しむちゃんのつれづれ日記
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2003年05月17日(土) 資金注入決定、それから・・・。

「大手金融グループのりそなホールディングス(HD)が17日、公的資金注入の
申請を決めたことを受け、政府は同日夕、預金保険法102条に基づき初の
「金融危機対応会議」(議長・小泉純一郎首相)を招集し、HD傘下のりそな銀行
への資本注入を決定した。申込期限の30日まで申請を受け付けるが、注入額は
2兆円を上回る規模となる見込み。
日銀も同日夕、りそなへの特別融資の実施を決め、資金繰りを支援。政府・日銀は
一体で金融危機防止に全力を挙げる方針だが、大手行が実質的な政府管理に入る
ことで、金融システム不安が拡大する懸念もある。
大手銀行に対する資本注入は、金融早期健全化法に基づき、優先株などで注入した
99年3月以来4年ぶり。昨秋策定された金融再生プログラムに基づく「特別支援
金融機関」の適用第1号となる。」 (時事通信)[5月17日23時3分更新]

りそなはあさひ銀行(旧埼玉銀行)と大和銀行の合併銀行。
どちらも地元密着型の都市銀行であるのですが、いわば地銀の発展型にすぎません。
あさひ銀行は地理的に東京に近いこと、大和銀行は信託業務をかかえていることが
強みではありました。でもそこが本業の戦略に焦点が絞られなかった大きな理由で
あり、結局は地域密着という本来の姿に帰結してしまったという悲しさがあります。

銀行のみに公的資金が注入されるスキームが存在しますが、これは明らかに銀行は
公的な企業であることを意味しています。金融システムの根幹を担っているから。
人体でいうと心臓の機能をしている銀行ですから、ここがおかしくなると人体の
全ての機能がおかしくなってしまうという重要な位置付けにあります。血液は現金
に置き換えることができますが、心筋梗塞が起きてしまうとまさしく人体にとっては
致命傷になるわけで、銀行の不健全性は企業や個人の生活を脅かすことになります。

銀行には金融庁が公的資金を、企業には産業再生機構が介入することで再生させる
スキームを作りました。どちらも我々の税金が資金として活用されます。マスコミ
では公的資金の方がよく報道されていますから、銀行と公的資金のことは耳にした
ことはあるんじゃないでしょうか。

銀行も企業もその取引先の数の多さで信用収縮あるいは信用拡大の影響が出てきます。
銀行の取引先の数は企業のそれとは比較にならないほど多く持っています。企業は
選択と集中を推し進めるため、取引先の数を減らす方向にあります。だから余計に
銀行の担う役割は大きくなってきています。どういうことかというと、企業対企業の
信用は相手企業の信用に影響されますが、銀行対企業では多数対1の関係にあります。
1企業は優良でも1銀行の不健全正のために多数の企業が信用を無くすことがある
というのが銀行の関与する金融システムの怖いところです。銀行の公的使命が大きい
のはこいうところにあるんです。政府が1企業である銀行に公的資金を使用すること
にしたのもこの背景があります。1企業に政府が関与するのはおかしいという指摘も
ありますが、いざという場合のバックアップを誰にもできない仕組みでは、金融機関
だけでなく、信用収縮という経済的な効果の観点からも見逃すわけにはいかない。

金融機関の検査基準強化や企業の時価会計の強化が進むことで業績への影響が懸念
され、そこから市場への懸念が転化されるといいますが、そもそも悪いところが
あるのかないのかという情報の不一致という側面で相手方の担保を要求していた
仕組みそのものが不良債権の増加を促したことになっていると思います。つまり、
企業の業績に対する情報の提供に全くの信用を置いているわけではない、個人の
信用にリスクを感じるからこそ銀行は担保を要求する。その情報の中身に信用が
置けるようになれば担保要求することなく情報によりリスク算定をして金利を設定
すればいいのだから、担保を取る必要もなく、不動産神話もなくなる。貸出金利とは
相手方の信用度合いによって設定されるものだから、本来の金利設定に戻ることが
できるのならば、バブル時に発生した不動産神話は起こらないことになります。

そもそも銀行の貸出姿勢がバブル前に不健全になったのは日銀の窓口規制が背景に
あったのですが、このことについては以前に言及したので今回は省略します。
銀行業界は日銀のこの窓口政策にやむなく対応したわけですが、資産価値として
一番安定していた不動産に貸出を紐付けしたところまではよかったのですが、その
商品設計に問題があったことになりますね。価値が変動する不動産に当時の価値の
満額で貸出を行ったことが問題でした。問題の根源は日銀でしたが、それを具現化
させた銀行のやり方にも問題があったわけです。今はそのマズさを一生懸命に修復
している最中。アク出ししながら経営責任を取らせることは正しい行動だと思います。

短期的にはデフレ圧力になりますが、長期的にはやらなくてはならないこと。
破滅的な危機に陥ることでなければ辛くても実行すべきこと。これに手を付けなかっ
たバブル後の失った10年を省みると、今行わなければ永久に行われないでしょう。
辛い目に会わずしてアク出しはできません。小泉内閣がやろうとしてなかなかでき
ないのは、この辛い目に会うことを拒否している政治家、国民の反対に直面して
いるからです。だから予定が予定でなくなっている。予定通りにならなくてそれを
約束違反として潰しにかかる。こういった不健全な行為があるからいつまでたっても
構造改革は成し遂げることができない。

構造改革とは仕組みを変えることと個々人の意識の変化を促すことですから、従来の
やり方や意識を変えないならば構造改革は不可能です。今までのやり方とは違うから
それは間違いだとするのではなくて、正しいか間違いかは客観的に見てどうなのかを
その都度判断できる能力も必要になってきます。その時の時流に流されることなく。

少なくともデフレ対策に関しては従来の成功事例なんかは存在しませんから、従来の
対処療法では傷口が悪化することになります。目先の景気回復を狙った財政支援は
国や地方自治体の体力を落として長期的な借金の増加を促がすことは見えています。
将来の不安を増加させていることですから景気回復とは逆行したことをしています。

10年経過してようやくバブル崩壊の仕組みが解き明かされようとしています。
これからはその対処をするステージに入りました。長期的な不安を増加させること
なく景気回復を促がす処置をしなくてはなりません。だから国債や地方債に代わる
資金調達あるいは資金発生方法を考えなくてはなりません。そのひとつとして考え
られているのが政府通貨の発行。日銀のバランスシートを悪化させることなく資金
を発生することのできるこの方法。政府には出せるカードは残っています。

ちなみに紙幣は日銀紙幣、貨幣は政府貨幣です。
問題は円の価値の低下により為替に影響が出ること。
政府通貨の発行には為替問題も含めて検討すべきことがたくさんありますが、それ
以上に短期的に効果のある方法を考えている時間はないということ。恐らく政府に
具申している人はいるのでしょうが、それを取り上げないということはそのリスクが
大きいと感じているのでしょう。そろそろ国会審議でも取り上げて欲しいですね。

長くなったので今日はこのへんで。

はい。今日は曇り。(東京地方)


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