今回の総選挙で引退した野中広務は、それに先だつ自民党総裁選挙の最中に
週刊誌に手記を発表して小泉首相を攻撃し、その中で
「小泉首相は息子の孝太郎を自衛隊へ入れろ!」
などとほざいている。
一昨年のアフガン後方支援の時もそうだったが、自衛隊の海外派遣という場面になる
と必ず、「だったら首相がまず行け」とか、「自分の息子を自衛隊に入れて行かせた
らいい」とか、馬鹿げた論理を振りまわす輩が現れてくる。
野中に至っては、内閣官房長官まで務め、長年政府与党の要職を歴任して政治の中枢
にいた身でありながらこのような「公」と「私」をごっちゃにした論旨からしかイラ
ク派遣反対を説けないとは、全く、小学生並みのアタマの持ち主なのかと疑いたくなる。
この手の話を聞くといつも連想するのは、テストで悪い点を取って叱られた子供が逆
ギレして
「だったらお母さんがやってみろ〜」
と泣き喚いている姿である。
つまりただの腹立ち紛れの感情論であって、理屈にも何もなっていないのである。
「小泉が行け」と言う人たちにはまず、あなたがたのお好きな憲法を読み返してみる
ことをお奨めする。
内閣や総理大臣の職務と役割には、
個々の政策遂行に際して、総理や大臣がまず身を持って示せ、
などとはどこにも書いていないのである。
例えばその昔、「O-157」による食中毒が問題になっていた時に、その発生源と
噂されたカイワレダイコンを食べてみせた何処ぞの阿呆な厚生大臣がいたが、
大臣がやるべきこととは、お毒見役の真似事ではない。
万が一本当にそれが発生源で大臣が倒れてしまったらどうするのか。
もっとも大臣のひとりやふたり、ましてこんな男は別にいない方がよかったかもしれ
ないが、いずれにしろ事の本質を取り違えている。
総理や各大臣の役割がそういうことにすぎないのだったら、別に内閣など存在する
必要は全くなくなるのである。
まして、総理が自分の子供を自衛隊に入れろなんて意見はもっと愚劣である。
「可哀相なはこの子でござ〜い。親の因果が子に報い・・・」と言うわけで、
総理大臣の息子に生れると、親の身代わりを務めなくてはいけないというのだろうか。
丸っきり封建時代の発想である。
だったらそういう人は、例えば何処かで強盗が銀行にでも立て篭もっていたら、
警察に任せずまず自分が、しかも親兄弟妻子、一家を挙げて立ち向って行ったらいい。
現に野中などは、オウムのサリン・テロ事件の時に警察の元締である国家公安委員長
をやっていたのに、なぜあの時サリンの危険のあるオウム本部に警官隊を行かせたのか。
まず自分こそが家族を引き連れて突入すればよかったではないか。
嫌なことを他人にやらせず自分がやるべきだ、だから総理は・・・
なんて素っ頓狂な考えを本気で思っているのなら、そういう自分こそまず率先して実
行して見せるべきであろう。