ナナとワタシ
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「あーーーーー。 蒸発したい」
出たー。 久々。 ナナの「蒸発したい病」。 長女ちゃんのことで煮詰まっていらっしゃるようで。
「すれば」
「しちゃっていいのかな。2〜3日でいいんだけど」
「いいんじゃないの。騒ぎになるだろうけど」
「なるのか。やっぱり」
「何もわからずいなくなっていれば、蒸発よりも誘拐とか殺人とか考えてしまうだろうから、警察に届けられてしまうと思うよ」
「そうか。じゃあ、書き置きを残せばいいのかな。『探さないでください。心配しないで』とかなんとか」
「うん。まだその方がお互い安心だよね」
「2日くらいで帰ってきちゃったりすると、案外『もう帰って来ちゃったの? ゆっくりしてくればよかったのに』とか言われちゃったりしてね(笑)」
「(笑) あるかもね。キミんちの場合」
「そんなに気楽ならしちゃおうかなぁ」
「でもそれ、どっちかというと家出だよね。10代仕様の」
「そっかー。 じゃ、やっぱりもっとちゃんと蒸発しよ」
なにが「じゃ、やっぱりもっとちゃんと」なのかわかりませんが。
「してもいいけどさ。ワタシには行き先を話していってね」 心配でたまりませんから。
「やだよー」
「なんで」
「だって、教えちゃうでしょ?家族に」
「教えないよ」
「子供にぼろぼろ泣かれながら『じょりぃちゃーん、ママがいなーい。どこに行ったかホントに知らないの?』なんて言われれば、コロッと話しちゃうと思うよ(笑)」
「話さないよ(笑)」
「じょりぃじゃ、子供たちに泣かれて甘えられちゃえばイチコロだよ。絶対」
「ワタシには子供たちよりママの方がかわいいから、キミが望むなら話さないよ」
「・・・・・・。 なんだそれ?(笑)」
やった。
一瞬ひるんだ。固まった。 じょりぃ左ジャブ有効。 めずらしく。
「まだこれから仕事するの? もう寝れば?カラダによくないよホントに」
さんざん自分の電話につきあわせておいて、これです。
「ん。もうちょっとするけど。 心配いりませんので」
「仕事、やめちゃえばいいのに」
「きょんと同じ事言ってる(笑)。やめた方がいいのかな、今の仕事」
「もっと楽な仕事にして」
「ないよ。そんなもの」
「仕事好きだねー」
「キライだよ。 あー、 ワタシも蒸発したいですもう」
「じゃ、一緒にしよ(笑)。蒸発」
「一緒じゃヤなんでしょ」
「なんで? あたしが?」
「前にそう言ったよ。蒸発するなら一人でしたいって」
「そうなのか。 いいよ。一緒でも」
「じゃ、しよう。一緒に。いなくなろう」
「そんなこと言って、半日とかで帰りたがるんじゃないの?『やっぱ仕事が気になるよー』とか言って(笑)」
「そんなことないよ(笑)」
「ふうん。 じゃ、蒸発したまま、帰ってこなくてもいいの?」
「いいよ」
「・・・・・・・」
「自分がそうできないくせに」
「できるもん」
「『子供が心配だー』で、それこそ半日くらいですぐにギブアップさ」
「そうかも(笑)。それは避けられないよねどうしても」
「蒸発できないね(笑)」
「できないみたいやっぱり(笑)」
「蒸発したい病」、無事に治まったようです。
途中、駆け落ちの相談のようでうっとりくらくらしましたが、 このあと「パパのやさしさ」についてきっちりと聞かされたじょりぃでございます。
わはははは。 ナナてめえどういうつもりだなんて思ってませんよわははははははは。
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