武ニュースDiary

* このサイトはリンクフリーです。ご連絡はいりません。(下さっても結構です。^_^)
* 引用は、引用であるとわかる書き方なら、必ずしも引用元(ココ)を表示しなくても構いません。
* 携帯からのアドレスは、http://www.enpitu.ne.jp/m/v?id=23473 です。
* 下の検索窓(目次ページにもあり)からキーワードでDiaryの全記事が検索できます。
* バナーは世己さんから頂きました。
* Se inter ni estus samideanoj, kontaktu al mi. Mi elkore atendas vin, antauxdankon!
目次|前の記事|新しい日記
2003年10月17日(金) |
「人物クローズアップ」2 |
幸運の鍵――「恋する惑星」
1994年、彼は大S(その頃はまだおっとりしていた徐熙媛)と一緒に 乳酸飲料のCMに出演した。 降る雪をバックに、2人の金童玉女は「雪露」を手に、 ワイヤーで吊られ、空を飛び回った。 (後の大Sのお相手選びの条件の1つは、金城武に似ているということである。 藍正龍が金城武にどのくらいそっくりかはさておいて、 筆者は個人的に、たぶんこのとき金城武が大Sの心に 極めて深い印象を残したのではないかと推測する。)
同じ年、彼は人気女優アニタ・ユンと、サスペンス映画「香港犯罪ファイル」で共演する。 彼が演じたのは精神科医。妹を何者かに殺されたアニタ・ユンは、 彼が犯人だと誤解し、あらゆる手を使って彼を葬り去り、妹の仇をとろうとするのである。 この作品では、アニタ・ユンが動きの多い表情と動作であるのに対し、 金城武は役柄上、陰鬱で静かな感じである。 幸運にも、これがウォン・カーウァイに武の陰鬱な持ち味に注目させ、 「恋する惑星」の出演依頼をさせることとなった。
カーウァイの映画で、金城武はプリジット・リンに恋心を抱く、失恋した警官223号を演じた。 クリストファー・ドイル撮影によるこの映画は、 ファンタスティックな持ち味の作品として大方の高い評価を得、 金城武の映画の仕事に明るい未来を開くことになった。 この作品の後、期限切れのパイナップルの缶詰といえば 金城武と連想されるようになった。
これもまた幸いなことに、この1年間は、「恋する惑星」出演があったおかげで、 台湾で次々にコメディー映画に出演しても――例えば「報告班長3」「死角都市香港」、 人気者・釈小龍、ハオ・シャオウェンと共演の「チャイナ・ドラゴン」、 あるいはイーキン・チェンのそばにいつもくっついている役(「人魚伝説」)でも、 つまらない役柄をさせられることがなかったのだ。
もしかしたら、金城武は他の人より本当に幸運だったのかもしれない。 まだ演技への評価が確立していない彼だったが、 「恋する惑星」が日本で上映され、大きな反響を得たことにより、 日本人が、この日本名前を持ち、 日本人の血を半分引いた台湾のスターに興味を抱いた。 そしてフジテレビが、人気アイドル宮沢りえ主演のドラマ「聖夜の奇跡」への出演を わざわざオファーしてきたのである。 金城武は中国人留学生の役で、宮沢りえと淡い恋をし、 2人は心温まるクリスマスを過ごす、という話である。
その年、ウォン・カーウァイ監督の「天使の涙」でも、 5歳のときに期限切れのパイナップルの缶詰を食べて(!) 口がきけなくなった若者役の彼が見られる。 成長したこの若者は、真夜中に他人の店を開け、客を強引に引きずり込む。 死んだ豚をマッサージするシーンを、 フランスのルーアンの小さな映画館の暗闇で見た筆者は、 彼の台湾なまりの北京語を聞きながら、笑いながらも郷愁に涙がにじみ、 金城武がこんなにも深く人の心を動かす演技ができる俳優だということを 初めて知ったのだった。
その1年も、彼は依然として台湾映画界でコメディーに出演し続けていた。 飾り物として扱われるのが、90年代の台湾アイドルたちの宿命で、 ジミー・リンに始まり、リッチー・レン、ルビー・リン、あるいは金城武まで、 彼らが学園物映画にその顔をファンに見せるためだけに大挙して出演し、 毒にも薬にもならぬ役柄を演じているのを見ていると、 観客はしまいにはマヒしてしまい、 もったいないと惜しむ気持ちさえなくなってしまう。
大方はこういう状況の中で、金城武が日本から「名を上げて戻った」きた後、 世間はようやく、彼はこのような退廃的持ち味も出せるのか、 今までこの素晴らしい素材をいかに疎略に扱ってきたかに気がついたのだった。
このようにたくさんのコメディー映画に出演したことは、 実は金城武に対する疑問も生んでいた。 彼には作品を選ぶ力がないのではないか? 自覚がないのではなかろうか?
これに対する答えが彼にはある。 日本映画「スペーストラベラーズ」の記者会見の折、 彼は、以前出ていたようなバカバカしいコメディーは 撮影の過程が非常に楽しかったのだと語ったのだったが、 「クォリティーは低い」ことは認めた。 彼はウォン・カーウァイの「恋する惑星」に出演して初めて目を開かされて以来、 映画を愛するようになっていたのである。 (続く)
投票所 ←祝!公開決定。がんばろう!
BBS 1:06
|