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2003年11月09日(日) 投票率の行方

さて、今日は衆議院選挙の投票日である。
開票結果とともに、もうひとつ気になるのは投票率だ。
過去2回、96年(59.65%)と00年(62.49%)は
それぞれ戦後最低の1位と2位だった。
それまで60%台後半から70%台前半を
行ったり来たりしていた投票率が
96年から極端に下がったのである。
この理由としてよく言われることのひとつに、
若者の政治、選挙離れということがある。
ただ、若者の政治離れなどということはもう20年以上前から
言われ続けて来たことで、昨日今日始まったことではない。
それより、96年に特に投票率が下がった理由には
はっきりした別の背景があったと思う。
この時は、過去の総選挙とは全く趣きを異にしていたからである。

まず、選挙制度の変化である。
この96年から、戦後50年間も続いた従来の中選挙区制に代り、
小選挙区比例代表並立制が始まったのだ。
このわかりにくさ、特に政党本位の選挙になったことが
長年「党」より「人」を選ぶことに慣れて来た有権者の
関心を削いだ一因であると想像される。
その次に、ところが肝心の政党の枠組が、この時の総選挙では
がらりと変ってしまっていたことが挙げられる。
何しろ、それまで30年近く存在していた社会党も公明党も民社党も
なくなってしまったのだから、有権者の戸惑いは大きいだろう。
しかも長年対立関係にあったはずの自民党と社民党(社会党)が
連立を組んでいるし、
逆に長年自民党の中枢にいた小沢一郎らが
新進党として野党になっていたのだから、
もう何がなんだかわからないと言っていい。
今に繋がる、政党不信の始まりである。
そして、この傾向は、次の00年総選挙にも続いた。

この時は、新進党は既に解体しているし、
しかも前回は新進党として野党だった公明党が今度は連立与党になり、
同じく小沢の自由党も選挙直前まで連立与党で、
そして選挙の時はまた野党になっているというめまぐるしさ。
このように、こうも短期間で選挙のたびに政党や連立の枠組が
くるくる変ってしまっていては、
有権者に選べ、選挙に行けと言っても無理な話である。
つまり過去2回の投票率は、下がってもしかたがないような
明かな理由があったということである。
だが、今回はやや違う。

まず、前回00年と比べ、自由党が民主党と合併してなくなっただけで、
政党の状況はほぼ同じである。
また、自公保という連立政権の枠組も同じだ。
つまり上に挙げた、過去2回、投票率を下げて来たと考えられる要因を
今回はクリアしているのである。
更に、新民主党の結成で、
2大政党制という、小選挙区の制度そのものにも適した政治土壌も
漸く整備されて、有権者に選びやすくなってもいる。
従って今回は投票率が上がることが十分可能であると予想される。
天候にもよるが、
少なくとも93年並みの67%前後までは戻り得るのではないか
と個人的には期待している。
もっとも、これは言い換えれば、
もし万が一、それでもやはり投票率が上がることがなかったとしたら、、、
その時は、この国の政治的危機はかなり深刻だと
言うことになるかもしれないのであるが。


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