(仮)耽奇館主人の日記
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2005年03月29日(火) 今の時期に読むミステリのこと。

弱り目に祟り目というやつで、花粉症、風邪に苦しんでいるこの頃は、食欲もなく、性欲もなく、自分でも驚くくらい、げっそりとやつれてしまった。
気分もさながら、重く垂れ込めた、今にも降り出しそうな雨雲という塩梅である。
そんな私を癒してくれるのは、専ら、恋人の紋とのメッセなのだが、彼女と話していて、ほんとうに盛り上がる話題がある。
私たちを強く、深く、結びつけるもの、即ち、読書だ。
読者諸兄もご存知の通り、私の読書量は異常といってもいい。しかし、紋の読書量もまた、私が舌を巻くくらいなのだ。
さて。
最近は、「アメリ」のジュネ監督と主演のオドレイ・トトゥのコンビが再び組んだ、「ロング・エンゲージメント」の原作、セバスチアン・ジャプリゾの「長い日曜日」(創元推理文庫刊)を読んだ。
なかなか面白かった。
でも、はっきり言って、物足りないので、過去に読んだなかでパンチのきいたものを読み返して、やっと満足した。
トマス・ハリスの一連の、ハンニバル・レクター博士ものは、余計花粉症が悪化しそうなので、そういう重いものより、気楽に、かつ、楽しく笑えるものを選んだ。
最近、WOWOWでタイミングよく、チャップリンものをやっているが、ああいう普遍的な笑いを眺めるだけで、辛さを忘れられる。
そういう本とは。
私のセレクトでは、何といっても、アラン・グリーンの「くたばれ健康法!」(創元推理文庫)にトドメを刺す。
見出しをここに引用しよう。

ブロードストンが殺されたと聞いて、世間の人は笑い死にしそうだった。彼は全米に五千万人の信者をもつ健康法の教祖様。鍵のかかった部屋のなかで背中を撃たれ、それからパジャマを着せられたらしい。この風変わりな密室殺人の謎をキリキリ舞いしながら捜査するのは、頭はあまりよくないが、正直で強情な警部殿!アメリカ探偵作家クラブ賞に輝く、ユーモア本格ミステリの傑作。

結末はマナーというやつで、沈黙を守るが、本当に辛さを忘れられるくらい、ニヤッとさせられるので、是非一読を。
ちなみに私の頭のなかでは、この殺された教祖様のイメージは、アーノルド・シュワルツェネッガー、そして我らが警部殿は、ティム・ロビンズの配役で読み進められた。
あくまでもイメージだから、この通りの配役でなくてもいいから、この作品は是非ハリウッドで映画化して欲しい。
ほんとうにそう思うくらい、これは普遍的な笑い、気持ちよく笑える清涼剤であった。

最近、心の底から笑えるメディアがないだけに、こういう笑いを自らセレクトするというのは、なかなか大切なことだ。

心の健康のためにも。

今日はここまで。


犬神博士 |MAILHomePage

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