(仮)耽奇館主人の日記
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2005年11月16日(水) |
絶望に効く特効薬のこと。 |
色々なことがあったが、はしょって、この度、お寺で人生相談を受け持つことになった。今までは檀家限定だったのだが、今度からは老若男女、誰でもオーケーである。 相談員は、三人。即ち、私、住職の従弟ケンタ、副住職のミスラ君である。 ミスラ君には、浅草界隈の外国人たちが口コミで相談しに来るので、なかなかの盛況だ。 お寺に様々な外国人がやってくるのを見て、他のお寺はあまりいい顔をしないが、私は常に知らんぷりを決め込むことにしている。 そもそも、お寺は、人々の絶望や苦悩を受け止める場所なのだ。 お布施をもらって、墓石を死体の頭に乗せるだけなら、最近のニュースに登場するエロ坊主、生臭坊主にも出来る。 で。 お寺での人生相談はあくまでも、正門の横に掲げている掲示板で告知しているだけなので、ここで私に相談したい方はエンピツフォームからメールを送って下さい。メールで相談に乗ります。一発即答。 さて、前回、リストカット少女が来て、日本刀をちらつかせた上、精神注入棒で叩きのめした私だが、今回はそのリストカット少女が親友の女の子を連れて来て、相談に乗ってやってくれと言って来た。 「あたしと違って、マジで死にたいんだって、○○○ちゃん。親は離婚調停でケンカばかりしてるし・・・何とか面倒見てよ、危なっかしくて見てらんないから」とリストカット少女。 「やっぱ、テメー、死ぬふりして腕に溝掘ってただけかよ。このタワケが。んで、○○○ちゃんとやら、一体全体なんでそんなに死にてえんだい?」と私。 話を聞くと、単純も単純、一人で生きるのが怖い、絶望的だとのこと。 それで、ネットで集団自殺の仲間を探して、連絡を取り合って、待ち合わせの場所に行ったら、すっぽかしを食らって、リストカット少女に電話をかけて、一緒に飛び降りようと言って、いつの間にかここへ連れて来られたと。 「おまえさん、一人で死ぬのもこええのか?え?」 ○○○ちゃんはうつむいたまま、黙っているだけである。 「バカ言ってんじゃねえよ。死にたきゃあ、一人ぼっちで死ねって。その方が確実に死ねるぜ、そうすりゃ、こいつにここまで連れてこられやしねえからな。どっちにしたって、おまえさんは、結局甘えんぼさんなんだよ。絶望だなんてカッコいい言葉を使ってんじゃねえ。いいか、甘えんぼってことはな、結局人間が好きってことでな、誰かが側にいないと不安で不安でしょうがねえんだ。そんなのは絶望って言わねえよ、こいつもよ、腕刻みまくるのが好きなバカだが、一応、おまえさんのマブダチだ。マブダチがいるのは、救いがあるぜ。お互い大事にして、レズるくれえに大事につきあってだ、しっかりやんなよ、なあ」 以上、相談終了。
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本当の絶望とは。 決して、生きる望み、気力を失ったことではないのだ。 一人ぼっちでいても、一人ぼっちで想像力を働かせても、生の感覚、死の感覚、すべての感覚を全く味わえなくなることである。 なんにも感じられなくなるなんて、これ以上の絶望があるだろうか? しかし、絶望から生き延びる方法はある。 それは、肉体的にエロに走ることだ。 オナニーであれ、セックスであれ、何でもいいから、チンコがおったつ、マンコがびしょ濡れになることを肉体的に具現化することだ。 そうやって、自己を内側から、文字通り盛り上げること。 自家発熱こそが、失った感覚を取り戻す唯一の方法なのだ。 私は、人類にとって、動物的な性欲と様々な欲望から成る禁忌がエロたりえるのは、バタイユが定義しているように、まさしく自己を乗り越えることが出来るものだからだと確信している。 とりあえず。 凹んで、落ちて、八方ふさがりになったなら。 オナニーしたまえ。 若いうちはそれが絶望に効く特効薬である。 今日はここまで。
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