| 2003年02月25日(火) |
真面目な人ほど陥りやすい罠(原口大使のスピーチ仮訳に対する批判に対して) |
今日は小千谷の客先へ打ち合わせのために向かいました。 上越・中越地方は雪が積もってはいるものの、気温としてはそれほど寒く なく、濡れかかった雪がどこかしら寂しそうにも見えました。降って溶け ての繰り返しで何層にも積もった雪が重たそうにも見えました。 そろそろ春ですかね。
さて先日の国連安保理で原口大使が行ったイラク問題に対する演説の外務省 和訳にマスコミや国会議員が批判の矢を投じました。
民主党の原口一博議員は、「わざと和訳の表現を弱めたのではないか。」
指摘している部分は次の2箇所。 1."We are aware that in countries around the world, there is ...... There is serious doubt as to the effectiveness of continued inspections."
"serious doubt"の和訳に「重大な」という訳が省かれており、 「疑問が生じていることは否めない」となっている。
2."The Council should strive to adopt such a resolution." 「安保理は決議の採択に努力すべきだ」→「すべきだと考える」
毎日新聞はもう1点。
3."Iraq now has very limited time." 「イラクに残された時間は非常に限られている」→「限られている」
おいおい、ちょっと待てよ。例え公式HPで掲載されているとはいえ、この 訳文は「仮訳」となっているではないか。正式翻訳とは違うよ。参考までに 載せているだけだよ。こまかいところを突いて自分はキチンと英文が読めると 主張するのもたいがいにしろよって感じです。
1および3については、形容詞・副詞の捉え方なんですが、形容詞や副詞で 強調しているとしても、それは絶対的なものに比べるとかえって弱い表現に なります。主観が入りますからね。物差しは人によって違ってきます。 形容詞や副詞は物差しの考え方で程度に違いが出てきますから、必ずしも弱めて いるとは言えない。無くしたほうが逆に強い表現にもなります。批判は批判で いいのですが、そのあたりを承知した上でないと恥をかくことになります。
2については、その文章だけでは確かに断定していますが、文脈から言うと 前文である、".....we consider it desirable that the Security Council adopt a new resolution that clearly demonstrates the determined attitude of the international community."の頭の"consider"を受けていると捉える方 が自然でしょう。ま、これを弱めていると捉えるのも勝手ですけどね。
要するに文字で見るのと発言を聞いているのとでは受け取る印象から理解が 変わるんだなといういい例です。文字を見ると単語を一生懸命見ますから、 発言での雰囲気とは違った捉え方をしますからね。文字通りのね。
外務省は仮訳とはいえ、さすがに掲載和訳には神経を遣ったと推察します。 直訳してしまうと文意を正しく伝えられるかどうかという点でね。大事なのは 直訳でなく日本語訳です。この違いが分からない方には自分が伝えたいことは 一生かかっても分かりません。英語と日本語の大半は1対1対応をしている わけではないので、単語を直訳すれば日本語が成立すると思うのは間違いです。 これは真面目に学校英語を勉強した人に陥りやすい現象です。
こんなところで「今回の訳文問題も政府の二枚舌の表われで、こそくなやり方 だ」という批判をするぐらいなら、もっと別の所でエネルギーを使って欲しい ところです。ね?野党さん。北朝鮮はミサイル実験をやっているんですよ。
はい。今日は曇りときどき雪。(中越地方)
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