ナナとワタシ
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昨日、ナナと「温泉どこに行こうか」の電話をしまして。
「また鄙びたところがいいの?」とワタシ。 「今度は違うのがいい。でもあまり料金が高いところはダメ」とナナ。
ふうん。難しい。 電話だとなかなか決まらないんです。 ナナが「るるぶ」を見て「○○は?」と温泉地名を言って、ワタシがネットでしらべ、その様子を伝える、という、非常にじりじりする作業を繰り返しまして。 ワタシはどこだっていいんですよ。 いろいろ考えるのがめんどうですし。 要は携帯のつながらないようなところに行って、仕事のことを忘れたいと。 ただそれだけです。
ならひとりで行けって言いましたか。
だってアナタ、ひとりで行くのと、気まぐれで自分勝手でマイペースでムラッ気があってさっき機嫌良かったかと思うと今はムッツリしているような人と行くのと、どっちが気が休まると思うんですか。
ひとりですよね。 論旨展開を間違えました。
おまけに仕事持って行くんですよワタシ。
だとしたら、おまえ考えてることはヨコシマなことだけなんじゃないのって言いましたか。
違いますよ。まさか。なにヨコシマって。
ひとりで自問自答するのも飽きてきたので次へ進みます。
で、なかなか決まらない。 なぜなら、ナナがぐずぐず言うからです。 「じゃいいじゃん。そこで。決まり」とワタシが言えば 「あーーーーーん待って待って待って。××ってところも調べて」 「んーっと。・・・・・・と書いてある。良さそうだよ」 「いいねそこ。行きたーい」 「じゃ、ここで」 「あーーーーーー待って待って。やっぱ料理が気に入らない。肉ばっかじゃん」
これの繰り返し。 決まりません。
「△△というところ、るるぶに載ってる?」とワタシ。 「ああ、載ってるよ。 あのね、ビミョーにラブホテルっぽいよ」 「え」 「そこがいいの?」 「別に。聞いてみただけ」 「ラブホっぽいところが気に入ったの?(笑)」 「違うよ!」 「じゃあそこに泊まって温泉気分とラブホ気分、両方味わおうか」 「いいけど別に」 「あたしはイヤだな」 「 あそ」
このやろう。
「いっそペンションとかにしちゃう?」とナナ。 「ペンション〜〜〜〜〜〜?」 ぞわ。 「なによ」 「メルヒェンな名前でなくて、マスターがオーバーオール着てなくてパイプくわえてなくて口ひげはやしてなくて、みんなで歌ったりしなければいいよそれでも」 「きゃはははははははは歌うよきっと暖炉の火を囲んで」 「かんべんしてー」 「ないって、今どきそんなところ。名前はまあ、ヤバイのが多いけど」 「気恥ずかしい」 「気恥ずかしいと言えばさ、部屋がせまいんだよペンションて」 「え」 「ベッドの上しか居場所がないようなさ」 「え」 「すごい手持ち無沙汰だよね。 温泉もないわけじゃん。狭いし。何してればいいの、ベッドの上で」 「と トランプ?」 「いたたまれないね」 「う、うん。いたたまれない」 「じゃ却下だね」 「う、うん」 「でも料理は意外とおいしいんだよ」 「じゃペンションにする?」 「でもさー、ベッドが小さいんだよねけっこう」 「 ふたつあるんでしょちゃんと」 「あるよ。あたりまえじゃん(笑)」 「 ( ゜▽ ゜)(笑)」 「じゃあやっぱり温泉ですね」 「そうですね」
そのうち候補がふたつに絞り込まれてきまして。 ひとつはお風呂がふたつ、ひとつはお風呂がひとつ。 雰囲気的にはお風呂がひとつのところの方が良かったのですが。
「お風呂は、今回も別々ですか」とナナ。 「は、はい。別々で」 「時間もったいないなー」 「・・・・・・・」 「一緒に入る?」 「え」 「見ないよ。じょりぃのことなんて」 「わかってるけど」 「入ってみる?」 「う」 「はいってみてしまえばなんてことないかもよ」 「う・・・・じゃあはい、 はい、 はい、 どうしよう」
どうしよう。 でも無理だよー。
「あたしとしてはさ、お風呂がすごく長いからさ」 「うん」 「なんか、ひとりでぽつーんという時間を、じょりぃにムダに持たせてしまうと悪いかなと思って」 「それは大丈夫だよ」 「でも時間のムダだよー。別々に入るのって」 「そうなんだけど」 「一緒でいいじゃん。せっかくふたりで行くのに、ひとりの時間を増やしてももったいないよ」 「うん・・・・」 「あ、でも、ひとりの時間がほしいのか?じょりぃは」 「別にそういうわけじゃないけど」 「・・・・・と、いろいろ言ってみましたがどうでもよくなってきました」 「そうですか」 「ていうかさ、お風呂ふたつある方にすればいいんだよね」 「そうだね」 「じゃ、そっちで決定」 「はい」 「予約しておいて」 「え? ワタシがするんですか」 「あたしがするの?」 「いや、ワタシです」
立場弱いなワタシ。
でも結局「仕事が忙しいんでしょうから」と、ナナが予約してくれまして。 今朝「取れたよ」と報告が。
「次はたぶん来年になっちゃうから、大切に過ごしましょうね」 と言ってくれました。
というわけで、お風呂は今回も別々です。 せっかくナナが「一緒に」とふってくれたのに。
ふがいないワタシ。
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