『日々の映像』

2010年04月12日(月) 日本の未来を暗くする最大のがんは「政治不信」


1、偽装献金:ずさん「首相マネー」 実母の12億円は闇
                     毎日新聞 2010年3月29日 
2、首相官邸で記者団の質問に答えた。
                   毎日新聞 2010年3月29日
3、偽装献金:首相元秘書、起訴内容認める 禁固2年を求刑
                   毎日新聞 2010年3月29日
4、社説:元秘書公判結審 首相は疑問に答えていない
                    2010年3月30日 読売新聞
5、社説:無党派層5割 2大政党離れが一段と深刻に
                     2010年4月6日 読売新聞

 首相の元秘書が有罪になることは間違いない。長く秘書を務めた人が有罪になっても、厚顔にも首相を辞める気が全くないようだ。首相は記者会見で「責任の重さをかみしめながら、政治家として今置かれている立場で国民のために精いっぱい働かせていただいて使命を果たしたい」と辞任の考えはないことを強調している。

 首相・幹事長共に秘書が逮捕される・・・こんなことが過去に政治史にあっただろうか。鳩山首相は、巨額の資金をいったい何に使ったのか。首相は改めて答えねばならないのだ。小沢民主党幹事長の政治とカネをめぐる不祥事も問題」である。調査によると、8割近くの人が」小沢民主党幹事長の辞任を要求している。党首脳が、何らケジメをつけようとしないことに、有権者が苛立っているのである。


 事件の幕引きを急ぐ政府・民主党に対し、自民党の大島理森幹事長は「(公判が終われば)首相は東京地検に提出した資料をすべて国会に提出し、自身が12億円の使途を説明すべきだ」と国会での追及を続ける考えを示していることは当然のことだろう。

 このような政治家トップの金の問題があり何のけじめもつけないのだから、政治不信が広がるのは当然のことだろう。読売新聞の4月世論調査で「支持政党なし」の無党派層は、3月調査から14ポイントも急増した。両党に愛想を尽かした支持者たちが無党派層に流れたのは明らかだ。社説の通り無党派層が5割に達しているのである。日本の未来を暗くする最大のがんは「政治不信」と言わねばならない。 

―――――――――――――――――――――――――――――――――
1、偽装献金:ずさん「首相マネー」 実母の12億円は闇
                     毎日新聞 2010年3月29日 
 首相の「政治とカネ」が法廷で問われた。29日、東京地裁で開かれた鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)を巡る偽装献金事件の初公判。検察側は元公設第1秘書の勝場啓二被告(59)が「どんぶり勘定」で資金を管理し、政治資金収支報告書作成時は支出に見合う収入を偽装してつじつま合わせを繰り返した実態を指摘した。うなだれ、反省の弁を繰り返す勝場被告。しかし12億円超の「実母マネー」の行方はほとんど分からず、消化不良のまま2時間弱で幕が下りた。【岩佐淳士、大場弘行、三木幸治】
 午後1時半、104号法廷。濃紺のネクタイに黒っぽいスーツ姿の勝場被告は緊張のためか青ざめた表情。裁判長に一礼して入廷すると、消え入りそうな小さな声で起訴内容を認め、「やってはいけない間違いを犯した」と何度も頭を下げた。
 検察側は冒頭陳述や関係者の供述調書で鳩山事務所のずさんな実態を指摘する−−。
 「段々お金が足りなくなって苦しい。月1500万円くらい足りない」。勝場被告は02年ごろ、実母安子氏(87)の側近の公益法人幹部に泣きついた。側近から相談を受けた安子氏は「いくら必要なんですか」と答えた。側近が金額を指定すると提供が始まったという。
 勝場被告は、元々の事務所の金に、実母からの提供資金、鳩山氏個人から預かった金を混ぜ合わせ、東京都内の事務所に保管した。これらの資金は友政懇のためだけではなく、鳩山首相の公私にわたる支出にも充てられたという。
 収支報告書を作成する毎年2〜3月ごろには、人件費、事務所費など友政懇の支出総額をまず算定。それに見合う収入を収支報告書に記載した。検察側は「安易に記載額を水増しした」と批判した。
 「勝手に名前を使ってしまった皆さんをはじめ、多くの方にご迷惑をおかけしてしまいました。おわび申し上げたい」。最終意見陳述で勝場被告が直角に体を折ると、わずか2時間弱の法廷が終わった。
 ◇鳩山家支え30年…「後悔してもしきれない」
 「後悔してもしきれない」。29日の被告人質問で勝場被告はそう語った。
 勝場被告は「森ビル」出身。鳩山首相の父威一郎元外相の選挙から30年近く鳩山家を支えてきた。新党さきがけの事務局長や鳩山首相の金庫番としての役割を担ってきた。昨年6月、弁護士による調査に虚偽記載を認め公設第1秘書を解任され、その後はほとんどを自宅で過ごしている。在宅起訴後の1月6日には、毎日新聞の取材に「絶対に取材に応じません」と強い口調で話した。
 「再び政治にかかわる仕事をしようとは思わない」という勝場被告。裁判長に「発覚すると思わなかったか」と問われると「思いはあった。罪深さを感じている」。「なぜやったのか」との裁判長の質問には「想像力が欠如していたと思う。どういう理由でやったのかは、うまく説明できません」と視線を落とした。
 関係者によると、最近は自宅付近に借りた畑で農作業をしている。周辺には「長く続けてほしい」と首相にエールを送り続けているという。【安高晋、鈴木一生】
 ◇偽装献金事件の経緯
【09年】
6月16日 故人の献金を記載していた問題が発覚
  30日 鳩山民主党代表が虚偽記載は計2178万円に及ぶとする調査結果を公表
7月3日 市民団体が告発状提出
9月16日 鳩山内閣発足
  下旬 東京地検特捜部が捜査開始
12月24日 勝場被告を在宅起訴。元会計責任者の芳
     賀大輔元政策秘書を略式起訴。鳩山首相
     を容疑不十分で不起訴
【10年】
1月28日 市民団体が鳩山首相の不起訴を不当とし
     て検察審査会に審査申し立て
3月29日 勝場被告の初公判、結審

―――――――――――――――――――――――――――
2、首相官邸で記者団の質問に答えた。
                 毎日新聞 2010年3月29日
 首相は「責任の重さをかみしめながら、政治家として今置かれている立場で国民のために精いっぱい働かせていただいて使命を果たしたい」と辞任の考えはないことを強調。母親から受け取った資金などの使途については「政治資金規正法にのっとり明らかにしていく」と述べるにとどめた。
 事件の幕引きを急ぐ政府・民主党に対し、自民党の大島理森幹事長は党本部で記者団に「(公判が終われば)首相は東京地検に提出した資料をすべて国会に提出し、自身が12億円の使途を説明すべきだ」と国会での追及を続ける考えを示した。
 29日夜、東京都内で行われた自民、公明両党の幹事長・国対委員長会談でも、具体的な使途を追及する方針で一致。米軍普天間飛行場移設問題と併せ、今国会中に首相の辞任を迫ることも確認した。【木下訓明、朝日弘行】
【関連記事】
鳩山首相:「亀井案、基本に調整」郵政改革で意向
鳩山首相:海沿いのホテルで静養 夫人と千葉・鴨川へ
――――――――――――――――――――――――――
3、偽装献金:首相元秘書、起訴内容認める 禁固2年を求刑
毎日新聞 2010年3月29日
 鳩山由紀夫首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)を巡る偽装献金事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載、不記載)に問われた元公設第1秘書、勝場啓二被告(59)は29日、東京地裁(平木正洋裁判長)の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は論告で「安易に献金者を偽装し、友政懇収入の相当の部分を鳩山首相や(実母ら)その親族が支えていた実態を国民から覆い隠した」と指摘し、禁固2年を求刑した。弁護側は執行猶予付き判決を求め、審理は約2時間で即日結審した。判決は4月22日。
 実母安子氏(87)から首相への資金提供は02年以降で計約12億4500万円だったことが判明している。検察側は「資金のやり繰りは勝場(被告)らに任せており収支も把握していなかった。母からの資金提供もまったく知らなかった」とする首相の上申書を読み上げた。また安子氏の「(側近から)7、8年前『資金を用立ててやってくれ』と言われ資金提供した。息子には言っていない」などとする上申書も明らかにした。
 検察側は冒頭陳述で、勝場被告が首相の個人資産や安子氏からの提供資金を区別せず保管し、友政懇の支出が不足すると保管資金から補てんし、収支報告書作成の際に過去の寄付者だけでなく、手元の名簿類から氏名や住所を抜き出し個人からの寄付を偽装したことなどを指摘した。「寄付者」の中には故人も含まれていた。
 検察側が読み上げた勝場被告の供述調書によると「クレームが来たら『勘違いだった』と済まそうと思ったが、クレームがなく感覚がまひして存命かどうかの確認も怠るようになった」という。
 勝場被告は被告人質問で動機を「鳩山氏に将来大きい仕事のできる政治家になってほしいと思い、実力があると見せたかったが、実現する資金が集まっていなかった」と説明した。【伊藤直孝】
 
◇解説 幕引き急いだ弁護側 資金提供、謎解けぬまま
 異例のスピード結審の最大の理由は、勝場啓二被告側が一切争わなかった点にある。通常の刑事裁判の場合、起訴内容は認めても刑を軽くするために、家族や同僚らを弁護側証人として尋問し「いかに社会の役に立ってきたか」「判決後に更生を支える支援者がいるか」などを有利な情状として立証する。それさえ見送った点が最大のポイントだ。
 勝場被告は公判で妻を証人申請しない理由を「(事件で迷惑をかけており)これ以上ストレスをかけることはできない」と説明した。しかし同僚らの不出廷理由は語らなかった。弁護側関係者は「とにかく早く終わらせたい」と夏の参院選への影響を最小限に抑えたいとの意図を認める。
 一方、法務・検察幹部は「全証拠に同意しているのだから早期結審が当たり前」と首相側への配慮を否定する。しかし、昨年6月に即日結審(検察審査会の議決を受け、後日追起訴、弁論再開)した西松建設の国沢幹雄元社長=有罪確定=の初公判が午前中から終日審理したのと比べて、勝場被告の審理時間は午後だけでかつ2時間弱と短い。別の幹部は「配慮したとみるのが自然」と語る。
 事件には「首相は実母からの資金提供を知らなかったのか」「実母はどういう名目で資金提供したのか」「巨額の提供資金はどこに消えたのか」など多くの疑問があった。法廷では「資金提供は知らない、政治資金の収支さえ知らない」とする首相や「政治資金とは思っていない。子供への援助だった」とする実母の上申書の要旨部分だけが明らかにされた。各上申書の全文の内容は不明のままで、首相や実母ら鍵を握る人物は法廷で何も語らない。「超スピード審理」を認めた裁判所の訴訟指揮も含め、謎解きの努力さえみせない幕引きは刑事裁判への信頼を揺るがしかねない。【小林直、伊藤直孝】

4、社説:元秘書公判結審 首相は疑問に答えていない
2010年3月30日01時21分 読売新聞
 鳩山首相は、巨額の資金をいったい何に使ったのか。側近議員らに配ったのではないか。こうした疑問に、首相は改めて答えねばなるまい。
 首相の資金管理団体などをめぐる偽装献金事件で、政治資金規正法違反で起訴された元公設第1秘書の初公判が、東京地裁で開かれた。
 元秘書は起訴事実を認め、検察側が禁固2年を求刑し即日結審した。判決は来月言い渡される。
 政治資金収支報告書に、故人を含め実際には献金していない人の氏名を使うなどして、総額約4億円のうそを書いた――。これが元秘書の起訴事実である。
 首相やその母親から提供された資金の一部を個人献金やパーティー券収入に偽装していたもので、母親からの資金提供は、総額12億円余りに上っていた。
 公判では、資金繰りに困った元秘書が、鳩山家に近い人物を介して首相の母親に相談し、資金提供が始まったことが示された。「親がわが子を助けるのは当然」とする母親の上申書も読まれた。
 だが、資金の使途について、東京地検は、北海道の関連政治団体への年間1億円弱の送金にしか触れなかった。既に首相側が明らかにしている内容である。
 地検は起訴時の記者会見で「必要なことは公判で明らかにする」と詳しい事実関係を説明しなかった。それなのに、事件の悪質性と関連する資金の使途を説明しないのは、政権トップへの配慮ではないかと疑わざるを得ない。
 首相は記者会見や国会で、虚偽記入も母親の資金提供も「全く知らなかった」と強調してきた。だが、自分あての資金の存在自体を「知らない」と堂々と繰り返す姿勢は責任転嫁としか思えない。
 首相は元秘書が起訴された際の記者会見で、資金の使途について「国民に疑念があるなら、調査する必要があるかもしれない」と述べた。果たしてどれほど真剣に取り組んできたのか。
 民主党では、小沢幹事長や小林千代美衆院議員についても政治資金問題が明るみに出たが、きちんと説明責任を果たしていない。
 内閣や民主党の支持率低下は、「政治とカネ」に対する首相らの姿勢に、国民が疑問を持っていることを物語っている。
 首相は嫌疑不十分で不起訴になり、贈与税6億円も納付したが、検察審査会の審査や国税当局の調査は終わったわけではない。
 首相に対する追及が、今後も続くことは確実である。
(2010年3月30日01時21分 読売新聞)

5、社説:無党派層5割 2大政党離れが一段と深刻に
2010年4月6日01時05分 読売新聞
 民主、自民両党の支持率がそれぞれ下落し、いわゆる無党派層が50%に達した。2大政党は、政治不信が一段と進んでいることを深刻に受け止めなければならない。
 読売新聞の4月世論調査で「支持政党なし」の無党派層は、3月調査から14ポイントも急増した。両党に愛想を尽かした支持者たちが無党派層に流れたのは明らかだ。
 「無党派層5割台」は、自民、社会、さきがけの村山連立政権以降、政局の混迷や政権の行き詰まり、信頼できる政党の不在といった状況下で出現してきた。
 今回も、その例外ではない。
 調査によると、8割近くの人が依然、政治とカネをめぐる不祥事で、小沢民主党幹事長の辞任を要求している。党首脳が、何らケジメをつけようとしないことに、有権者は苛立(いらだ)っている。
 混迷する米軍普天間飛行場の移設問題が5月末までに決着しない場合、鳩山首相は「退陣すべきだ」と答えた人は49%に上った。
 国益にかかわる重大事だ。多くの人が進退への波及は避けられないと見ている。普天間問題で首相の発言はぶれ続け、閣内統一も図れない状況にある。首相は、問題解決の先頭に立つ必要がある。
 民主党の政権公約(マニフェスト)の目玉である子ども手当については、「評価しない」が「評価する」を上回った。
 恒久財源なきバラマキ政策といった批判が有権者の間にも、強まってきたためとみられる。高速道路の無料化を含め、公約の大幅な見直しは避けられまい。
 今回、鳩山内閣の支持率は33%へと低落し、不支持率が56%に上昇した。民主党支持率も24%に落ちた。いずれも、目に余る失政のツケにほかならない。
 内閣を支持しない人に理由を聞くと、「首相に指導力がない」が44%で最も多かった。首相の指導者としての資質に見切りを付け始めた人も少なくないだろう。
 自民党の支持率は、16%に下降した。今年1月調査に並ぶ過去最低の数字である。
 その一方で、みんなの党が支持率を伸ばしている。与謝野馨・元財務相や平沼赳夫・元経済産業相らが新党を旗揚げする。
 背景には、自民党が野党第1党として、政権を厳しく批判する責務を果たさず、政権交代の受け皿になっていないことがある。
 この際、民主、自民両党が、強い危機感をもって対処していかなければ、政党政治そのものが、衰微しかねない。



 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ