しむちゃんのつれづれ日記
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2003年03月04日(火) 負の連鎖

事業を考える際によく使われる言葉が「価値連鎖」。
もともとは英語で"Value Chain"と言ったものを和訳した言葉。

価値のある事業を繋げることで、より価値の大きい事業に育てる。
この繋がりを持たせるためにどんな事業を持つことが有利なのかを
考えるのが本社の戦略企画Gというところ。会社の中枢です。

この価値連鎖という考えは昔からあったものではなくて、ここ数年で
取り上げられるようになった。それは「選択と集中」とともに経営の
キーワードとして使われるようになりました。

この価値連鎖が無かった頃、それでも成り立ってきたのは経済成長の
世の中で、成功している事業が失敗した事業をカバーできるだけの
利益を出していたから。総合メーカなんかはその最たるものです。
リスクのある事業を保有するということは、その潜在的な成長性を
発揮させた時のリターンも大きいということ。そのためには失敗しても
それで倒産の危機に至るようなことのない体力が必要です。事実、その
体力があったからこそ成長してきた。

それがバブルの崩壊とともにバランスシートの改善が必要になって
くると、よりリスクの低い事業にしか投資できなくなって、前述の
成長性を追えなくなってしまう。結果として成長性が止まってしまう。
これが経済全体としての成長の停滞を引き起こしてしまっていると
考えられます。これを「負の連鎖」あるいは「負の循環」といいます。

潜在的な生産性はあるのに需要が落ちたためにそのギャップが生じた
からそれを埋め合わせるための需要喚起をするのがケインズ政策。
小渕内閣を始めケインズ政策をしたにもかかわらず短期的な持ち直しに
終わってしまったのはこのギャップが存在していたからではなくて、
生産性が落ちたからだという意見もある。負の連鎖によってね。そう
なると需給がバランスするポイントが落ちたという見方が自然です。
元の軌道に修正できない問題をはらんでいるからです。

それを端的に表した言葉が「悪い均衡」。

均衡点があるべきところよりも下方で均衡している状態です。
これが修正であるならばまた均衡ポイントは上昇するはずですが、その
兆候がないということは修正ではなくて固定しているのかもしれません。
これでは政府が規制したりお金をばら撒いてもいずれは元の悪い均衡で
収束してしまうことになり何ら問題の解決になりません。
(「規制」とは「保護」と置き換えても同じことです。)

ここで注目されるのが先に述べた「負の連鎖」を断ち切ること。
これが不良債権の処理です。政府が行っていることは間違っていません。
ただ不良債権処理をすることだけを目標にひたすら突き進むのは必ず
痛みを伴います。しかもこれで景気が回復するとは言い難いものです。

これは景気回復の特効薬ではなくて、長期的に見て悪い均衡を元の均衡
に戻すことが目的であるので、短期的に景気回復を求めるのなら従来の
ケインズ政策を大規模に推し進める方が効果があると思いますが、その
代わりに大借金を抱えることになるのでは将来の返済が苦痛になって
しまうので良くない。そのための政府通貨発行なんだけどね。

そういう意味で不良債権処理と政府通貨発行はパッケージで行うもので、
どちらかひとつというのでは片手落ちでしょう。どちらもひとつだけ
では説明に苦慮するでしょうし、そもそも日銀が協力しないでしょう。

いずれにしても景気が回復するのは長期的に安定した生活が期待できる
環境になることを国民が感じ取れるようにしなければならない。目先の
利権に目がくらんでいる政治家にはできないことなんだろうなぁ。選挙
で自分が当選することが一番の望みだから。そのための小手先政策は
必要無いんだよね。街頭演説している不勉強な地方議員もね。朝早くから
お疲れさまと言いたいんだけど、笑ってしまうようなことを人前で発言
していては情けないのひとことです。朝の駅前でいつも思う。

ま、そんなことはどうでもいいとして、信頼関係で繋がっていた取引が
いつのまにやら不信感で渦巻いている状況は払拭しなければならない。
この「負の連鎖」を断ち切るための不良債権処理。どうにかしなきゃ。

はい。今日は晴れ。(東京地方)


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