昨日の印象があまりにも強く 夕べは疲れているのに なんだか落ち着かなかった これから とても楽しみな何かが 待っている時みたいに 誰かに恋した時みたいに 胸が苦しいのだった
あの豊かさはどこから来るのか 思い出しながら考えていた そして気付いたのは たくさんのリメイク服はひとつとして 同じ物がなかったということ 似たような形のものはあっても どれもその布だからこその 使い方がされていたような気がする
ショーの中で 身に付けたリメイク服について どこを工夫したか どんな経緯で その形や布合わせになったか メンバーによる細かな説明があった 機械的に同じ形に それぞれの布を当てはめた訳ではなかった
作った人が 作ったときの想いを加えながら わたしに届けてくれるとき それは圧倒的なちからを持って伝わってくる 取り上げられなかった他の沢山の服も ひとつひとつ創作の時の 物語を持っているのだ
裏話やそれにどんな苦労があったか そんな事は表に出さず むしろ商品だけを見て欲しい という考え方もあるだろう 実際に商品を見るだけでも 見えない何かが そこに込められているからこそ 豊かな気持ちになれたのかもしれない
けれど やっぱりわたしは そこに確かにひとの存在を感じたい 誰かの試行錯誤こそを よしとしてお金を払いたい 作り手が見えない商品は なんだかヌケガラみたいで寂しい
誰かに着られていた着物 既にひとりの人間の 人生のいっときの物語をともにしていた着物 そこに作り手が 自分とその着物でしか生まれない 物語を紡いでひとつの服を作りあげる
だからこそ こんなにも充実した気分になれた まるでいっぺんに 何百人ものひとのオーラを感じたみたいに
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