『日々の映像』

2010年04月26日(月) 鳩山政権:高速料金でも右往左往


1 、社説:論調観測 高速料金混迷 政権へのあきらめ投影
                       毎日新聞 2010年4月25日
2、社説:論調観測 高速料金混迷 政権へのあきらめ投影
                       毎日新聞 2010年4月25日
3、社説:高速料金混迷 右往左往にうんざりだ
                       毎日新聞 2010年4月24日

 社説1の通り、高速道路の料金制度の見直し問題は、再見直しを求める小沢一郎民主党幹事長と、否定する前原誠司国土交通相との対決の構図が鮮明となってきた。値下げの財源を道路建設に回せと指示され、その通りにしたら、今度は、値上げになるから改めろと言ったという。小沢幹事長の要求に前原誠司国土交通相は「二律背反だ」と批判する。

 高速道路料金が6月から変わる。「休日上限1000円」など現行の割引を来年度にかけてほとんど廃止し、曜日を問わず普通車を「上限2000円」にするなど、車種別の上限を設けることが柱だ。しかし、この新制度はおかしい。「近距離は割高、長距離は割安」という格差に合理的な理由がないと思う。

 毎日の社説「高速料金混迷 右往左往にうんざりだ」に代表される論評が多い。鳩山政権の迷走劇に新たな一幕が加わった。高速道路の料金制度の再見直し問題だ。国土交通省が策定した料金制度に与党内から異論が噴出した。そこで、政府・民主党は首脳会議を開き、再度見直すことを決めた。もちろん、鳩山由紀夫首相も出席してのことだった。ところが、その後、鳩山首相と会談した前原誠司国交相は、再見直しを否定し、鳩山首相もこれを認める発言をしている。まさに、「右往左往にうんざりだ」と言われても仕方のない混迷ぶりである。

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1 、社説:論調観測 高速料金混迷 政権へのあきらめ投影
                        毎日新聞 2010年4月25日
 高速道路の料金制度の見直し問題は、再見直しを求める小沢一郎民主党幹事長と、否定する前原誠司国土交通相との対決の構図が鮮明となってきた。
 値下げの財源を道路建設に回せと指示され、その通りにしたら、今度は、値上げになるから改めろと言う。小沢幹事長の要求は「二律背反だ」と、前原国交相は批判する。
 限られた財源の中で、無料化と建設の両立は不可能だ。小沢幹事長の「ちゃぶ台返し」に憤るのは当然だろう。
 一方で、国交省が建設に回す資金は、東京外環道など都市部が主体で、それに対する反発も背景にあると指摘されている。
 ただ、無料化を掲げながら、実際には値上げというのでは、夏の参院選は戦えないという声は強い。選挙に不利なことはしないという基本線からすると、小沢幹事長が再見直しを求めたのは当然ということになる。
 いずれにしても、民主党内の小沢対反小沢の構図が、高速料金問題を介して熱を帯びてきたわけで、この駆け引きの行方が注目されるところだ。
 もちろん、この鳩山政権の迷走について、各紙社説は厳しく批判している。
 冒頭部分を抜粋してみる。読売は「政府・民主党の政策決定が、またしても混乱している」、産経は「鳩山政権のたががはずれ、統治能力に重大な疑問符がつけられている」と、通常の表現で始まっている。
 しかし、朝日は「またか、である」、毎日は「鳩山劇場の迷走劇に新たな一幕が加わった」、日経は「『高速道路料金を見直す』との決定を見直すという方針を見直す」−−というような具合だ。
 受け流したり、皮肉交じりの表現から感じられるのは、迷走が続く鳩山政権に対し、まともに注文をつけても仕方がないという雰囲気だ。
 文中には、「いい加減うんざりさせられる」(朝日)、「またかというより、うんざりというのが、正直なところだ」(毎日)、「もはや政権の体をなしていない」(日経)という文句がさしはさまれており、そうした雰囲気を補強している。
 政権交代をめぐって論調は分かれていた。どちらかというと、是としてきた方の社説に情緒的な表現が目立つのは、鳩山政権に対するあきらめが投影されているからではないだろうか。
 ただ、国民の視線は、すでに、あきらめからしらけに変わっているかもしれない。その危機感が政権から伝わってこない。【論説副委員長・児玉平生】

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2、社説:論調観測 高速料金混迷 政権へのあきらめ投影
                        毎日新聞 2010年4月25日
 高速道路の料金制度の見直し問題は、再見直しを求める小沢一郎民主党幹事長と、否定する前原誠司国土交通相との対決の構図が鮮明となってきた。
 値下げの財源を道路建設に回せと指示され、その通りにしたら、今度は、値上げになるから改めろと言う。小沢幹事長の要求は「二律背反だ」と、前原国交相は批判する。
 限られた財源の中で、無料化と建設の両立は不可能だ。小沢幹事長の「ちゃぶ台返し」に憤るのは当然だろう。
 一方で、国交省が建設に回す資金は、東京外環道など都市部が主体で、それに対する反発も背景にあると指摘されている。
 ただ、無料化を掲げながら、実際には値上げというのでは、夏の参院選は戦えないという声は強い。選挙に不利なことはしないという基本線からすると、小沢幹事長が再見直しを求めたのは当然ということになる。
 いずれにしても、民主党内の小沢対反小沢の構図が、高速料金問題を介して熱を帯びてきたわけで、この駆け引きの行方が注目されるところだ。
 もちろん、この鳩山政権の迷走について、各紙社説は厳しく批判している。
 冒頭部分を抜粋してみる。読売は「政府・民主党の政策決定が、またしても混乱している」、産経は「鳩山政権のたががはずれ、統治能力に重大な疑問符がつけられている」と、通常の表現で始まっている。
 しかし、朝日は「またか、である」、毎日は「鳩山劇場の迷走劇に新たな一幕が加わった」、日経は「『高速道路料金を見直す』との決定を見直すという方針を見直す」−−というような具合だ。
 受け流したり、皮肉交じりの表現から感じられるのは、迷走が続く鳩山政権に対し、まともに注文をつけても仕方がないという雰囲気だ。
 文中には、「いい加減うんざりさせられる」(朝日)、「またかというより、うんざりというのが、正直なところだ」(毎日)、「もはや政権の体をなしていない」(日経)という文句がさしはさまれており、そうした雰囲気を補強している。
 政権交代をめぐって論調は分かれていた。どちらかというと、是としてきた方の社説に情緒的な表現が目立つのは、鳩山政権に対するあきらめが投影されているからではないだろうか。
 ただ、国民の視線は、すでに、あきらめからしらけに変わっているかもしれない。その危機感が政権から伝わってこない。【論説副委員長・児玉平生】
【関連記事】

毎日新聞 2010年4月25日 東京朝刊
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3、社説:高速料金混迷 右往左往にうんざりだ
                        毎日新聞 2010年4月24日

 鳩山劇場の迷走劇に新たな一幕が加わった。高速道路の料金制度の再見直し問題だ。

 国土交通省が策定した料金制度に与党内から異論が噴出した。そこで、政府・民主党は首脳会議を開き、再度見直すことを決めた。もちろん、鳩山由紀夫首相も出席してのことだった。

 ところが、その後、鳩山首相と会談した前原誠司国交相は、再見直しを否定し、鳩山首相もこれを認める発言をしている。
 高速道路料金の上限を休日に限らず平日も含めて普通車で2000円とするのが国交省の見直しの柱だ。6月に実施予定で、走行距離が長いほど料金は割安になる。しかし、現在の各種割引がなくなるため、普通車の場合で70キロに達しない場合は実質的に値上げとなってしまう。

 無料化を掲げているのに、実際には利用者の大半は負担が増すため、トラック業界などが猛反発している。こんな矛盾した見直しが行われれば、夏の参院選に不利に働きかねない。首脳会議で見直しを決めた背景には、そうした事情があった。

 ただし、利用者の多くが実質的に値上げとなるのは、料金割引のための財源を道路建設に回すことにしたからだ。

 昨年末の小沢一郎民主党幹事長の求めに応じた措置だったはずだが、小沢氏は今回、「無料化どころか値上げだ。説明がつかない」と強調する。はしごをはずされた格好の前原氏としては、納得がいかないに違いない。

 ただ、全面対立は得策ではないと判断しているようで、現時点での見直しを否定しつつも、国会の審議を通じる形で、何らかの対応をとる余地も残している。

 財源が限られた中で、無料化と道路建設が両立するわけがないのは、最初からわかっていることだ。にもかかわらず、無料化と道路建設の間を右往左往している。

 しかも、政策は内閣主導といいながら、小沢幹事長が突然、提起したのが、右往左往の震源だ。鳩山首相はというと、再見直しと、その否定の間で揺れ、存在感が乏しい。

 無料化、道路建設、渋滞解消、他の交通機関への影響−−。考慮すべき要素は多々ある。そのすべてを満足させる解はない。その中で妥協点を見つけ、国民生活が少しでもいい方向に進むようにと、方策を探るのが政治の役割のはずだ。

 にもかかわらず、政権交代後、こうした状況が繰り返されている。またかというより、うんざりというのが、正直なところだ。突き放した視線が投げかけられていることを、騒動の当事者は自覚すべきだ。

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石田ふたみ