(仮)耽奇館主人の日記
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2006年01月07日(土) |
雪に生き、雪に死すのこと。 |
母方の親戚の一人が、ニュース沙汰になった。 津南町の、屋根で雪下ろしをしていた男性が、屋根からの崩落とともに崖下まで落ちて、亡くなったというあれである。 真っ先に知らせてきたのは、はとこのささらだった。 携帯メールでYahooニュースを見て、見てというので、見たら、見覚えのある名前が出たというわけだ。 例の、見附のイエアゴー伯父より、遠い血縁なのだが、私には非常にいい感じの人物だった。 確か、昭和五十年代も、今回に勝るとも劣らずの豪雪だったのだが、信号機よりもはるかに高く積もった、三メートルクラスの積雪の中、親戚の結婚式に駆けつけた際、幼かった私に雪玉の握り方などを教えてくれたのが最初の出会いだったと記憶している。 ほんとうに雪にまみれた人だった。 だから、雪で死んだというのは、かえって本望なのかもしれない。 おふくろは雪国に見切りをつけて東京へ逃げ出したクチだが、いつも私に雪の恐ろしさを語っているあたり、生まれ育った雪国への憧憬が見え隠れしていた。 私自身も、雪下ろしをしている最中、三回くらい屋根から落ちたことがあるので、それなりに雪の恐怖を体験している。 凍った雪の塊を屋根からまともに顔に食らったこともあるし、間違って雪道を踏み外して、崖下へ転落しかけたこともある。 雪はほんとうに恐ろしい。 ささらと電話で話して・・・ 「妙高はどうだ、そっちもひどいもんだろ?」と私。 「うん、ひどいよー、雪かきにきてー」とささら。 「行けたら行きたいけど、今は交通手段がにっちもさっちもいかねえだろ」 「そうだねー、特急もヤバイらしいし」 「まあ、自衛隊も出動したようだから、ピークは何とか耐え忍んで、春はスキーに行くから、そん時いつものように雪かきしてやるよ」 「うん、ほんとにこっち、若いのがいてもみんな手伝う以前に、やり方知らないから、おじいさんしか頼りにならないんだよー」 そうなのである。 報道では、高齢化のために、雪国は今までとは違った不安を抱えているというが、よほど家族と絆の深い若いものでない限り、今の雪国の若者は雪かきをやらないし、やり方すら知らない。 それで、危なくて見てられんと、おじいさんがやり出すというパターンもあるだろう。 高齢者は確かに経験があるだろうが、雪かきをやれるほどの体力があるわけがない。 やらせんな、じい様に。 だから、小さい頃から、いかに家族とどれだけつきあうかだろう。 おふくろや私の代までは、どれだけ子供であっても、雪かきを手伝うのは当然だった。 雪で怪我するのも経験だったのだ。 それが今では子供を甘やかして、大人の仕事にしちゃってるから、今回のような死亡事件が続出したとも言えるだろう。 私がこんなことを言うまでもなく、今回はほんとうにシャレにならない豪雪なので、ささらよりも幼い子供たちまで、雪かき用のスコップを手に、近所総出で雪かきをしている。 そうしなければ、ほんとうに死んでしまうからだ。 津南町の親戚のご冥福を祈りつつ、雪による精神的な絆の深まりを喜びつつ、私は合掌する。 今日はここまで。
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