ネタ帳

コノハナ【MAILHOME

君のもの、僕のもの 8
2006年01月08日(日)

兜甲児(かぶと こうじ)について 45話まで。
(相当間違っています。)

富士山麓でスローライフを楽しむ高校生。
祖父は数々の特許を持ち、ロボット工学で世界的に有名な科学者・兜十蔵。
父・剣蔵も優秀な科学者だったが、実験中の事故で幼いころに両親ともに他界。よって祖父と弟と3人家族。
兜家は資産家で、東京の自宅はヨーロッパの貴族が住んでいそうなお屋敷。別荘も所有。お手伝いさんもいる。
祖父はポケットマネーで巨大ロボットを作ってしまうキチガイ・・・ゴホゴホ、天才であったが、1話でドクター・ヘルの部下あしゅら男爵に殺害されてしまうため、マジンガーZをはじめとする兜家の莫大な財産は彼のものとなる。話は彼がこの恐怖の遺産を相続したところからはじまる。

祖父死後、兜兄弟は東京の自宅を引き払って、富士山麓にある光子力研究所近くの山荘風の邸宅に転居。この兜邸というのが、これまたカントリーライフに憧れる主婦がよだれをたして羨ましがりそうな美邸。周囲は森にかこまれ、家の周りをぐるりと高い塀が囲い、庭もひろくて二人で住むには充分すぎる広さ。経済的に家政婦が雇えないわけでもないが、東京の自宅のお手伝いさんが殺されたこともあってか、家事は二人で交代でしている模様。

祖父から受け継いだ「神にもなれば悪魔にもなる魔人」マジンガーZは、この家の近くにある割れるバリアでおなじみの光子力研究所に保管してもらうこととなる。ホバーパイルダーのみ、自宅駐車場に駐車。Zのまさに頭脳部ともいえる重要なものを、自宅の庭にさりげなく豪快に止めてあるのがそれでいいのかと気になってならないのだが、一向にここから移動させる様子はない。Z本体は格納庫に厳重に保管されていても、パイルダーがなければ動かぬ抜け殻なので、これこそ、厳重に保管しなければならないと思うのだが。でも、マジンガーZは甲児の私有財産なので、これでいいのかもしれない。寝坊した甲児が、パイルダーで学校に行くというネタは誰もが一度は書いていることだろう。
後見人は十蔵の弟子で光子力研究所所長の弓教授。

転居後学校のほうは東城学園3年に転校。なぜか、3年に転入したはずなのに、設定資料をみると年齢が16歳となっているので、もしかしたら飛び級しているのかもしれない。3年に転入したが、忙しくて学校に通えず授業についていくのが困難なため、1年生に戻したととりあえず自己解釈しておく。

こうして、普段は高校に通い、機械獣が攻めてきたらマジンガーZに乗って戦うという毎日を送ることとなるのだが、戦うといっても、軍人でも研究所の職員でもないので、義務でも命令でもなんでもなく、趣味で参戦しているだけである。別に甲児が嫌なら(そんなことはありえないけど)出動しなくてもかまわないのである。甲児くんはただで戦っているの?という疑問は昔からいわれているが、手当等が支給されているかどうかは不明。研究所の資金は国からたくさん出て潤沢のようだし、本人も金持ちなので、どのへんはどうでもいいらしい。
研究所の職員でもないくせに、所内では、弓所長に次ぐぐらいの発言力を持っていて、役員会議に堂々と出席。弓所長も出動要請するときは「出動してくれないか」とお願いしているし、甲児も「わかりました。マジンガーZを出動させます」と言っている。出動決定権は彼にあるらしい。彼がNOといえば、マジンガーZは動かない。やはりオーナーは強い。ハラショー、マジンガーZ!

と、こんな書き方をしていると、マジンガーZって金持ちのボンボンが親の遺産使って、趣味で戦う話?と誤解されそうだが、だぶんそれであっていると思う。
この話での甲児は、数々の特権的扱いをうけているが、それは親の遺産があるからであって、すべては親の遺産がなせる技である。
親の遺産を失った甲児がどれほど悲惨かは、続編の「グレンダイザー」を見れば、よーくわかる。

三度の飯よりマジンガーZが好きで、マジンガーZを馬鹿にする奴は許さない。
おじいちゃんを尊敬するおじいちゃんっ子。
東映まんがまつりでデビルマンと友達になった。
弓教授の娘、さやかは、甲児のことが好きでたまらないのだが、肝心の甲児が
マジンガーZ>>>>>>>>>>>>弓さやか
なため、二人の間はなかなか進展しない。東映まんがまつりで「ガールフレンドより、ジェットスクランダーのほうが好き」とうっかり本音をいってしまい怒られた。ホバーパイルダーのシートを汚す事もなんどもあったと推察。
個人的には、二人は安易に結婚しないで、30年経っても、「甲児くん、久しぶりー、変わらないわねぇ」「そういうさやかさんのほうは、少し太ったんじゃない?」「なんですってー」「ハハハ、さやかさんもそういうところは少しも変わらないね」「ん、もう甲児くんったら。でもそういうところがス・テ・キ・・・」という展開を希望。永遠にバカップル友達のままでいてください。

バイクが趣味で運動神経抜群。チャームポイントはもみあげ。へへーんだ、と軽快な江戸っ子弁を話す。
両親を幼い頃亡くし、祖父とお手伝いさんは殺され、わけのわからない巨大ロボットをいきなり貰い受けるというよく考えるとトラウマを抱えてもおかしくない身の上なのだが、そういったものとは一切無縁の明るい性格。今だったら、PTSD確定なんだがそんなものとは全く無縁。とにかく裏表がなく、青竹のようなというより勝手にわれまくった竹のような性質。
また昔の漫画アニメは孤児が多いが、そうした場合大抵がビンボーか親の愛情に飢えているものだが、そういったところもない。親も無しで、どうすればそんな真っ直ぐな子が育つか教えてもらいたい。新しい環境にもすぐに慣れ、毎日元気に戦闘中。悪く言えば鈍感なんだが、ここは作風に合わせて前向き解釈で、強靭な精神の持ち主としておく。子供っぽいというより、逆にこれ、大人だろ。

さて、兜甲児というと、血の気が多くて、喧嘩っ早い代表格のようなイメージがあるが、実際のところは、意外なほど冷静沈着で礼儀正しい。
その冷静沈着な戦いぶりと、兜家の血筋の天性のメカニックセンスはドクター・ヘルも賞賛するほど。戦闘は冷静に相手の弱点を見抜き、そこを一点集中攻撃し、撃破するという手法が主。甲児が冷静さを失うのは、今までのところマジンガーZを馬鹿にされたり、思思うとおりに動かなかったときぐらいで、あとは意外なほど落ち着いている。逆にいうとマジンガーZを馬鹿すると怒るので、彼の前ではZの悪口はいってはならない。

兜十蔵はよき後継者を持ったと本気で羨ましがっていたが、全くもってその通りだと思う。だってさ、あんなマッドな人間からどうしたら、こんな常識人が育つんだか不思議でしょうがないよ。1話で登場したときすでに人間が16歳とは思えないほど出来ているんだもん。っていうか私がここ3、4年でみたロボットアニメの主人公でここまで人間ができた子は他にいませんよ?「平和なんてものは、みんなが少しづつ払った犠牲の上に成り立っているんだ」なんて話始まってすぐ言っているんですが、こんな主人公、今時いる?
最近の子は・・・と思うようになったら、人間素直に年を取ったことを認めたほうがいいが、この人を見ていると、そうもいいたくなる。

これ作った当時は言葉使いの荒いやんちゃな子という設定だったんだろうけど、今の感覚じゃ、むしろ言葉正しい大人の部類に入るんじゃないかと思う。目上の人には敬語だし、女性には「さん」「ちゃん」を必ずつけて絶対に呼び捨てにしないし、肉親のことは尊敬して敬意を払っているし、親しきなかにも礼儀ありで、実は育ちがすごくいいんじゃないか。どんなに戦闘が激しくても、けしてさやかさんを呼び捨てにしないで「さん」づけで呼んでいるところは感動もの。
大人や権力といったものには、かたっぱしから反抗的な態度を示す反体制的な主人公とは趣を異にすることだけはいっておいきたい。

そしてこの手の主人公の慣例として、勉強はからきし弱そうに思われがちだが、こちらのほうもイメージとは異なって、実は高校生の年齢でNASAに論文を提出するほどの秀才だったりする。番組終了後、アメリカのハイスクールに留学し、その後、18歳で円盤を作るほどの脅威の才能を発揮している。金持ちで、美形で(もみあげだけど)運動神経抜群だけでなく、頭も賢かったのである。なんだ実はインテリ坊ちゃんじゃん。というか、高校生でNASAって、この人天才?
もっとも、マジンガーZに初めて乗り込むとき、操縦法もよくわからないのに、いきなり乗り込んで、これでも押してみっかと、適当にその辺のボタンをバチバチ押して、早速暴走させていた過去があるので、家電は取り説を読まないでいきなりスイッチを入れるタイプらしい。こんなんで科学者になれるのか?と疑問視する声も多いが、その辺の固定概念にとらわれないおおらかな発想が、発明には非凡の才を示すのかもしれない。たぶんこの人は、図面どおり設計しないで、全然別のものを作っちゃって、最初に作ろうと思っていたものより、いいものを作ってしまうような気がする。すごすぎるぜ兜甲児、やはり兜家は偉才の家系。ついでに血液型は当サイトの管理人と同じAB型。

とこのように金持ち少年なのだが、着ているものは、年中ユニクロで買ったような水色のハイネックのシャツとジーンズで、好きな食べ物は餃子という庶民派。生活はいたってつつましく、黙ってみていると、ええとこのボンボンということをつい忘れる。番組途中から見た人は、甲児の家は深川の寿司屋で、母は幼いころに死んで、父と弟と3人暮らしで、その父もドクター・ヘルに殺されて孤児になって食うに困って、光子力研究所に貰われてきたといっても信じるかもしれない。
今となっては、そのへんの見た目にこたわらなさが、逆にお金持ちっぽいなぁと思っていたりする。
誰とでもすぐに友達になれるその性格も、彼の育ちのよさを物語っているのではないだろうか。

女子供には守ってやらねばならない弱いものという古い女性観の持ち主で、男は度胸、女は愛嬌、女のでしゃばりは手に負えない、女のくさったような奴など、男女平等参画を推進する団体がきいたら、怒りそうな発言が多い。でも、当時の男女感としては、これは特別なことではなかったと、贔屓のひきたおしで擁護してみる。女性差別っていうより、騎士道的精神なんだろう、男女差は性差であって差別ではないってことでよろしく。
なお、この番組にみられるいかにも男子が考え出しそうなガキっぽいエロは、豪ちゃん+ダイナミックさんの持ち味で、男子って馬鹿ばっか!と思っている女子には理解しがたいかもしれない。

兜甲児は熱血パイロットの典型して必ず挙げられる人物。後発のパイロット達とも比較されることも多い。
悩みがない性格のため、何も考えて無さそうな頭悪そうなイメージがついてまわるが、そんなイメージとは裏腹に、実際のところは礼儀正しい賢い人物だったりする。
とにかく全体的に旧世代のロートル扱いされている感じが強い。なんかイメージだけが一人歩きして、実像と離れていっている気がする、そして、今では逆にイメージに実像を近づけようと、実像に変貌がきたしているように思える。たとえば狂人の真似事をしているうちに、最初のうちはただの真似事だったのが、まわりが狂人の扱いするので、いつしか本当に狂人になってしまうみたいに。事実以上に熱血やんちゃ扱いされて、後発のメディアでは本当に熱血になってしまったのではないかと思う。

しかし、こんなことをいっているのは私ぐらいで、どこをみても、血の気が多くて向こう見ずと紹介されているので、私の目は悪いかもしれない。熱くなると冷静に判断できなくなるのは、私のほうか。

けれど、8時だよ全員集合だって、当時はPTAが子供に見せなくない番組として、筆頭にあげられていたのに、今ではすっかりその評価も変え、昭和を代表する家族で楽しむ優良番組になっているんだから、甲児の評価ももうちょっと変化してもいいんじゃないかと思う。
実は私も子供のころはこの人のことは好きではなかった。五月蝿いし、騒々しいで。子供のころは、冷徹な鉄也のほうが好きだったんだよね。苦悩する主人公大介さんも好きだった。でも甲児は子供っぽくってどうも好きじゃなかったんだよ。
今鉄也や大介さんを今観ると、どう見えるか、すっごい楽しみ。すでにDVD-BOXはコンプリートしているからね。ウシシ。(牧村美樹風に)ついでにゲッターとデビルマンも確保。

なお、マジンガーZ終了後、続編グレイトマジンガー、グレンダイザーにも甲児はわき役で出演している。しかし、わき役にもかかわらず、この人が出てくると、主役よりも目だってしまい、視聴者がつい目で甲児ばかりを追ってしまうというガラスの仮面でいうところの舞台あらしの現象がおこる。
とにかく登場して30年以上、今も愛される人物である。

とりあえず、甲児の声が森功至でなくて、よかったなと思う。



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