「ああ、昔はせなんだてソラ当たり前や。 アレは海苔業界の人が作った行事やもん。 店の大将が言うてたし、間違い無いわ」
………………………………即答であった。 身も蓋もないとはこの事だ。 一応バレンタインの事もあるし、 ひょっとして、寿司業界の陰謀かと訝しんではいたものの、 海苔屋とは盲点であった。 確かに家でやりだしたのは、彼女が寿司屋で働き出してからで、 海苔業界の策略に便乗して、寿司屋も普及に勤めていたのだろう。
しかし昔からの風習でもなんでもない事が、 クッキリハッキリ、火を見るより明らかだったと言うのに、 おかんよ……………。
なに張り切って、阿呆みたいな事させとんねん………。 子供が面白がって楽しむのはわかるが…………。 ……………おかんよ……………。
まったく、海苔業界が言い出しただけに、 ノリやすい…………。
などと自爆するような、やすっ〜い冗談でも言うしかない。
そんなことを思い出しつつ迎えた今年の節分。 実をいうと、ひそかな今年のテーマの一つに 『昔ながらの祭事を子供の時みたいにやる』 というのがある。
そういう訳で、正月休みには お彼岸とかにできそうもないお墓参りもしたし、 おせち料理もたらふく食べた。 七草粥だって、一応は作った。 『節分もやらな!』だ。
節分といえば、とにかく豆と鰯。 これぞ由緒正しい節分……などとソノ気になったものの、 豆まきはともかく、鰯をどうするのか知らなかった。
ネットで調べた所、いろんな説があった。 頭をヒイラギの葉とともに家の前に飾り、 葉のとげとげと鰯の頭の臭い匂いで、鬼を追い払うという説。 鰯を焼く匂いが臭くて、その匂いで 鬼が家に寄り付かなくなるという説。
ま、さすがに部屋の前に 生臭い鰯の頭を飾る気にもなれなかったので、 鰯を丸焼きにして夜御飯にした。 だいたい、子供時代といえど、 実家ではそこまでやってなかったし、ヨシとする。
そして、太巻寿司を丸かぶりするようになる前に食べていたもの。 『勝手寿司』の登場だ。
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