Espressoを飲みながら

2001年08月08日(水) Under the sun

 太陽の下、光の中。

 軽く目眩がする。

 ここはいつもと同じ所。
 どこにでもあるただの都会の喧噪。

 アスファルトは鏡よりも太陽の姿をよく映す。

 遠くから深炒りの珈琲の匂い。
 いっそのことグアテマラまで飛べたらいいのに。

 不意に眠気が襲い、記憶が首を擡げる。
 アリゾナ砂漠のガラガラ蛇のように。

 あの時の僕は違うところにいた。
 塩とワインとチーズとハムと煙草と珈琲と人の匂い。
 雑多な人間がただただ駅を通り抜け、
 ただただハムをパンにはさんで口に放り込み、
 それから扉を開いてどこかまた僕の知らない世界へと
 旅立っていく。

 おそらく僕もその風景の一部であり、その中の一人だったのだ。

 なぜか知らないが僕はこんなところに来てしまった。
 机に向かう怠惰でアンニュイな日々。
 
 ああ、あの時の残りの人々は今頃どこにいるのだろうか?

 水車小屋の向こう、風車のある丘の上、真っ白な壁の家、煉瓦造りの大学。
 ラベンダーの畑、空の上、地球の臍、約束の地。

 僕が求めるのはあの4文字の言葉。




 E X I T.


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