休日にしては珍しく早起きな隊長。
どうやらワールドシリーズを見るためらしい。
愛用のソファーにドカリと座り込み、時折テレビと喋りながら一心不乱に野球を見ている。
ワタシはと言えば昨日とは打って変っての秋晴れに小躍りしながら布団を干し洗濯をする。
洗濯機の音がピピッピピッとなる。
「キルちゃん呼んでるよ!!」
どうやら隊長には「キキッキキッ」と聞えるらしい。
ワタシには「タタッタタッ」と聞えたのだが、お互いに都合の良い耳を持っているものだ。
洗い終えた洗濯物をカゴに取り出しながら、「今日夜何食べたい?」と朝ご飯もまだなのに晩ご飯を尋ねる。
「ピザっー!!!」
元気の良い返事が聞える。
水曜日の夜からピザピザ五月蝿い隊長。
「昨日食べたからヤダよー。」そう言うワタシに、
「オレは食べてないもん。それに何食べたいって聞いたのおまえじゃん!!」
と少しムッとしながら反論してくる。
ワタシ的には鍋って答えを期待していたのだが、なかなか上手くいかないものだ。
隊長の言葉は聞かなかったことにしよう・・・と洗濯を干し始めると、
はるか彼方から『ピィーザっ♪チィーズっ♪ピィーザっ♪チィーズっ♪』と応援歌が聞えてくる。
シツコイので今作ることにする。
ツナ缶と玉ねぎがあるのでツナマヨピザでいいだろう。
材料を切ったり混ぜたりし、オーブンにぶち込む。
焼いている間にさっき干し途中だった洗濯物の続きを干し始める。
その時だった。
先に干してあった洗濯物に大きなカマキリが居たのだ。
ワタシは大きな悲鳴を上げ隊長の助けを求めた。
隊長は面倒臭そうにバルコニーに現れると、「でけぇーな」とカマキリを一瞥したのだが、すぐに顔色が変わった。
「貴様のつかまっているのは何だと思ってるんだ!生意気な!」
そういうとカマキリを洗濯物から叩き落とした。
叩き落され凄いスピードで逃げ惑うカマキリ。
隊長は「火あぶりにしてやる」と不敵な笑みを浮かべたのだが、ベランダでそんなグロい行為をされたくなかったので、隊長をなんとか諭し、カマキリを外に投げ捨てて貰った。
「今度また来たら焼くからな。」
隊長はそう言いながら再び愛用のソファーへと旅立った。
ちょっと日向ぼっこをしていただけなのに、なぜにそこまで怒りのボルテージが上がったのか。
それは、カマキリがつかまっていた洗濯物が隊長のおパンツだったから。
世界に配信。
カマキリと隊長のおパンツ。