ナナとワタシ
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前回の「温泉宿の夜」について、「それで、一緒に風呂に入ったのか?」という質問をいただきましたので、お答えいたします。
一緒に入って、洗いっこしました。素手に石鹸で。体と体で。
なんてはずはなくですね。
さて、質問にお答えするのと同時進行で「温泉宿への道程」を語ることができそうなので、そんなもん別に知りたくもないというアナタもぜひどうぞ。
ここで注釈。
ワタシの誰にも打ち明けられないナナへの気持ちをですね、実はまりあがここ1年半ほど引き受けてくれてたんですよ。 ワタシが「ナナとのことを書いていた日記」というのは、まりあ宛に「こんなことあったの」「落ち込んでるの」なんてことを、まとまりのない文章をだらだらと書き送っていたものの控えなんです。 なので、細かいトコまでいちいち覚えていたりするわけなのでございますね。
それにしても、まりあとも真剣につきあっていたワタシだったのですが、こんな後になってから「実はずっと、別格で好きな人がいた」と聞かされ「誰かに話を聞いてほしいから、お願い聞いて」と頼まれたまりあってば、すごい迷惑でございます。 でもこの人はとてもやさしい人でしてね。 「ちょっとショックだけど、ラクになるなら、あたしでよければどうぞ」ということでですね。 もちろん、きょんにもなっちゃんにもナイショにしてくれております。 ワタシの極悪非道ぶりに比べて、まさに聖母まりあ様でございます。 単にワタシのことなんてかまってるヒマがないだけという気もしますが。
注釈終わり。
では、ここから、まりあ宛に送ったものを、名前変えたり語尾を変えたりと世間様向けにしてご紹介させていただきます。
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温泉に行こうよ、と誘い続けるワタシに、ある日
「でも、温泉行って、何すんの?」 と、ナナ。
ぎく。
何すんの? 言われましても。 下心が見えたのでしょうか。 正直に言ってしまっていいんでしょうか。 て、べ、べつに下心なんて。 ワタシには上ずった心しかございませんから。
「え?・・お風呂に入るんじゃ・・」 「お風呂にひたすら入って楽しむわけか」
温泉ですから。
これが一昨年の12月アタマの会話。
それからしばーらくしまして。
「温泉いつ行けるんだろうね」なんて話がまた出てきて。
「子供も連れていけば、いつでもいいんだけど」とナナ。 「ワタシは全然かまわないよ」 「ホントに?」 「うん。でも、ママが休めないよね、それじゃ」 「じゃあさ、二部屋取って、じょりぃと子供で一部屋、あたしで一部屋っていうのはどう?(笑)」 「すごいな、それ。 でもいいよ、それでも。キミが休めるのなら。末子ちゃんのオムツがネックだけど」 「次女ができるし」 「いいよ。なら」 「じゃ、春休み中にでも行こう!それならすぐ行けるよ」
具体的になってまいりました。 去年の3月の終わりです。 結局春休み中は行けませんでした。
5月の終わりごろ、電話で、 「パパが来月社員旅行でタイ・マレーシアに4日間くらい行ってしまうので、あたしこっそり温泉にでも行っちゃおうかなーと思って」とナナ。 「こっそりって、子供たちは?」 そして、ワタシは? 「さて、どうしよう」 「口止めするわけ?」 「んー。したら、後でさんざん脅迫されるだろうね(笑)」 「じゃ無理じゃん」 「おねえちゃんに一日くらいなら頼めるかなあなんて思ってるんだけど」 「なるほど。なら行っておいでよ。のんびりしてくればいいじゃん」
煮詰まってたしな。のんびりしてこい。
6月にパパが社員旅行に行ってしまう話は今までも何度か出ていたんですが、ワタシは「じょりぃ、泊まりに来る?」とか言ってもらえるかなあとひそかに楽しみにしていたのですが(勝手に)。 パパも「じょりぃちゃんに来てもらえば安心なんだけど」なんて言ってくれてたし。 なーんだ、あてがはずれちゃったなとがっかり。
「どこの温泉がいいかなー。ひなびた、景色のいいとこがいいんだけど」とナナ。 「うーん・・・近場がいいんでしょ?」 「うん」 「どこかなあ」 「でも、一人じゃ夜とかつまんなくなったりするんだろうか。寂しくなっちゃったり」 「あるかもね。普段にぎやかなだけに」 「そっかー」 「一緒に行ってやろーか?」 <ちゃっかりじょりぃ 「行けるの?」 「1泊くらいなんとかなるよ」 「それもいいなー。でもあたし、冷たいかもよ。本来一人になりたい旅だから、話をしないでひとりでぼーっとしてるかも」 「私もそうしたいからその辺はかまわないけど」 「ホント?じゃ、一緒に行こ」
やったーーーーーーーーー!
そのあと、場所をどこにしようかといろいろおしゃべりしまして。
「あたしはとにかく、山があって川があってひなびたとこがいいんだけどなー。ホテルホテルしてないとこ。で、近場。子供たちに何かあっても、すぐに戻って来られる距離で」とナナ。 「うん。いいね」 「じょりぃはさー、宿決めるときの基準て何? 食事?立地?泉質?」 「うーん。料理はさー、おいしいに越したことはないけど、けっこうやっぱ、どこも旅館料理じゃん結局」 「うんうん。よっぽど『懐石の宿』とかで何万も取るようなとこはまた別なんだろうけどね」 「うん。だから今のラインナップなら、料理は最後。ワタシはやっぱ、立地かな。静かで、がちゃがちゃと観光地ずれしてないところがいいな」 「やっぱ立地かー。あたしはひなびててほしい(笑)。サッシもアルミとかじゃなくて木でさー。ふう、なんて寄っかかると、木が腐ってて折れちゃって、そのまま渓谷に落っこっていっちゃいそうな」 「ないよ!そんなとこ(笑)」 「ないかなーそーゆーとこ」 「今ネットで○○山麓を調べたら、けっこうひなびてそうな宿が何軒かあるよ」 「どんな風にひなびてるの?」 「んー、『創業元禄○年』だってさ。古そうだ」 「建物も古いの?元禄からそのままならいいんだけど」 「それは無理だろー。それこそ木が腐って川に落ちるよ。床が抜けそうだし。でもたたずまいはひなびてるよ、ちゃんと」 「どんなふうに?」 「んー。落ち武者の霊が出そうな感じ」 「やだよー、それー(笑)。だいたい、落ち武者が旅館に泊まるかい」 「それもそうだ」 「○○山麓なら下見に行けるんじゃないの?」 「・・・って、誰に言ってんの?」
というわけで、ほぼ決定。 でも問題は「あたし、でも行けないかも(笑)」の気まぐれナナ様の気分次第というところ。 まあ、ワタシも仕事がどうなるかわからないので「なるべく行こう」という線に落ち着いたんですが。
で、来週はいよいよ温泉でございます。 お互い「一人の時間を大切にして、無口な旅にしよう」がテーマ。 んなこと言っても結局ナナはしゃべると思ってましたらやっぱりしゃべってましたが。 でもいつもよりはずっと口数少なかったですけどね。
宿の予約はワタシがしたんですが、 「どうせならふた部屋とっちゃう? かなりのんびりできるよ」と余計な提案をしてみるじょりぃ。 のんびりしたいらしいから、それを最優先にしてあげたかったのです。 でも結局 「じょりぃがそうしたいならそれでもいいけど。でもお金もかかっちゃうし、一緒でいいんじゃない?」と言ってくれたので、一緒のお部屋でした。
いろいろ決めているときにナナが
「ベッドの部屋もあるよ。ベッドとふとん、どっちで寝たい?」と。
いやらしい意味はまったくないのだけど妙にドッキリでございます。 「一緒に寝られるのなら、どっちでもいいよ」とはもちろん答えず「ふとん」と。あっさり。
さて、そしてやっとお風呂の話。
以前から「友達と一緒にお風呂入るの恥ずかしい」という話はナナにしてあったのですが。
念押しと思って「お風呂は別々でいいんでしょ?」と訊くじょりぃ。
「いいよ。っていうか何? 一緒に入りたいの?」
え。
入るのは恥ずかしいからイヤだけど、のぞきたい。 とも言えませんからね。 誰が聞いても立派な変態ぶりの答ですこれじゃ。
「入りたくないです。別々がいい」と言ったら「あたしも」と言われてしまいました。がーん。 パパとはいつも一緒に入ってるみたいなんですよね。 ワタシ、パパとナナが一緒にお風呂入ったという話が大キライなんですが。 なぜかしら。 って、考えないようにしてるけど、嫉妬ですよねたぶん。 いいよなー、パパ。と言いつつ、私が一緒に入れないだけなんですが。
ちなみに、最近ナナから「スーパー銭湯みたいなとこでもいいから行きたーい。じょりぃ、一緒に行く?」なんて話が出たときに 「いいけど。一緒にお風呂入れないよ」と答えましたら 「そっか。 そういえば、あたしもじょりぃと入るのはもうイヤだな。 あたしも恥ずかしくなってきた」 と話しておりました。 恥ずかしさというのは伝染するものなんですね。 流行り病のようですね。
そんなわけでですね、お風呂は時間差攻撃で上手に済ませました。 ナナは「あー、めんどくせー」「時間のムダっぽい」と言ってましたが。 スミマセンねえ。
そして、夜着の相談。 ナナの浴衣姿をかなりなウハウハで期待していたのですが(コスプレ大好きじょりぃ)、 「部屋着を持っていきます」とのことでガクッ。 このときはめずらしく「ワタシはパジャマ持って行くが、キミは浴衣を着るべきなのではないか」と、自分がしたいことと相手にさせたいことの矛盾を感じつつも強行に主張するじょりぃであったのですが
「だって、浴衣ってはだけちゃうし、朝起きたらきっと裸になっちゃう」 と。
なら、浴衣だろ。 とまでは言えませんでした。真人間として。
なんだかんだで最初に誘ってから8ヶ月くらいかかって温泉宿までたどり着いたじょりぃでありました。
次回、気力と体力とその気がワタシにありましたら、「温泉宿の夜・詳細」をしたためたく思っております。 え?もういいですか。そうですか。考えときます。ぐうぐう。
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