというのに。
なんだか最悪な気分で目が覚めまして。 嫉妬心はもう自分の中である程度決着をつけたので落ち着いていたのですが、それをナナにぶつけようとした自分の甘えに対してかなりの自己嫌悪が。
なにやってるのかなワタシ。せっかく休み取って楽しんできたのに。自分でぶち壊したー。 なんて思いながら仕事部屋に入って、携帯を見るとメールが着信されておりました。
ナナからです。 どうやらゆうべのうちに送ってくれたらしかったのですが、着信が大幅に遅れたらしく。
"そうか。本当に今日はありがとう。楽しかったし、くつろげたけど、実は家に帰りたくなかった。なんでかな?"
泣くのをガマンしているときにできるような、熱くてせつない塊が。胸に。
このメールは「ナナが伝えたいから」送ってきたメールでなく、ワタシのために送ってくれたものだと思います。 ゆうべ「頭がおかしく」なっちゃって、自分の勝手で意味深なことを言ったにもかかわらず、自分の勝手で伝えるのをやめたワタシのために。 責めるでもなく追究するでもなく。 ナナにしてみれば、放っておいたってよかったのに。
「なんだかんだ言って、ナナがいちばんやさしいよね」というきょんのセリフをが頭をよぎりまして。
たぶん全部わかってるんだろうな。 ワタシの気持ちも。 ゆうべ言いたかったことも。 特にこのメールは、ゆうべのフォローをしてくれているような気がしたのです。 ワタシがそれらを伝えられないのもわかっていて、でももうちゃんと引き受けてくれているんだ。たぶん。 ナナのワタシに対する気持ちはまた別のこととして、でもワタシのナナに対する気持ちはワタシの勝手で伝えないまま、それでもわかってくれよ、そして何も壊したくないんだよというところまで、全部引き受けてくれているような気が。
それは受け手にとってはとてつもなくやっかいな代物だと思うのだけれど。
なにはともあれ、昨夜は茶化したりはぐらかしたりしないで、ちゃんと相手をしてくれてありがとう、ナナ。
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