『日々の映像』

2010年04月23日(金) 独立行政法人の病巣に迫る意義は大きい


社説:独法仕分け 患部に鋭くメスを入れよ
                      2010年4月22日  日報
【主張】独法仕分け 「国民受け」狙いでは困る
2010.4.22  産経新聞

不人気で窮地に陥った鳩山政権で唯一国民の喝采(かっさい)を浴びたのが「事業仕分け」である。政権人気の期待を掛けているようだが、果たしてどのような成果が生まれるのか注目される。仕分け第2弾前半は今日からだが、対象は47独立行政法人であるという。今回は独立行政法人の事業重複や、受注事業の外部への丸投げなどに切り込み、無駄遣いのからくりを仕分けてみせるという。

 独立行政法人は振興センター、開発機構、整備機構、支援機構などのもっともらしい名前が付いているが、どんな事業をしているのか判然としない組織にメスが入るのだ。政府の行政刷新会議が23日から、47の独立行政法人の151事業を対象に仕分け作業を行う。

独立行政法人次のような問題点が指摘されている。
1、天下り官僚の受け入れが慣例化している。
2、再天下り先となる公益法人への随意契約
3、委託された業務をファミリー企業に再委託するなど、不透明な運営でも批判を浴びている。
4、過大な剰余金も問題になっている。

 一向に改善されなかった独立行政法人の病巣に迫ることの意義は大きいのではないか。

 ―――――――――――――――――――――――――――――
社説:独法仕分け 患部に鋭くメスを入れよ
                      2010年4月22日  日報
 振興センター、開発機構、整備機構、支援機構−。もっともらしい名前が付いているが、どんな事業をしているのか判然としない組織にメスが入る。
 政府の行政刷新会議が23日から、47の独立行政法人の151事業を対象に仕分け作業を行う。本年度予算概算要求を対象に昨秋始まった「事業仕分け」の第2弾である。
 昨年の仕分けは「政治ショー」とやゆされ、今回も政権浮揚の狙いが見え隠れする。仕分けによって捻出(ねんしゅつ)される財源も数百億円規模にとどまるとの見方もある。
 しかし、天下り先、無駄の温床などと指摘されてきた独法の実態を白日の下にさらすことの意味は大きい。
 自分たちが払った税金がいかに使われてきたか。国民はそれを知るだけで納税者意識が高まろう。廃止も含め抜本的に見直してほしい。
 独法は、橋本龍太郎政権下の行政改革会議の報告に基づいて設置された。公共性は高いが、行政が直接の実施主体となる必要のない事業を担う機関として位置付けられ、効率性、透明性の確保が掲げられた。
 だが、発足時の2001年4月、57だった独法の数は、ことし4月現在104に上る。10年足らずの間に倍近くに増殖、肥大化した。
 それに伴い、当初の狙いとは裏腹に事業や財務内容の不透明さ、非効率性が問題視されるようになる。
 官僚の天下りの受け皿だけを目的に設置されたとしか思えない独法もある。天下り先での法外な報酬や国民常識とかけ離れた「手当」に驚かされる。
 無駄遣いは、独法同士の事業の重複、保有資産にも表れている。同じような事業を行っている独法は、廃止か再編統合されて当然だ。身の丈に余る不動産は売却すべきである。
 要は、本当に必要なものは存続、不要なものは廃止すればいい。民営化や地方への移管も考えたい。
 今回の仕分けの焦点は、科学技術系独法の取り扱いだろう。昨秋の仕分けでも日本の生命線ともいうべき分野への大なたは、強い反発を呼んだ。
 科学技術系独法については、政権内に「国立研究開発機関」(仮称)などの再編統合構想も浮上している。
 研究開発費が天下り役員の報酬のために削られるような本末転倒があってはならない。無駄は断固削り、本当に必要な事業・分野へは逆にてこ入れを図るくらいのメリハリがほしい。
 それでこそ、成長戦略も描ける。
 独法仕分けの後は5月下旬に公益法人対象の後半戦が待っている。5月政変説など政局流動化の兆しがあるが、振り回されることなく、腰を据えて再編・改革案をまとめてほしい。
新潟日報2010年4月22日
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【主張】独法仕分け 「国民受け」狙いでは困る
2010.4.22 03:44  産経新聞
 政府の行政刷新会議による、独立行政法人(独法)を対象にした「事業仕分け」第2弾の前半戦が23日から始まる。
 全独法の約半数に当たる47法人の151事業が選ばれている。枝野幸男行政刷新担当相らが行った事前の視察を踏まえての選定だ。
 独法の統廃合も視野に入れ、温存されている無駄を洗い出す方針だが、政治ショー的な国民受けを狙ったパフォーマンスに走るのは慎むべきである。
 昨秋の第1弾では「1事業に1時間」という制限を設け、衆人環視の下で官僚バッシングを行い、話題を集めた。与党内には、再度の注目効果を期待する声もあるようだが、政権浮揚の手段と考えているなら見当違いである。
 独法には改めるべき点が多い。天下り官僚の受け入れが慣例化している。再天下り先となる公益法人への随意契約集中や、委託された業務をファミリー企業に再委託するなど、不透明な運営でも批判を浴びている。過大な剰余金も問題になっている。
 国民の目が届きにくい世界だ。一向に改善されなかった病巣に迫ることの意義は大きい。
 だが、事業仕分けには将来を見据えた国家戦略が求められる。資源小国の日本は、科学技術立国を標榜(ひょうぼう)している。第1弾で、スーパーコンピューターの開発予算を凍結しようとした際に国民が強く反発したのは、そのためだ。
 第2弾の仕分けを踏まえて、研究開発系の独法の制度変更なども検討される見通しだ。日本には38の研究開発法人が存在する。理化学研究所や宇宙航空研究開発機構などがその顔ぶれである。
だが、その数は米国に比べて1けた少ない。米国では研究機関の多様性が国力の維持向上につながっていると見るべきだろう。
 もし、今回の仕分けで「数減らし」という単純な発想が跋扈(ばっこ)するようなら、日本の将来にとって極めて危険だ。研究開発力は加速度的に弱体化し、科学技術立国という目標も絵に描いたもちとなる。国民の誇りも失われる。
 研究開発は実利の追求だけにとどまらない。真理の探究も、知の体系の構築も含まれる。それを忘れると二流国家に成り下がる。仕分けにもこの視点が必要だ。
 民主党は独法だけでなく、特別会計の無駄の見直しを掲げていたはずだ。この本丸への切り込みを忘れてはならない。


 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ