ここまで剥くのに「ギィャ〜!ギョェ〜!!」大騒ぎ。 食い意地道を真っ当するのも大変です。イヤ、マジで。
アチラ、コチラに記される、林檎に関する一連の苦悩。 生林檎を噛る時の、あの爽やかな 「シャクシャリ」という音を聞くと鳥肌がたつ女K。
以下は、そんな奇癖を持つ女が、林檎なんて食わなきゃイイのに、 「そんでも食べんねん!!林檎の味好きやねん!!食べたいねん!!」と、 呆れる程の食への執着が故に、いかにして試練を回避し、 林檎を味わうかを真剣に検討する悪あがき考である。
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例えば、おろし林檎。 アレは本当に美味しい。 風邪をひいた時など、だんぜんに食べたくなる。 おろし林檎を口にいれると、 熱で火照った身体にすんなりと染み渡り、身も心もほぐしてくれる。 せっかく風邪もひき、身体もだるい事だ。 そうだ!皮を剥く必要などない。 この際、有機栽培だかなんだかの林檎を使って、 皮剥きを省こうじゃないか。 ただすりおろせばいいだけだ。 …………………て!
賢明な方も、そうでない方だって、お気づきであろう。 そう、すりおろしている間中、「シャクシャリ」と音がする。 それが問題なのではないか。 ひょっとして…………………阿呆?私?
それは私にとって、地獄の責め苦のようなもの。 皮剥きを省いたところで、何のメリットもないどころか、試練増幅。
駄目じゃん。
例えば、焼き林檎。 たっぷりバターにほんのり甘味のついた焼き林檎。 寒い冬、暖かくした部屋の中、 ストレートの紅茶といただくのは中々に旨い。 頻繁に食べたいものではないが、一冬に一度は口にしたい。 オーブンから焼き林檎を取り出す。 熱で皺のよった林檎の回りに、グズグズと音を立て、 砂糖の絡まったバターが小さな泡をたてている。 熱々の焼き林檎を一匙すくい、回りのソースをからめる。 火傷しないよう、充分に注意して口にほうばる。 うンまっ!!
…………………しかしその至福を味わうためには、 林檎の芯をくり抜き、中にバターと砂糖、 そして少量のレモン果汁をほおりこまねばならない。 もちろん芯をくり抜く際、しっかりと「シャクシャリ」を耳にする。 …………………はぁ。
駄目だ。
結果。
例え有機栽培だかなんだかの林檎を使って、 皮剥きを省いたところで、絶対的に試練はあるという事だ。 どれもこれも皮をむかなくったって、 最低限、林檎を切らねば、先の調理には進めないのだ。 その際、「シャクシャリ」という、 多くの人々には小気味イイ、例の音を伴って。
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