第43回衆議院議員総選挙は、
自民237民主177公明34共産9社民6保新4その他13
と言う結果になった。
私は午後8時からテレビ各局の選挙特番を回してみたが、
いつも先走った情報を出す民放に比べて当確を打つのが遅い
と思われていたNHKが意外に着実で早かったので、
結局殆どずっとNHKの開票速報を見ていた。
以下、とりあえず思いついたことを書き記しておく。
○小選挙区の投票率は59.86%。
戦後2番目の低さ。
上がると期待していたので、ガッカリの数字である。
一体、何が原因か?
地方の自民離れ?
今後の詳細な分析が必要であろう。
○自民237民主177
最も無難で、中途半端な結果が出た。
自民党は前回より増えたが、解散前よりは減り、
民主党は大幅増だが、政権は勿論180にも及ばず。
どちらも、勝ったとも負けたとも言えるような微妙な数字である。
とりあえず自民党としては、
「政権選択の選挙」で与党3党の絶対安定多数を維持し、また、
公認を見送っていた加藤紘一ら自民系無所属当選者を含めれば
事実上過半数獲得である。明かに「勝利」と言っていい。
ただ亀井派など大幅に議席を減らした「抵抗勢力」の不満という
党内の火種は残した。
一方、民主党は、
1958年の社会党(166議席)を抜く野党として最高の議席を獲得して
政権交替への足がかりはつかんだ。
また、そもそも合併前の民主・自由党はジリ貧で改選議席の維持も
おぼつかなかったのだから、その意味では「大勝利」と言える。
ただ、本当に政権を担い得る政党として有権者の信頼を得たかというと、
疑問だ。
前回00年と今回の各党の比例区の得票を比較してみると、
面白いことがわかるのである。
前回 今回
自民党 1694万票→2066万票(+372万票)
民主党 2166万票→2210万票(+ 44万票)
(前回は旧自由党との合計)
公明党 776万票→ 873万票(+ 97万票)
共産党 672万票→ 459万票(−213万票)
社民党 560万票→ 303万票(−257万票)
(数字は読売新聞社推計)
自民党が372万票、
公明党も97万票も増やしたのに対して、
民主党は44万票しか増えていない。
この内訳を分析してみると、
まず、自民党の増加分は、共産・社民の減少分から回ったとは考えにくい。
前回の共産・社民の支持者は棄権か民主党に投票したと見るのが妥当だろう。
また、選挙協力のバーターで、従来の自民党支持者で
公明党に投票した数も多いはずである。
すると、自民党の増加分には民主・旧自由両党から逃げ出して来た
支持者の票がかなり含まれているものと考えられる。
逆に言えば、民主党は、
自民党票を食いちぎって来るどころか、従来の支持者をも失い、
共産・社民からの避難票によって漸くプラスに転じた
ということができるのである。
このように見ると、今後の民主党の野党第1党としての方向性には
危うさを感じざるを得ない。
つまり、政権を担う次の「与党」として期待されているのか、
それとも尖鋭な「野党」として期待されているのか不明なのだ。
従って、今後の方向性によっては結局、どちらの支持層も失望させて、
次の選挙では政権どころか大敗がもう約束されているようなものである。
現状では、とても2大政党制はまだおぼつかないと言っていい。
○創価支配強まる
民主党の「1人勝ち」と見えるが、
実は一番の成果を挙げた公明党34議席。
低投票率を最も利して組織票で議席を増やし、
与党内でも相対的に比重を増した。
自民党政権=事実上の創価学会支配の始まりか。
○社民党6議席、壊滅的惨敗
正直に言って、今回の選挙結果で一番驚いたのがコレ。
出口調査に基くテレビ局の議席予測で
3とか5とか出ていた時点で既に目を疑った。
今まで選挙の度に「底」と言われながら15議席、19議席と
獲得していたので、
何だかんだ言って今回も小選挙区で土井を含めて3、比例で7、
の10議席ぐらいはとると思っていた。
まさかここまで落ちるとは全く予想しなかった。
やはりこの党は前世紀の遺物政党だったのだ。
それにしても、かつて野党第1党として君臨していたあの社会党が
たった6議席になるとはねえ(遠い目)。
特に、空前の土井ブームで大勝し第1党(参院選)になった
14年前のことを思うと感慨深い。
今回の苦渋に満ちた土井の会見を見ながら
あの時の土井の晴れやかな顔を思い出し、
そして何故かそこに菅の顔をオーバラップさせてしまった。
研鑚を怠ると民主党も、明日は我が身である。