(仮)耽奇館主人の日記
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2005年03月12日(土) |
近況報告其の壱、不老不死の妙薬のこと。 |
まずは近況報告。 ただ今、花粉症と風邪のダブルパンチで悶絶中です。 おまけに、生家のお寺の現住職の従弟が、座骨神経痛でリタイアしたため、急遽、住職代理を務めなければならなくなりました。 よりによって、お彼岸のあるこの忙しい三月に。 しかも、本業も季節の変わり目だから、何かと大変です。
しかし。
楽あれば苦ありというやつで、二月後半は、上にアップした写真の通り、ランタンフェスティバル開催中の長崎へ行ってきて、恋人の紋と濃密な五日間を過ごしたので、その代償と思って、忍の一文字で何とか乗り切ります。 長崎については、また詳しく報告するつもりです。
肝心のホームページ制作ですが、「耽奇館主人の日記」を象徴するのに、バッチリのイメージが、近所の真間という町にあるんですが、なかなか撮影の許可が下りなくて撮れてないので、遅れっぱなしです。 元々は西洋館だったところで、館そのものは現存していませんが、真ちゅう製の門扉はそのままの形で残っていて、毎日のようにそれを眺めていた子供の頃の私は心の中で「魔王の扉」と呼んでいました。 とにかく、雰囲気たっぷりな上に、個人的にも思い出深いところなので、絶対撮影してホームページに使うと決めています。
もう、そろそろ鐘をつく時間ですが、昨晩からお寺に詰めて、これを書いています。 金曜の夜は、浅草の料亭で、お寺仲間たちと食事をしていましたが、その中で面白い話題で盛り上がったので、その話をしましょう。 檀家たちは色々相談をしにくるものですが、そのうちでも、一番奇怪な相談の内容は、「まだ死にたくない、どうやったら死なずにすむか」というものです。 誰でも一度は思うことですが、本気まるだしで、しかもある種の期待感を込めて、坊主に相談しにくるのは、ちょっと、唇がつりあがってしまいます。 面白いことに、宗派がそれぞれ違っても、どこのお寺でも、必ず一件か二件はあります。 当然、うちもありました。 たいていは、「誰でも死ぬんだから、あきらめて、気持ちよく死ぬために、ちゃんと生きなさい」と諭すのですが、私の場合は、「死なない方法」を教えました。 即ち、不老不死の妙薬です。 まず。 第一に、鯉の生き血。 第二に、子供か処女の生き肝。 第三に、絶対死なないという強烈な意志。 この三つが揃って、初めて、不老不死が成り立つと言われてるんだよと申し上げましたら、相手は奇妙な薄笑いを浮かべて、うんうんと頷いていました。 「二番目までは怪しいけど、三番目は確かだよねぇ」と檀家。 「そうですね、やっぱり、気持ちの持ちようなんですよ。もうダメだ、死ぬなんてぇお人は、早くくたばりますが、まだまだ生きてやるってぇお人はなかなかくたばりませんやね」と私。 「そういう人っていたかい?」 「いましたよ、何人も。最近じゃ、毎日のように中山競馬場に通ってるギャンブラーの方がいましてね、肝臓がんなんですけど、頬がこんなにげっそりこけちゃって、皮膚なんかなめし皮のようになっちゃっても、まだ生きてて、馬券を買ってますぜ」 「生きがいか・・・」 「ええ、賭博こそがその人にとっちゃあ、生きてるってことなんですねぇ。もし、中山競馬場がなかったら、とっくにうちのお寺の下で眠ってるはずでさぁね」 「あたしの生きがいは、さしずめ、吉原通いかな?あんたは何ですい?」 「私ですか、そうねぇ・・・いっぱいありますよ。両手両足じゃあ、とても数え切れませんや」 「それじゃあ、死ねないねぇ。例え、死んでも、すぐ起き上がってきそうだよ」 「そのつもりでござんすよ」
最近、「Xファイル」のDVDが隔週刊で販売されているのですが、リアルタイムで観ていなかった若い世代が、この番組を観て、私の携帯の着メロがなにゆえにずーっと「Xファイル」のテーマなのか、ようやく理解出来たと言ってきました。 特に、「スクィーズ」に登場したユジーン・トゥームズは、ダイレクトに私を思い起こさせたとか。 五個の肝臓を食べて、三十年冬眠して、不老不死を保つ男。 そんな怪人と同じ扱いをされることには、思わず苦笑してしまいますが、本当にそれで不老不死が得られるなら、私は躊躇しません。 お寺育ちのくせに何事かと思われそうですが、今の私は気持ちよく死ぬより、苦しんででも生き続けたいです。 その最大の理由は。 まだ読みたい本を読み切っていないし、色々やることがいっぱいあるからです。 そういうこと、 人生はまさしく苦しんでまで、生きるに値します。 今日はここまで。
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