ナナとワタシ
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みさなま、間違えました、みなさまこんばんは。 別にもう知りたくもないとは思いますが、「温泉宿の夜・詳細編」をお送りいたします。
宿は確かにひなびておりました。 さすがは「日本秘湯の会」会員。
3000円ケチって旧館に泊まったら、各部屋に洗面所がないんですわ。すごいですね。 「合宿所」って雰囲気の共同のボロいステンレスの流しで歯を磨いたり顔を洗ったりするんです。 なんかそういうのも、懐かしい感じで楽しかったです。 洗練されて何でもそろった不自由ない宿をご希望の方には「ひえ〜」という感じかもしれませんが、ワタシたちのように「ひなびててほしい」というコアなユーザーには、なんか不自由があるたびに「おお!」という感じに楽しめておもしろかったですよ。
「本、持ってきてくれた?」とナナ。 「自分の分だけ」 「あたしのも持ってきてって頼んどいたじゃん!」 「だって、何持ってきたってきっと『んー、ちょっと違うんだよなあ』とか言うと思ったから、持ってこなかった」 「何それー。もう気がきかないなあ」 何様だおまえ。 「ワタシ結局仕事持って来ちゃってそれやってるから、ワタシので良ければ読んでていいけど」 「うん。貸して」 ということで、本を渡したんですが。
ナナのことばは 「宮部みゆき? こないだ借りた『堪忍箱』、つまんなかったー」 「なに?!」 「なんか、終わりがあるようなないような、もやもやが残るような話ばっかでさー」 「そういうのを楽しむ本なんだよ、あれは。ある程度、読者に委ねて終わるわけだ」 「やだよー、そんなの。 ハッキリしてほしい。 これもそういうヤツ?」 「まだ読み終わってないからわかんない」 「えー?」 「読まなくていいよ。返して」 「やだ」
最初からおとなしく読みやがれこのやろう。
ワタシは仕事と言っても単純作業だったため、すぐ飽きてしまひました。
「飽きた」 「やっちゃいなよ。本は返さないよ(笑)」 「んー、わかった」
またちょっとやっては窓の外見に行ったり、ナナ眺めたり。でもまた飽きる。
「飽きた」 「なんだ、あと半分くらいじゃん。やっちゃいなよ。あとちょっとじゃん」 「んー、わかった」がんばるじょりぃ。 「やったー。終わった」 「・・・・」 「終わったんですけど」 「よかったね」とだけ言って、本読み続行のナナ。
本返せ。
「退屈だ」 「・・・・この本、おもしろいね」 「それはよかった」 じゃあ今日はワタシは本読めないということですねそうですか。 「じゃ、お風呂行く?」とナナ。 「それなら分担を決めなければ」 「分担?」 「どっちがどのお風呂に、どのくらいの時間入っているか決めないと。鍵の都合もあるし」 まるで仕事です。ビジネスライクに温泉につかるじょりぃ。 「なるほど(笑)。じゃあさ、まずはふたりで両方のぞいてきて、様子を見て決めない?」 「うん」
風呂をのぞく二人ですよみなさん。出歯亀です。
ということで、支度して二人でお風呂へ向かう。 風呂の話なんてどうでもいいですよね。なにしろ別々ですからね。 どうしてもというなら言いますが、湯船付近に巨大グモが出て怖かったです。おわり。
で、お風呂済ませて、部屋でおしゃべりして、なんとなく手持ちぶさたになる二人。
「露天に行く途中に、休憩所みたいのがあったのわかる?自販機とかあって、ちょっと座れるとことかもあったんだけど」とナナ。 「休憩所?いろりのあったところ?」 「ううん。外」 「はて?」 「そこがね、なんか感じよかったんだけど。行ってみない?」 「うん。行こう」 ということで、ふたりで宿の丹前着てその休憩所へ。なんだか嬉しいじょりぃ。
「寒い!もうすぐ7月なのにー」 「寒いね」 「でものどが渇いた」 「何飲む?」 「あたし、お金持ってこなかった」 「持ってきたよ」
ワタシは飲みたいものがなかったのでというかもうすぐビールの時間なので飲まないことに。 「じょりぃ、飲まないの?」 「うん」 「あたしの、ちょっと飲む?」 「いい。いらない」
ナナ、ちょっと飲んだ後「飲む?」ともう一度聞いてくれる。が、恥ずかしいのでやはり辞退。 間接キスになってしまうじゃないですか。なんて子供みたいなこと思いませんよもちろんうわああああ。 世の中恥ずかしいことだらけ。
いわゆる「くれっこ」をワタシがいつも辞退するので、ワタシのことを「人の口つけたものは口にしない」という神経質なヤツだと思っているらしいナナ。 神経質だから断るわけじゃなくて、ひたすら恥ずかしいだけなんですけどね。それも恥ずかしくて言えないのです。
けっこう雨降ってるねーなんて話しながら、ナナは一服。 ふたりで並んで座ってぼーっとしまして。雨眺めながら。 もちろん離れて座っております。じょりぃはアタマがおかしいですから。 そのうちナナの「寒い」病が出たので部屋に戻ることに。 ほどなくして仲居さんが来て「ちょっと早いんですが、お食事持って来ちゃっていいですか?」と。 そう、ここは部屋食だったんですよ。ふたりっきりでまたーりでございます。
お料理は全体的に薄味で二人好み。 食事が来たときに「ごはんがほしくなったらいつでもフロントに電話して下さい。炊き立てをもってきますから」と仲居さん。 「あたし、今すぐごはんがほしい(笑)」 いい勢いですね。 「じゃ、頼む?」「じょりぃは?」「ワタシは飲むから」「あ、そっか。ビール出そう」
ナナはほとんど飲まない人なので「どうする?」と聞くと「せっかくだから、1杯だけいただこうかな」ということで、おつぎするじょりぃ。とくとくとくとくとくとく。 乾杯とかありがちなことはお気に召さないかもーととまどっていると「んーと、乾杯しよっか」と言ってくれたので「かんぱーい」。 なんかいたたまれないほど恥ずかしかったのですが。乾杯って。
結局ナナは5分もしないうちにご飯を頼みまして。腹減ってたんですね相当。 「ホントに炊き立てだー。特別いいお米ってわけではなさそうだけど(<一言多い)おいしいよ。じょりぃも食べる?」 「んー、どうしよっかな。飲んでるとお腹きつくなっちゃうしな」 「だったら先に食べれば? せっかく炊き立てだしさー、飲むのは後からいっくらでも飲めるじゃん」 「ん、わかった」 「よそりましょうか?」 「いいです。自分でやります」もごもご。
「ね?おいしいでしょ?」 「うん。おいしい」 「これとごはん、一緒に食べるとおいしいよ」 「うん。 もぐもぐもぐホントだ」 「こっちもおいしかったよ」 「ん。 むぐむぐむぐホントだね」 しきるナナ。 リモコン人形と化すじょりぃ。もぐもぐ。
ナナはお酒に弱いので、すぐに顔が赤くなっちゃうんです。 なんというか、こういう「コントロール不可」状態の彼女を見ると、申し訳ないような気持ちになってしまうじょりぃであります。 「かわいい!」とか思う前に、なんか「すまんすまん。そんなとこ見ちゃって」と思ってしまうわけです。 なのでいつも無理にはお酒勧めないんです。「酔う前に気持ち悪くなる」とか言うし。
食べ終わって、お風呂に入る前にちょっとアルコールを抜きましょうということで一休み。 「テレビつけていい?」とナナ。 「うん」 「テレビ、嫌いなんでしょ?」 「音が大きくなければいいよ」 ふたりでどうでもいいこと話しながらテレビを見る。
ここで、「好きな人と実際に結ばれる人って、違うよね」という話が出たわけです。 (by「温泉宿の夜」)
で、またお風呂入りに行きまして。 今度はワタシが露天で、まさに「つかるだけ」なので鍵はやっぱりワタシ。 ライトアップされた緑と渓流を眺めながらお湯に入り、しかしとっとと出てくる。酒入ってるし。 部屋でナナを待つ。
遅い。
そろそろ1時間。お風呂でダウンか?お酒飲ませちゃったし。なんて考え始めるじょりぃ。 そわそわしながら、様子見に行った方がいいかなとか思い始めたところでノックの音。
「なんで鍵かけないかなー。キケンじゃん」とナナの声。 ふすまを開けて、にこっと顔だけ出したナナ。
今度は洗い髪。濡れてる。色っぽい!かわいい! テンション急上昇のじょりぃでございます。
でも平静を装って「遅いなー。倒れたのかと思った。様子見に行こうかなと思ってたところさ」とクールに決めるじょりぃ。 もちろんホントは全然決まってませんが。 「よく言われるんだー。あたし、ホントにお風呂長いんだよ」 白いTシャツに部屋着用のパンツで帰ってきたナナだったのですが、お風呂道具を片づけた後、お風呂の話をしながらなんとTシャツを脱ぎ始め!
わお。
と思ったワタシは目をそらしたんですが、頃合いを見計らってナナの方をちらりと見てみたら、なんてことない、下に白いタンクトップ着てました。 期待しちゃったぢゃありませんか。もう。
でも奥さん!タンクトップとはいえ、ワタシ的には初めての露出度ですよ! 肩がストラップになってるキャミソールタイプのものだったので、胸から上は総露出。 おまけに洗い髪。 髪を片方にまとめて、首出して「にこっ」とするなー! 首ーー!肩ーーー!<ヘンターーーイ! わかってやってるんじゃないだろーなーって単に彼女は暑いだけなんですが。 暑いならブラも取ってきちゃえばよかったのに、しっかりつけてました。 気がきかないなあとはこういうことを言うのだよナナ。 そのカッコの間はナナ、あんまりこっちを見なかったので、おかげさまでワタシはちらちらながら、ゆっくり見ることができたのですが。
・・・着やせするんだ。 意外。
やっぱ、中学の時と違うのです。あたりまえなんですが。 なんか、今のが肉付きいいんですが、それがまたちょっぴりエロいんですね。 中学の時は骨っぽかったのに(上半身は)。肩なんかガリガリに角張ってたし。 でも目の前のナナの肩はやわらかいラインになってて、なんか知らない人みたいな。 背中も見えまして。じょりぃより薄くて広い背中でございます。 ちょっと男の人に感じるのに似たドキドキも感じたりして。 ああ、幸せ。 もうこれで満足。今日はもうこれでオッケー。ごちそうさまでした。なむー。 ていうか、逆に距離を感じてしまいまして。パパのもんだあれはー、なんて。そんなのあたりまえなんですけどね。
しばらくその格好でいたナナだったのですが、20分くらいしてTシャツ着ちゃいました。ちっ。 一気に細く見える。不思議ー。ひとまわり小さくなっちゃった。 ワタシならTシャツの下にタンクトップ着たら、逆に太って見えますけどね。
で、テレビ見たりおしゃべりしたりしてたんですが、ワタシ的にはなんかこう、もじもじしてばっかの自分がちょっとイヤになってきてしまいまして。
何もおそれ多い行動をとろうとは思ってないんですが。逆にいつもけっこうな距離を置いて位置してしまう自分。 それは心のやましさを隠すためにかえってそうなってしまうわけですが(たぶんそうだと思います)、せっかく一緒に泊まってるんだし、もうちょっと親しげに振る舞ったっていいんじゃないのか?なんても思ったりしたわけです。 ちょっと隣に座ってみるとか(不自然か)。肩もんでみてやるとか(ちょっとできないな。だいいちナナは肩こり知らずだ)。 なんて考えてたら「酒が足りないのが悪い」とか思い始めまして。酒に頼る自分。ちょっと軽蔑。
ここで「酔っぱらいたいの? なんで?」の会話が交わされたわけです。 (by「温泉宿の夜」)
「いや。別に酔っぱらいたいわけじゃ・・」 「じゃビールでいいじゃん」 「うう」 「飲めば?」 「(あうあう)・・残ってたの、500mlだったでしょ? あんなにひとりで飲めないよ。もうおなかキツイし」 「ふうん」 「ちょっと見てくる」 「じゃあ、あたしも行くよ。新聞見たいし」 「新聞?」 「うん。テレビ欄見たいんだけど、部屋に新聞ないんだよね。秘湯だから(笑)。下に置いてあるの見たんだ」
二人で下へ。 並んで歩くとき、最近ではいつもワタシが右で、ナナが左。以前はまちまちだったんですが。 こんなことがけっこう嬉しいのです。
お酒はビールしか売ってませんでした。 結局ふたりで新聞見て。 そこ「いろりの間」って言って、いろりを囲んで畳の間になっている共同の場なんですが、そこでふたりで一緒にうつぶせになって「自分ち」状態でくつろぎまくりまして。 電気ももう落ちてて間接照明しかついてなくていい雰囲気。 テレビ欄見ながら二人でならんで寝ころんでくだらない話して笑って。幸せ。 露天から上がってきた男の人が二人を見て怪訝そうな顔してました。 あんなところで寝転がって大笑いしてれば無理もないんですが。
部屋に戻ってナナが冷蔵庫開けて「日本酒ならあるじゃん」。 「日本酒は、ワタシ、残っちゃうんだよ。・・・仕方ない、ビール飲むか。一緒に飲む?」 「うん。じゃ、1杯だけ」 意外。絶対断るかと思ったのに。 で、一緒に飲んで。ナナがまた赤くなって。 ナナが赤くなると、ワタシが恥ずかしい。損だ、ワタシ。
このあと、「寝ちゃうの?」「寝ないよ」のアヤシイのかコドモなのかわからない会話があったわけです。 (by「温泉宿の夜」)
そのあと、ナナ、ワタシに背中向けて寝の体勢に。
ちょっとして
「寒い」とナナ。
「寒いの?」と聞いても返事がなく。
「暖房つける?」と聞いたけど、これも返事なし。 まだ眠ってなさそうなのにな。
ワタシは眠れず。
本を読む。 眠れず。
あきらめて電気を消す。ナナが起きちゃったら気の毒ですしね。 でも真っ暗になったら、余計眠れず。あーあ。
で、朝です。ちゅんちゅんちちちち。 「じょりぃは眠れた?」 「眠れなかった」 「やっぱりそうなったか。だから枕と専用タオルを持ってくればよかったのに(笑)」 なんて話をしながら10時ぎりぎりまで部屋にいて、チェックアウト。
女将が「日本秘湯の会」のスタンプシートをくれまして。 1泊で1個押してくれて、3年以内に10個たまるとスタンプ押してくれた宿の中から無料で1泊できるらしいんです。
「あたしは無理だな」とナナ。 「そうかな。また行こうよ。行けるよ」 「・・・うん。そうだね。子供たちも一緒なら行けるかも」 「うん。そうしよう。3年で10個貯めようよ」 「うん」 嬉しい。
しかしちょっと前に「スタンプ貯めるんでしょ。行こうよまたあそこ」と誘いましたら 「え?スタンプ?貯める気だったの?」 「うん。そう言ったじゃん」 「あたしは無理無理。じょりぃ、誰かと行っておいでよ」(あっさり)
ナナのバカ。
あ、でもですね。
温泉行きが決定になりました。 7月のアタマに。 パパや子供たちや体調に余程のコトがない限り、行けそうでございます。
次回はハーレクインロマンスばりのご報告をしたいところでありますが、たぶんおそらくぜったい死んでもそんなことにはならないので、またヘタレぶりをご報告することになりそうです。
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