私バンバラ編好き。エラー好き。シン好き。っていうかこの漫画好き。(知っている) 今日はみんなも大好きなバンバラ編のお話です。みんなも好きですよね?バンバラ編。 え?その話題に触れるなって?スルーしろ?そいつはいけないな。私は大好きですよ、バンバラ編。今日はそんなバンバラの面白さについて。 バンバラ編の面白さはですね、パイロットが陸路を使って移動するということですな。 パイロットくせになぜか陸戦部隊にスカウトされてしまうシン。それだけでもおかしいのに、あまつさえリーダーにまで任命されてしまう。もうここからいってオカシイです。ボッシュはパイロットなんて雇ってどうするつもりだったんだ?シンだって、パイロットとして雇われると思っていただろうに。そんなにカザマが気にいったのか、どうなんだボッシュ?きっとそうなんだろうな。 おそらく作戦上、水上機操縦要員が必要だったのでしょう。そんな中で戦士の魂を持ったシンは操縦技量の腕もさることながら、戦士としての資質が高く買われたんでしょう。 しかし、結局その水上機に乗ることなく、部隊は車を使って陸路での移動をすることになります。パイロットなのに陸路で逃走。しかも上空から標的にされてしまう。今までと逆の立場に追い込まれる主人公。しかも最後は白兵戦とくる。おまけに吹き矢まで出てしまう始末。この回、結局カザマは飛行機に乗らずしまいです。エースパイロットなのに、なんと空戦能力の見せ場なし。パイロットが吹き矢相手に戦うなんて、これをおかしいと言わずして、なんといいいましょう。 もっとも、そのおかげでパイロットととしてだけでなく、指揮官としての能力も有するということが判明することとなりますが。以前に教官としても、腕がいいとラウンデルに評価されていたましたし、のちに政財界の黒幕海音寺御前にも、目を掛けられているところみると、この人は一介のパイロットに収まらない、異才の人なのかもしれません。 そして、その道のプロ達が倒れる中で、歩兵としてはド素人のシンが最後まで生き残るというところがまたよいのです。 私は全編通して、ここの話が1等お気に入りです。マーク3の話は、ここだけ独立して読めるぐらい起承転結もはっきりしており、パリでやさぐれ→傭兵→裏切り→大統領の遺産…この劇的な展開をとげるストーリーには、新谷かおる…恐ろしい子!の一言なのです。主人公が一夜で大富豪になろうなんて、いったい誰が想像しえたでしょう。 ◇登場人物紹介◇ ▼シン 本編の主人公。アスラン王国空軍エリア88の生き残り。その中でもかなりの凄腕を誇っていたらしい。かつて所属していたエリア88は、後ろに目がある、ミサイル避けの魔法を使う、血管にジェット燃料が流れている、心臓がビス止めだ、など数々の都市伝説を持つ一騎当千の航空兵団。徐隊後、バリの町をうろうろしているところを、ボッシュにスカウトされる。今回の作戦行動の指揮官。フランス語が堪能で、見た目西洋人にみえなくもない東洋人。女のような外観に似合わず、肝が座っている。口癖は「裏切りには慣れている」 ▼ボッシュ マーク3の隊長。マーク3は、彼らが通ったあとは草の根一つ残っていないといわれる恐怖の殺人部隊。かつて作戦行動中に、自らの手で弟を殺害した過去を持つ。パリの町でふらふらしていたカザマに戦士の魂を見出し、スカウトに見事成功。カザマ本人に入隊の意思を固めさせた日本人観光客のネーちゃん達に感謝しておけ。カザマをして一人で千人を相手に出来ると言わしめる男。その戦闘能力は戦闘機の操縦のみならず、刃物から銃、はては吹き矢にいたるまで広範囲にわたる。空戦漫画の金字塔「エリア88」で、吹き矢が出たときには、誰一人とて予想していなかったその展開に、読者は言葉を失い恐慌をきたした。 ▼エラー マーク3の傭兵。狙撃の名手。暗闇でも90m離れた先にある3センチの標的を打ち抜くことが出来る。女みたいな顔に女みたいな体。素で女性に間違えられること多数。しかしそれを指摘すると、狙撃目標にされかねないので注意。でも2回目までは大目にみてくれるらしい。名前のいわれは、生まれたことそのものが間違い―エラーだったと実の両親に存在そのものを否定されたことから。学生時代その美しすぎる容姿が災いして、男に言い寄られたのを拒もうとして、相手を殺害してしまった過去がある。美少年のマストアイティム棒タイの制服がよく似合う回想シーンは、一部女子を中心に、爆発的人気を誇る。こうした過去ため同人女にはめっぽう愛される一方で、少年漫画版伝統の同人女叩きにより、彼の両親がしたのと同様、存在そのものが否定され、排斥されることもままある。 しかし、作中唯一といっていいほどのハッピーエンドキャラでもある。 ところで本人はよくあることさと言っていたけれど、本当にああいうことってよくあることなんですか?教えて男子校出身の人! ▼マップ マーク3の傭兵。元ラリードライバー。モンテカルロでクラス優勝の経験あり。地図を30分も見せれば、50キロ四方、縦横無尽に車で走り回ることが出来る。今回の作戦においても、ウニモグを使用し、その素晴らしいドラテクを遺憾なく披露。空戦がない本バンバラ編において、ウニモグはまさに主役メカの座にあるといっていい。鑓を持った土人にナビゲーター刺殺され、その報復に原住民をひき殺ろす回想シーンは、バンバラ編最大のクライマックス。アフリカは…いやだ…どこまでいっても血の臭いがする…これを収録せずカットしたワイド版は阿呆としかいいようがない。 ▼スラッシュ マーク3の傭兵。ナイフ使いに長けた傭兵。一撃で相手に致命傷を与え、絶命に至らしめることが出来る。過去の因縁話も語る前に、ボッシュに刺殺されるというある意味回想シーンをカットされたマップよりも不幸な人。もしかしたらバンバラの中で一番不幸な人かもしれない。彼の過去に何があったか、我々にはもう知ることは出来ない。 ▼ニップル マーク3の傭兵。爆発物処理が専門。女房とその浮気相手をロールスロイスごと爆弾を使って殺害し、15年の刑に服役する。そんなことがなければ、今ごろは特殊部隊の隊長あたりになっていたとも言われる人物。 体をはってパイナップルを受け止め、バンバラ大統領家族を守って爆死した最期は涙なしでは見られない。 ▼バンバラ大統領一家 アフリカにあるバンバラの大統領一家。大統領バルラ・オム・ナダド、リデア夫人、ライラ令嬢 ローデ子息。 バンバラはウラニウム・ダイヤの鉱山をもつ国。 革命勃発にともない、シン率いるマーク3部隊とともに、国外脱出を図るものの、あと一歩のところで、ボッシュの牙の前に倒れる。 大統領は死ぬ寸前に遺産をシンに譲りわたし、シンはそれを相続する。その資産は総額にして800億ドル。…そんなに貯めこんでいりゃ、革命ぐらいおこるわ…。一国の国家予算に匹敵する財産を私領し、一夜にして大富豪となった主人公の活躍は今後に続く。誰一人とて予測しえなかったこの最後のオチに、ストーリーテラー新谷かおるの真骨頂を見るのであった。生き残ったリデア王女はエラーとまとまる。王子も存命。しかし、将来成人した大統領子息が遺産返還を求めて、ひともんちゃくおこさないか心配だ。 ※エラーの個所だけ、解説に熱がこもっているのは、管理人が並々ならぬ思いを寄せているためです。 このメンバーでの作戦行動はこれが最初で最後ですが、時系列が許すのなら、他の話も見てみたかったなぁと思います。それぞれの登場人物も魅力的で、一人一芸というのちの砂の薔薇でも使用されるシステムも効果的に作動しており、一人、また一人と殺されていくアフリカの暗闇は、血肉沸き立ち手に汗にぎるとはまさにこのことで、文句無しでおもしろかった。このメンバーの出番がこれ一本だけというのは、残念なことですね。出来るものなら、この面子で別のミッションを、番外編あたりで書いてもらいたかったです。すでにパラレルになってしまいますけれど、それでもかまわないと思うくらい、私はマーク3が好きでした。 ところで、新谷氏の作品に『バランサー』というのがあって、これがマーク3を彷彿させる傭兵部隊の話で、第1話なんて、もうそっくりで、降下作戦から始まります。新谷節を効いていて最後の〆もびしっとキマっていて、1話に限ってはかなり好感触を得た漫画だったのですが、除々に凡庸になっていき、途中から何を血迷ったのか、突如忍者者に路線が変更になってしまいました。前半と後半ではおよそ同じものとは思えない作風と内容となり、その変貌にただ唖然となるばかりですが、いったいこの時期、新谷先生に何があったのでしょうか。傭兵モノがいきなり忍者ですもの。タイトルも当初は『ジャップ』から『バランサー』に変更になったと風の便りに聞きましたが、何かその辺に関係するようなことでも編集部から要請があったのでしょうか。私としては、1話が好きだったので、あの雰囲気で最後まで続けてほしかっただけに残念です。 最後になりますが、バンバラが好きなのは、コンバットスーツに軍用ベレーが格好いいとう極めて単純な、でもそれなりに重要な理由もあります。シンが肩にベレーを通して作業しているところが特に好き。芸が細かくって。この人は波々模様の飛行服より、こっちのほうが断然似合いますね。 絵柄もこのころが一番好きです。後半に入ると、ロリ化が進んでぷにぷにしてくるし、最後のほうになると、王宮のところから突然目にトーンが貼られたりして、ぷにろりめいてくるから、この辺が一番いい。 『背後の牙』の回の扉絵、マップとシンが並んで振り返っている絵、中でもあれが好きでした。
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