Shigehisa Hashimoto の偏見日記
塵も積もれば・・・かな?|それまで|これから
2002年09月10日(火) |
アニメ思い出館 第1回「戦国魔神ゴーショーグン」の巻 |
ちょいとばかし自分の好きなアニメについて語りたくなりました。理由は・・・特にないです(わしはいつもその日暮らしで行動しているのだ!)。上手く書くことが出来たら今後、日記の合間にぽつぽつ「アニメ思い出シリーズ」を挟むことになるかもしれません。どうかご容赦を・・・ま、前置きはこの辺にして早速行ってみましょう。第一回は「戦国魔神ゴーショーグン」です。
簡潔あらすじ 歴史の陰で暗躍する巨大結社ドクーガは今や絶大なる勢力を振るっていた。これに対抗できるのはゴーショーグンを持つグッドサンダーチームだけだ。謎のエネルギー「ビムラー」をめぐり両者の激しい戦いの火蓋が切って落とされる・・・
個人的解説 初見から5年近くの歳月が流れようとしている。実はそのとき以降私はこの作品を全く見ていない。それでも私の中では鮮烈なイメージが心に植え付けられた。星の数ほどあるロボットアニメの中で私はひょっとするとこの作品が一番好きかも知れない。それほどインパクトの強い作品である。
話に大きな魅力があるわけではない。基本プロットもどちらかというと凡庸だし各話を見渡してもそれほど秀逸なものはないと思う。それでも私がこの作品に惹きつけられるのは何といっても登場するキャラクターが個性に満ち溢れていることと、製作者達のよい意味での「お遊び」が功を奏したことに尽きる。「善」側のグッドサンダーチームも「悪」側のドクーガの面々も実に魅力的なキャラクターである。特にレオナルド・メディチ・ブンドルとレミー島田は出色のキャラクターであることは間違いないだろう。ブンドルはその耽美的な性格を徹底的に具現化したという点でロボットアニメ界において記念牌的キャラクターとなった。彼の行動原理は常に美しい・美しくないというふるいによって分けられ、従って組織に体をしばられることはない。ただひたすらに己の欲望を追求する姿はこの時点においてかなり革新的だったのだ。対するレミー島田の描写も秀逸である。コケットリーな一面を覗かせながらも決して同僚の真吾やキリーに秋波を送ることのない気さくであっけらかんとした態度が魅力の大人のキャラクターである。彼ら3人がつかずはなれず、玉虫色の関係を保ち続けたのも大人の洒落た雰囲気を醸し出すのに一役買っていた。これは全くの推測であるが女性にも好かれるキャラではないかと思う。この二人を中心として繰り広げられるキャラクター同士の掛け合いは見ていてとても楽しいものであった。 「お遊び」の方は言うまでもなくメインスタッフ・首藤剛志の得意とするところで「ゴーショーグン」でもその才能は如何なく発揮されている。ただしこれがその後の小説版や劇場版になってくると話は別でスタッフの思い入れがありすぎるせいか、なんとも暗い話になってしまったのが残念。
キャスト面ではやはり先にあげたブンドルとレミーをそれぞれ演じた塩沢兼人、小山茉美の功績が大きい。特に塩沢にいたっては同氏が演じた数々の作品のキャラの中でもこれが一番のはまり役といえるほどの演技の冴えを見せた。ブンドルはスタッフの用意した設定に塩沢氏が「命」を吹き込むことによってさらなる輝きを得た、いわば相乗効果で生まれた奇特なキャラクターである。彼が若くして鬼籍に入られたのは本当に残念でならない。閑話休題。小山氏の演技もまた素晴らしかった。レミーの匂い立つような色気ではない、さばさばとした健康的な女の魅力を実に的確に表現していた。この時期すでに「アラレちゃん」でトップ・プロとして活躍していたがこの人ほど声質と演技力に幅のある人を私は知らない。前出の塩沢氏が特徴のある声によってスターとしてのステイタスを確保したすると、小山氏はその対極に位置する人と思われる。声優面でもこの作品は非常に恵まれていたのだ。
ともあれ「戦国魔神ゴーショーグン」はリアルロボット隆盛の時期にあえて「バラエティ・アニメ」ともいうべき多彩な群像とスタッフの熱意が結実した稀有な作品であった。機会があるならばぜひもう一度観てみたいものである。<第一回終わり>
橋本繁久
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