ナナとワタシ
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ある日、ナナとふたりで映画に出掛けたときのこと。 暗くなってしーんとなって、これから予告、という段になって すぐ前列とすぐ後列には余裕で聞こえるような声で、ナナが話しかけてきました。
「ねえ。じょりぃって、幽体離脱できるっけ?」
みなさんに聞こえてしまうには、あまりにも唐突なこの質問。 アブナイよ、キミ。
「は?」
「幽体離脱だよ。魂だけがうろうろするやつ(知ってるよ、そんなこたあ)。できる?」
「できるわけないだろー!」
「そっか。 なんか、できそうとか思っちゃって」
「何?急に(笑)」
「あのね? キッチンとかで仕事してたりすると、たまにふっと、じょりぃのそのコロンの香りがすることがあるのね」
「え?」 ちなみに私はナナ宅のキッチンにはほとんど出入りしません。
「たまにあるんだよ。だから、じょりぃが幽体離脱して来たのかなと思ったんだけど」
「すみませんできません」
ていうか、カジュアルに聞いてこないでくださいそんなこと。 ワタシは丹波哲朗じゃないんですから。 あのよとーこのよはーじつづきだー。
「でもさー、幽体離脱ならいいけどさ、生霊だといやだよね(笑)」
「あの、どっちも無理ですから」
「そっか。じゃ、なんでだろな。 ちなみに何つけてんの?」
「カルバン・クラインのBe」
「ふうん」
なんとなく嬉しいような。 恥ずかしいような。
しかし、もしかしたら「コロンつけすぎぢゃないの」という警告かも!と心配した小心者じょりぃは、家に帰ってきてから、きょんに確認。
「ねね、ワタシのコロン、香りすぎ?」
「? くんくん。 なんにも匂わないけど。つけてんの?」
「へい」
「じゃ、つけすぎってことないみたいね。 ところでなんで訊くの?そんなこと」
「(あわあわ)いや、ちょっと確認しただけ」
「ふうん。 なんで今日はつけて出掛けたの?」
「なんでって」 おたおた。
「あ、わかった。お風呂入らなかったんでしょ」 <自信たっぷり
「・・・・入りましたよ」
アナタは風呂入らなかったときにコロンつけるんですか。 にしても、いつになく質問が鋭いきょんでございました。
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