『日々の映像』

2010年03月31日(水) ロシアのテロ恐怖は数百年と続くだろう


2002年10月26日(土) モスクワの劇場での戦争
http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=22831&pg=20021026

2002年11月07日(木) 特殊ガスの威力(射殺の瞬間)
http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=22831&pg=20021107

モスクワ連続テロ イスラム武装勢力の影、治安機関標的か
                     毎日新聞 2010年3月30日


 歴史は勝者によって書き残される。この記録が真実かどうかは分からない場合が多いのである。1999年の「アパートが連続爆破され、計200人以上死亡」した事件は、ある地方を攻撃するために権力側が演出(権力側の犯行)したという報道がかなりあった。

 2002年10月の「モスクワ市内で劇場占拠事件、強行突入時に人質ら130人が死亡」の事件は記憶に鮮明に残っている。どこのグループの犯行かなどはここでは割愛したい。ただ、言えることはロシヤ憎しの武装勢力が厳然と残っているのである。

 プーチン政権になってから、この武装勢力の問答無用の掃討作戦を続けている。チェチェンでの掃討作戦では、この地方の人口の2割の相当する20万人が死亡したと伝えられていた。この恨みに深さは深刻で、恨みが子孫に伝えられわが身を犠牲にして犯行に及ぶのである。モスクワ連続テロのような事件は今後数百年と続くだろう。強権政治の代償と言わねばならない。

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2002年10月26日(土) モスクワの劇場での戦争
 昨日の夜、毎日のHPで劇場占拠から丸1日過ぎた状況のニュースを読んだ。約700人の人質は、武装勢力が食糧の差し入れを拒否しているために、何も食べることが出来ずにいるのだ。この報告は25日21時20分のものだった。

 今朝早くインターネットで検索したが、新しい報道は載っていなかった。やむなくインターネットで「チェチェン戦争が育んだプーチンの権力」(2000年1月21日 田中 守国際ニュース解説)を読んだ。このリポートの印象からして、強行突破での解決が行なわれるのだろうと思った。

 もとより、このイスラム武装勢力の犯行グループは「生きるためでなく、死ぬためにモスクワに来た」という決死隊なのだ。

 今日午前2時35分ロシア保安部の特殊部隊が強行突入、武装勢力34人を殺害して劇場を制圧した。突入した特殊部隊100人の死者は1人も出なかった。なにしろ「突入の数分前から強いガスがエアコンなどから注入され、武装勢力を動けなくした。」というのだ。この催眠ガスは意識を失うほどの強力なものであったようだ。このガスによって、100人以上の人質が犠牲になった。まさに劇場での戦争である。
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2002年11月07日(木) 特殊ガスの威力(射殺の瞬間)
 アメリカで臨死医学と言う分野の研究がある。5〜6年に読んだ記憶なので記述するのもおこがましいが少々その内容に触れてみたい。

 臨死医学は人間の死の瞬間はどのようなものかを探求する学問である。多くの臨死体験者(一度死に臨んで生き返った人)の声をまとめると、おおよそ次のようになると言う。

 死の瞬間魂が肉体からスーと離れる。そして、自分の死を悲しむ家族などを少し上段から見下ろすというのである。

 モスクワの武装集団全員の射殺と118名の死亡は衝撃的な内容であった。ガスを吸い込んだ瞬間に意識を失ったという生存者の証言である。よって、武道集団の40名余りは「反撃する事もなく射殺された」(10月3日 毎日、記者の目から)のが実態であろう。

 強行突破した特殊部隊に1人のけが人もいないことからほとんど抵抗がなかったことを客観的に証明している。

 武装集団はどのようなプロセスで死に至ったのだろう。意識を失っただけで魂が肉体から離れたとは考えられない。意識を失ったまま射殺されたのである。うまく魂が肉体からスーと離れただろうか。そして、彼らは仲間の肉体が次々と射殺される様子をしっかりと見ていただろうか。真実は死者の証言によるしかないのだ。


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モスクワ連続テロ イスラム武装勢力の影、治安機関標的か
毎日新聞 2010年3月30日
 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
 モスクワ中心部で29日起きた地下鉄連続爆破テロは、メドベージェフ大統領とプーチン首相の政権下で安定を維持してきたロシアの治安体制に不安を呼び起こした。事件の背後には、イスラム武装勢力の影がちらつく。経済危機による生活苦で国民の不満が高まる中、首都を直撃したテロは、政権の行方にも影響を与えそうだ。【モスクワ大木俊治】
 最初の爆発はプーチン首相の出身母体である旧ソ連国家保安委員会(KGB)の後身、連邦保安庁(FSB)本部のあるルビャンカ駅で発生した。2件目はパルク・クリトゥールイ駅で起きたが、実際の標的は警察組織を管轄する内務省本部のある隣のオクチャーブリスカヤ駅だったとの見方もある。このため今回のテロは、2大治安機関の威信を傷つけ、政権に揺さぶりをかける狙いが指摘されている。
 事件の背景は不明だが、FSBは監視カメラの映像などから容疑者はいずれも女性で、イスラム系の「殉教者」との説が浮上している。現場からは実行犯とみられる女の遺体の一部が見つかった。09年11月のモスクワ−サンクトペテルブルク間の特急爆破テロでは、南部イングーシ共和国を拠点とするイスラム武装勢力の容疑者グループが当局に殺害・拘束されており、今回もこうした勢力の関与を中心に捜査を進めるとみられる。
 ロシア南部の北カフカス地方では90年代から04年にかけ、チェチェン共和国の独立を求める武装勢力とロシア軍の戦闘が展開され、武装勢力は02年にモスクワの劇場を占拠するなどテロに訴えた。04年2月に起きたモスクワの地下鉄爆破テロも容疑者は特定されていないが、当局は独立派武装勢力が関与したとみている。
 現在、チェチェンではクレムリンの後押しを受けるカディロフ大統領が強権統治を進め、独立派の影響力は弱まる一方、イスラム過激派勢力が隣のイングーシ共和国やダゲスタン共和国に浸透し、警察などを対象にした自爆テロ事件が頻発している。
 背景には若者の失業増など経済情勢の悪化があり、過激派勢力がこうした不満分子を吸い上げてテロ実行犯を育成していると伝えられる。
 メドベージェフ大統領は北カフカス地方の秩序回復を政権の重要課題に据え、1月、クラスノヤルスク州知事として成功した実業家のフロポニン氏を同地方の大統領全権代表に任命し、連邦政府の副首相兼務という強い権限も与えた。武力による過激派掃討と経済改革の両輪で秩序回復を目指す狙いだが、課題は多く目立った成果は上がっていないのが実情だ。
 ロシアでは昨年の経済危機の影響がじわじわと広がりつつあり、公共料金の値上げなどに反発する住民の抗議行動が政権を揺さぶっている。こうした中で起きた今回のテロ事件で、国民の政権に対する不満が一層強まる可能性もある。
 ◇首都警備にもろさ 強権路線復活懸念の声も
 メドベージェフ大統領は08年5月の就任後、経済構造改革を優先課題に掲げ、政治情勢の安定を背景に民主化も徐々に進める姿勢を見せてきた。しかし、首都の治安のもろさを露呈したことにより、プーチン前大統領の強権統治路線の復活を懸念する声も出ている。
 カーネギー国際平和財団モスクワセンターのペトロフ常任研究員は「ベスラン事件(04年9月にイスラム武装勢力が起こした学校人質事件)後、政権は政治的な圧力を強化する一連の措置を取った」と指摘。今回のテロを受け、全国各地で起きている野党勢力らの反政府抗議活動に対する「弾圧」が強まる可能性に言及する。
 メドベージェフ大統領が進める警察改革にも影響を与えそうだ。大統領は汚職など不祥事の多発を背景に、内務省の組織改革と綱紀粛正に乗り出している。今回のテロを防げなかったとして警察批判がさらに強まれば内務省への圧力は増し、プーチン前政権時代に影響力を強めたFSBの権限強化が進む可能性がある。政治評論家のムーヒン氏は「武装勢力掃討作戦などで比較的うまく連携してきた内務省とFSBの確執が深まり、政権の不安定につながる可能性もある」とみる。
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 ■ことば
 ◇モスクワの地下鉄
 モスクワ中心部と周辺の町を結ぶ路線と、中心部を取り囲む環状線の計12路線が運行し、総延長は約300キロ。沿線には計約180の駅があり、ステンドグラスやモザイク画が施されるなど一部は観光スポットにもなっている。旧ソ連のスターリン時代の1935年、最初の一部区間が開通。【共同】
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 ■ロシアで起きた主なテロ・爆破事件
99・ 8 モスクワ中心部の地下商業センターで爆弾テロ、64人死亡
    9 モスクワのアパートが連続爆破され、計200人以上死亡
00・ 8 モスクワ中心部プーシキン広場の地下道で爆発、12人が死亡
02・10 モスクワ市内で劇場占拠事件、強行突入時に人質ら130人が死亡
03・12 南部スタブロポリ地方で通勤列車が爆破され、47人死亡
04・ 2 モスクワ市南部で地下鉄が爆発、乗客ら41人死亡
    9 北オセチア共和国ベスランで学校人質事件、児童ら約330人死亡
05・ 6 モスクワ郊外でチェチェン発の列車が爆発で脱線、42人が負傷
07・ 8 モスクワ発サンクトペテルブルク行き特急が爆発で脱線、約60人が負傷
   10 南部サマラ州トリヤティ市で路線バスで爆発、乗客8人が死亡、70人以上負傷
09・11 モスクワ発サンクトペテルブルク行き特急が爆発で脱線、乗客ら少なくとも26人死亡
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From:モスクワ 「大国復活」への課題
世界の雑記帳:ロシアが時間帯を11から9に統合、さらなる削減案も
毎日新聞 2010年3月30日 東京朝刊
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石田ふたみ