ナナとワタシ
ナナとワタシ
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2003年06月01日(日) 甘い一日。なんて思うのは甘いのだ。

昨晩急遽決まったデエト、行ってまいりましたのご報告をさせていただきます。

めずらしく時間どおり到着したナナ。
「このまま、あたしの車で行っちゃお」と言われたので、スナオに助手席に乗り込むじょりぃでありますが、
この人の運転、コワイの。雑なの。ランボウなの。
なんて思いながらふとダッシュボードに目をやると
桜の樹の下で/aiko と優柔不断そうなヨタッた文字で書かれたカセットテープが。

げ。
ワタシが録ってやったテープじゃん。

ワタシはもう、それだけで恥ずかしくて恥ずかしくてですね。

自分で自分に「屋さん」をつけるのはたいそう気が引けるのですが、とっても恥ずかしがり屋さんのワタクシは、その場でテープをケースごとまっぷたつに折っちまいたいような衝動にかられてしまいました。
まったく無意味な行動ですけどねそんなことしたところで。しかしココロは右往左往。

で、映画を観ました。
「めぐりあう時間たち」。
こちらの詳しいことは映画感想の方にあとで書くとしてですね。

なにげにレヅテイストというか、根っこに苦み走ったレヅがどっかりと横たわっているのだけれど、それを品のいい甘みで薄く何層にもていねいに味付けをして、セクシュアリティに関係なく「奥の深い味でおいしいねー。なんとなく感じる苦みがわかる人にはわかるっていうかー」という味わいの逸品になっているという感じです(わっかりづらい説明)。

そんな映画なのに、感想を話しているときに、ナナからはレズの「レ」の字も出ません。
キスシーンについての言及もナシ。
おかしい。これはどう考えてもおかしいです。
避けております、この話題を。(ワタシはもちろん避けてますが)
やはりどうやら、ワタシがレヅかバイであろう、ということは承知しているみたいですね。
なんだか気を遣わせたようでスマンね、ナナ。

映画が終わって「どうする?この後」ということになりまして。
ナナは本日、8時までフリーとのこと。パパの協力のおかげです。
ありがとう、パパ。 

4月に美術館につきあってもらったときに、「美術館て、行ったことない」ということだったので退屈だったかなと心配していたら「すごく楽しかったから、また連れて行って」と言ってくれたことを思い出し、「この近くにも美術館あるんだけど、行ってみる?」と提案してみたら「行きたい!」とナナ。

映画の後は美術館、という、お文化なデエトでございます。

で、美術館へレッツゴーしたのですが、途中、思いがけない嬉しいことが。

「あ、虹」とナナの声。
あ、ホントだ! 虹だ! デカイ!
「虹だ!」
「ね」
ワタシはもう、ナナと一緒に虹を見れたというのが、嬉しくて嬉しくてですね。
それを伝えたいんですが、ヘタなこと言うと「しらっ」とされてしまいますこの人の場合。
でも嬉しい。表現したい。でもしらっとされるのはイヤ。ああ、どうしよう。

「虹!」 しかたなく単語で喜ぶワタシ。
「・・・そうだね」

無言。ドライブドライブ。 

「虹!」
「虹だね」

無言。ドライブドライブ。

「虹が!」
「(笑)わかったよ」

気が済みました。

ところでなんで虹って虫偏なんですか。
なんか途中から「うじ」とか「あぶ」とか読みたくなるんですがワタシだけでしょうかね。

美術館がまた戦いの場でですね。
お互い、相手がありがちな感想を言うと軽蔑するというひねくれた精神構造を持っているためにですね、うっかりなことは言えないわけです。
「あー、これ、いいなあ」なんてしみじみ思ったとしても、それをそのまま口にしたら「ぷ」と思い思われてしまいます。油断は禁物です。って、何をそんなに肩肘張っているんでしょうワタシたち。愚かです。

「ねえ、もし自分に才能があるとしたらさ、立体造形と平面絵画、どっちがやってみたい?」とワタシ。
「うーーーーーーーーーーん・・・・・・平面」
「なるほど。 じゃさ、音楽と美術なら?」
「うーーーーーん・・・・音楽かな?」
「ふむ。 じゃ、音楽と文学なら?」
「音楽」
「へえ」

へえ。 意外。
音楽聴かないじゃん、キミ。
聴かないくせに、わかるんだよな。
「サックスの小刻みな音が好き、この曲」とか言うからコワイ。
聴かないくせに、知識ないくせに、楽器の音が判別できちゃうんですよ。憎たらしいくらいでございます。

でも音楽に興味があるのなら、前々から誘いたかったことを提案するチャンスでございます。

「あのさ、クラシックのコンサートとか、興味ない?」
「行ってみたいなとはすごく思うけど」
「行ったことは?」
「ないよ」
「誘ったら、一緒に行く?」
「うん。行きたい」

やった。

「でも、夕方から夜にかけてが多いでしょ? あたし、平日は無理だよ。子供たちいるから」

そうだったーーーーーー。

「土日なら大丈夫?」
「そのときによるな。どうしたって、子供優先ですから」
「じゃ、誘えないじゃん」
「ていうかさ、このあいだ、きょんさんと狂言観に行ったって言ってたじゃん? あれもあたし、誘って欲しかったな」
「ス、スミマセン」
「あたしが一緒だと、きょんさんイヤがっちゃうの?」
「いえ、そんなことは」 あるかもしれませんが。
「じゃあ、あたしがいけるかどうか、勝手に考えないで、ちゃんといちいち確認してください」
「は、はい」

いばられてしまいました。
でも、コンサートもこれで誘えそうです。

そのあと、まだ時間があったので、すぐ近くの大きなお寺へ。
ナナが神社仏閣巡りが好きなものですから。(そういえばきょんも好きです。渋好みな人たちですね)
ここは特に、室町鎌倉くらいの時代の建造物がたくさん残っているところで、ナナ好みの場所であります。
思惑はバッチリ当たり、ナナは大変喜んでくれまして。

「ここ、すごくいいねー。お寺までの石畳とか、鄙びたお店たちとかも気に入ったよ。また来ようっと」
「また来ようっと、って、来れるの?自分で」
「来れない(笑)」
「(笑)」

「じゃ、また一緒に来ようよ」と言うのもなんだか無粋な気がしまして、目で伝えてみました。
伝わっていない、という方に賭けるアナタは正解ですおそらく。


9時頃までパパたち帰って来ないから、家に来ない? とナナが誘ってくれたので、わざわざ車2台連なって、40分かけてナナの家へ。
コンビニで買ってきたものをつまみながら、ぼーっとテレビを眺めておしゃべりを。
テレビでは、貴の花の断髪式をやってました。

「くだらないな」とワタシ。スミマセンこういうのキライなんですよ。
「でもまだ断髪式程度でこんなに稼げるんだね、貴の花」とナナ。
「有名になるって、イヤだね」
「そお? 成功すればいいんじゃないの」
「ワタシは成功しても、有名にはなりたくないな」レヅだレヅだって週刊誌が大喜びしてしまいます。
「そんな、有名になるほど成功したいわけ?(笑)」
「そんなことないけど。 でも、ワタシの、こうなったらいいな、っていう願いが叶ってしまったら、有名になってしまうなきっと」
「      そんな願いがあるの?」
「・・・・・・」
「何それ。教えて」
「言いたくない」
「なんで?」
「きっとバカにするよ」
「しないよー。でもするかも」
「絶対ヤダ」
「ウソウソ。しないから。 教えて?」<得意の甘えモード
「恥ずかしいからヤだ」
「女優になりたいとか?」
「わはははははははっ。違うよ」
「なにー。おしえてよー」
「・・・・・・・・・」
「またー。ほら。そうやって、ココロを閉ざすじゃん」
「違うよ」
「あたしには教えられないんでしょ」
「そうじゃないよ」
「じゃ教えて」
「願いなんてないよ。口からでまかせ言っただけ」
「ふうん。  じゃいいよ別に」

あらら。
またやっちゃった。

で、またぼんやりテレビ見ながらおしゃべり。

「ゆっくり休めばいいのに」とナナが言ったのに応えて

「温泉に」
「ん?」
「行きたいんですけど」
「行けば?」
「一緒に」
「ああ(笑)。 行きたいね。 泊まりでってこと?」
「うん。(ぽ)」
「子供がなあ」
「無理なら日帰りでもいいよ」
「前みたいに?」
「うん」
「でも、ゆっくりできなくなかった?」
「そりゃしかたないよ」
「ゆっくりしたいんでしょ?」
「うん」
「じゃ、泊まりの方がいいよ。子供たちも一緒でいい? それならパパも快く許してくれるはず」
「うん。いいよ」
「でもなー・・・家族で行くとなると、そんなに予算組めなそうなんだよなー」
「うちで持つから、費用は」
「イヤだよそんなの」
「だってそれなら行けるんでしょ」
「ていうかさ。 きょんさんと行ってくれば?」
「(脱力)」 あからさまに脱力してみました。
「そうすれば、好きなときにいけるじゃん、比較的」
「(無言)」
「そうして。 あたしも無理だしさ」
「わかったよ」
「なっちゃんだっていいんじゃない? なっちゃんとは行かないの?」
「行くよ。 ていうかさ」
「うん」
「きょんともなっちゃんとも行くよ。行くときは」
「うん」
「でもさ、 こうやって、一緒に行こうって、」
「うん」
(無言)(視線そらし)
(無言)(なんかこっち凝視)
「誘ってるんじゃん」  うああああああ言わせないでこんなこと。

しかし驚いたことに、ナナ、すごくにっこり笑って

「あたしと行きたいの?」 と。
「うん」
「あたしと一緒に行く、っていうことに、意味があるわけなのね?」
「うん」
「最初っから、そう言えばいいのに」
「うん」
「いつも、なんか、どうしたいのかよくわかんなかったからさ」
「うん」
「じゃあ、子供たちは連れていかない方がいいよね」
「うん。    え?」  え?

な、なんで?

って、決してワタシが期待するような意味ではないのはわかっているのですが。

「ふたりで、のんびりできるような日を選びましょう」と言ってくれました。
「うん(にこにこにこにこ)。で、いつ?」
「いつかなあ」
「え」
「7月になってからかな」
「そんな先?」
「でももう来月だよ」
「あ、そうか」にこにこ。
「でも無理かも」
「え」
「行けなかったらゴメン」
「え」
「行けたら行くってコトで」

また「下げ」かいっ。
〆はそうきますかやはり。 がくん。(脱力)


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