絵画制作日誌    Diary INDEXBACKNEXTHOME GALLERY


クロッキー中の雑考         2001年06月15日(金)

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手引き続き、家でクロッキー10枚、色日記1-3枚。ウォーミングアップ。これは作業時間に含めるのかと変なところが気になる。普通の仕事なら仕事前のメールチェックといったところか。運動選手なら絶対練習時間内だな。時給制の考え方。ま、そんなのはどうでもいいけれど。

描画用具で随分絵は変わる。クロッキーはいつもボールペンでしている。鉛筆は使わないようにしている。小さい紙だと特に線が薄い。ボールペンの線は鉛筆に比べると暴力的。彫刻的。刻印的。
ボールペンのなかでもZEBRAの水性ボールペン、JELL-BEが一番好きだ。書きやすく、濃い線薄い線かける。100円なのにまるで万年筆より描きやすい!とまで思っているのだが、随分前に廃番になったようでもう店頭には売っていない。以前、中の芯だけ買いだめしたが、それももう乏しくなってきた。残念。

「デッサンとは何か?」という言葉がちらちらと頭をよぎる。たった今聞かれたら、「物の見方」と答える。セオリーだ。ドガも言ってるし。でもこないだはそれが思いだせなかった。
「モノの見方」を紙に定着するには、描画道具を使いこなさなくてはならない。これは練習=だから「たくさん描きなさい」といったようなアドバイスが出てくるのか。物の見方は描画道具に引き出されていくんだよね。なんて、結論じみたことを思ったりして。


しんちゃん人形そうやってどんどん言葉の妄想とも付き合いながら、ウォーミングアップを続けていく。「絵でも文章でも、記録したいという欲求が人にはあるだろう。」ということを思った。反義語は「新しいイメージを創る」。創るのではなく、記録。そのまま客観的に記録したいという欲求。石器時代の牛の絵。神の教えを本として記録する。自分の見た夢を記録する。自分の好きなモノ。記録したら残しておきたい。できれば長い時間。言葉でも絵でも写真でも。記録したいという欲求。残しておきたいという欲求。それは何故だろう。


法廷には記録画家がいる。あれ、結構好きなんだよね。写真よりも面白い。あそこでバイトしたい、なんて馬鹿なことを考える。写真があるのに同じような目的を持って記録画を描きたいとは、いったいどういうことなんだろうね。

……と思いながら描き進めていくと、だんだんモノがクローズアップして見えてきて。より客観的に記録できる写真があるのに、わざわざ時間をかけて状況を手とペンで記録したいとは、より細かいところをより長く観察したいという、欲求の現れなんだろうかね。描く方はそれで欲求満たされていいけれど、観る方はどう考えているのだろうか?


私は普段、モノは見ても空間は見ていないと思う。クロッキーをしていたら、モノの後ろに電気のコードがあるのに気づいた。気づいたので描いた。描いたら「背景に空間」があることに気がついた。はぁ。空間があったのか。モノの後ろに。ちょっと感動した。背景に空間を感じたいときは、何かモノの後ろにモノを置いてみよう。紐がいいかも。現在の部屋にわざとらしく紐が落ちているのもヘンだ。雑多な部屋。多分「電気のコード」が一番相応しいと思う。

by HPY


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