『日々の映像』

2010年04月07日(水) 就学援助制度 市町村間格差が広がる


就学援助制度
http://www.city.adachi.tokyo.jp/020/pdf/syuugaku.pdf
就学援助制度について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/05010502/017.htm


基金の講座運営で予想もしなかったこと体験をしている。年収200万円前後で中学生・高校生がいる家庭との交流が始まったことである。

学校教育法の就学援助制度では、「経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」(同法第25条、第40条)とされている。新潟県内で2008年度に就学援助を受けたのは約3万2600人だ。1人当たりの年間受給額は6万〜10万円なのである。

2008年度に就学援助32600人×8万円(6万〜10万円)=26億円

 本来、無償とされる義務教育だが、現実には給食費や学用品、修学旅行代など多くの費用が掛かる。収入の少ない家庭にとって負担は大きいのである。こうした困窮家庭を金銭面で支援するのが就学援助制度だ。学校教育法では「市町村は必要な援助を与えなければならない」と定めている。ここが問題なのである。

 この安全網が市町村任せだったので、市町村別に大きな差が生まれているのである。教育や福祉などの根幹部分は国が責任を持つべきだ。財政力の差が教育の公平性を生みだす結果となっている。新潟日報の社説は「由々しき事態」といわねばならないと結んでいる。

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社説:就学援助制度 市町村間格差が目に余                      2010年4月5日 日報

 新学期が始まった。新たな学校や友達との出会いに胸を弾ませている小中学生は多いことだろう。

 本来、無償とされる義務教育だが、現実には給食費や学用品、修学旅行代など多くの費用が掛かる。収入の少ない家庭にとって負担は大きい。

 こうした困窮家庭を金銭面で支援するのが就学援助制度だ。学校教育法は「市町村は必要な援助を与えなければならない」と定めている。

 だが、この安全網に大きな穴が開き始めている。援助の基準を市町村任せにしたため格差が際立ってきたのだ。財政力の差が教育の公平性を脅かす。由々しき事態といわねばならない。

 生活保護世帯なら、申請すれば制度は適用される。問題は、これに近い低所得者層への対応だ。支給対象となる所得ラインは、自治体がそれぞれ定めた生活保護基準額(所得)に一定の係数を掛けて算出するケースが多い。

 その係数は市町村が独自に定めている。これでは自治体間で不均衡が生まれるのは当然だ。中には生活保護世帯と同水準としている町村もある。

 県内で2008年度に就学援助を受けたのは約3万2600人だ。1人当たりの年間受給額は6万〜10万円程度だが、援助費目は体育実技用具であったり、通学費であったり、校外活動であったりと市町村で違っている。

 憲法で教育の機会均等が保障されていながら、市町村で運用が異なるのでは公平性を欠く。05年度に国の補助金が廃止され、税源付きで市町村に任された結果だろう。教育や福祉などの根幹部分は国が責任を持つべきだ。

 家庭への制度の周知や申請方法も異なる。案内と申請書を全家庭に配布し、対象家庭かどうか周囲が分からないよう全員に提出を求めている市がある半面、民生委員に生活実態を把握させた上で判断したり、全保護者に制度周知を徹底していない市町村もある。

 全国の生活保護世帯数は昨年12月時点で130万世帯に達し、過去最多を更新した。県内でも1万2千世帯へと増加した。長引く不況で、それに近い低所得者層も増えていることは容易に想像できる。

 県内で08年度に就学援助を受給した割合は、公立小中学校に通う児童・生徒の16・5%に上る。受給割合の増加は市町村財政にのしかかってくる。3月末、中学生まで月1万3千円を支給する子ども手当法が成立した。だが来年度以降は明確になっていない。
 景気低迷に伴う財政悪化や子ども手当の支給で基準の厳格化や減額を懸念する声も出ている。安易な選択は教育格差をさらに拡大させる恐れがある。義務教育は無償の原点に返り、国は思い切って就学援助を拡大すべきだ。
新潟日報2010年4月5日
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就学援助制度について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/05010502/017.htm
1.就学援助制度の概要
学校教育法では、「経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」(同法第25条、第40条)とされています。
2.就学援助の対象者
(1) 要保護者
 生活保護法第6条第2項に規定する要保護者。
(2)準要保護者
 市町村教育委員会が生活保護法第6条第2項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者。

3.国の補助
 市町村が実施する就学援助事業のうち、国は要保護者に対して行う事業に要する経費について補助を行っています。
 なお、準要保護者に対して行う事業に要する経費の補助については、平成17年度より、税源移譲を行った上で国の補助を廃止しています。

4. 補助対象品目(要保護者)
・学用品費
・体育実技用具費
・新入学児童生徒学用品費等
・通学用品費
・通学費
・修学旅行費
・校外活動費
・医療費
・学校給食費












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石田ふたみ