2010年03月25日(木) |
既に介護難民が発生している。 |
1、介護保険の誤算=磯崎由美(生活報道部) 2010年3月24日 毎日新聞 2、特養待機者が約42万人という日本の社会「2010年1月」 http://ameblo.jp/syogai1/entry-10444212941.html 3、高齢者の終末期医療―胃ろう(PEG) http://secondleague.net/user/012/012/1156.html
60歳の知人から電話が来た。両親と本人の3人暮らしである。90歳近い父親は、床に付きっぱなしの状態だ。85歳の母親が90歳の夫の世話をしている。いつ倒れるか分からない状態である。60歳の知人は失業中で働く必要があるのだ。このような状態でも特別養護老人ホームに入れないのである。介護難民と言っても過言でない。
特別養護老人ホームのベット数は全国で29万床である。資料2のとおり、特養待機者が約42万人もいるのである。特筆すべきことは、厚生労働省が公表した特養待機者数は42万人の4割が重度の人たちなのだ。知人の父親のように床に付きっぱなしの状態の重度の待機者が42万人の4割の17万人野いるのだ。 介護難民17万人と言ってよいだろう。入所している29万人が仮に一度に逝去したとしても13万人の待機者が出るという凄まじさだ。まさに介護難民である。
待機者全体に占める在宅者の割合は47%で20万人。在宅でない人は53%で22万人である。在宅でない人の22万人は入院中で、介護施設への移動(追い出し)を求められている人たちである。 まさに介護難民である。
一つ大きな医療上の問題点を記述したい。 障害や重度の認知症で口から物を食べられなくなると、「胃ろう」と呼ばれる手術を行い、おなかの口を作って栄養を摂取させる。手入れや管理が大変で、医療行為にあたるためヘルパーには頼めない。胃ろうにする高齢者は増え、在宅介護を続ける家族の大きな負担となっている。果たしてこの医療行為適切なのか疑問である。
脳血管障害の場合、栄養状態が良ければ長く延命する。入院して胃ろうが必要と言われ承諾した家族も、在宅となり介護が長引くと、後悔するケースが多いようだ。岩手県内の老人病院で三年間に亡くなった105人データは次の通りだ。
・経管栄養(鼻からのチューブ、胃ろうなど) 平均1年11か月の延命 ・点滴(腕などの静脈からの低カロリー点滴) 平均2か月の延命
障害や重度の認知症で口から物を食べられなくなった状態で。胃ろうの手術は意識が明確にある場合に限定すべきではないかと思う。最期まで病院に置いてくれるのであれば選択の一つかもしれない。しかし、現在は一定の期間で退院する必要がある。
終末期への備えとして、食べられなくなったときの本人の希望は早い段階から聞いておくことが必要だ。意識がない場合は低カロリー点滴で終末を迎えさせてやるべきでないだろうか。
――――――――――――――――――――――――――――――――――― 介護保険の誤算=磯崎由美(生活報道部)
2010年3月24日 毎日新聞
障害や重度の認知症で口から物を食べられなくなると、「胃ろう」と呼ばれるおなかの口を作って栄養を摂取することがある。手入れや管理が大変で、医療行為にあたるためヘルパーには頼めない。胃ろうにする高齢者は増え、在宅介護を続ける家族の大きな負担となっている。
東京都内の男性、神戸さん(61)もその一人だ。同居の義母は最も重い「要介護5」。妻は働き、交通事故の後遺症がある神戸さんが主に介護する。特別養護老人ホームを3カ所申し込んでいるものの、胃ろうの人を受け入れてくれる所は少なく、2年が過ぎた。
親や配偶者を施設に入れたい人が決して冷淡なわけではない。「預ければ楽になる。でももう少し家でみてあげたい」。神戸さんの思いも行き来するが、目を離したすきに義母が転倒し、頭をけがしたこともある。24時間緊張を強いられる介護は専門職ですら並大抵ではない。
人口の約3割が65歳以上という時代が10年後に迫る。誰も経験していない超高齢社会へと日本は時計の針を確実に進め、それが想定できたから介護保険制度を導入した。でも想定外だったと思われることもある。施設ニーズの高まりがその一つ。厚生労働省が今年初めて公表した特養待機者数は42万人に上り、うち4割が重度の人だった。
もう一つは高齢者の貧困化、独居化だ。あちこちで広告を目にする有料老人ホームは入居一時金だけで数百万円、国が積極的に推進するグループホームも多くが月20万円近くかかる。蓄えが乏しければどれも厳しい。 高齢者や家族が求めるものと現状のギャップをどう埋めていくか。11年目からの介護保険の大きな課題だ。
毎日新聞 2010年3月24日 0時06分 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 特養待機者ガ42万人という日本の社会 テーマ:12、高齢者情報 2010-01-27 20:31:08 ミクシイコミュニテイ「高齢者情報」からの転載です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
報道と資料 1、特養待機者、東京4.3万人 兵庫・神奈川など2万人超 2010年1月15日23時6分 朝日新聞 2、特養待機者が約42万人−施設整備の遅れが原因か 医療・介護情報CBニュース 3、厚生労働省ニュース : 特養待機者は約42万人、 都道府県別のリストを公表――厚労省 4、特別養護老人ホームとは (1)特別養護老人ホームの目的 (2)設置主体と入所基準 (3)設置計画(以下はエンピツをお開きください) http://www.enpitu.ne.jp/usr2/bin/day?id=22831&pg=20100127
特養待機者が約42万人という日本の社会、すでに深刻な高齢化者と言わざるを得ない。専門の皆さんは知っていることですが、多少の情報を箇条書きにして意見交換の題材としたい。
1、上記4、(3)の計画によれば、特別養護老人ホームのベット数は290,000床である。(詳しくご存じの方がいましたら書き込みをお願いいたします)
2、これに対して、特別養護老人ホームの入所希望者は42万人である。この実態をどう受け止めればよいのでしょう。
3、待機者全体に占める在宅者の割合は47.2%で19万8677人。在宅でない人は52.8%で22万2582人。
4、待機者は東京都が4万3746人、兵庫県2万5100人、神奈川県2万2865人、北海道2万2420人など。一方、待機者が少なかったのは佐賀県1317人、徳島県1462人
5、特別養護老人ホームの主な施設事業収入は以下である。 1)措置費 月額 約 230,000円/人 (国と県または市が負担) 2)利用者負担金 月額 約 30,000円/人(平均的な額・利用者応分負担)
――――――――――――――――――――――――――――――――――― 高齢者の終末期医療―胃ろう(PEG) 2008-02-05 07:56:58 http://secondleague.net/user/012/012/1156.html
高齢者の終末期における栄養摂取方法別平均余命 東北大の研究 脳血管障害や、痴ほうの進行で食事ができなくなった高齢者の生存期間についての研究。 岩手県内の老人病院で三年間に亡くなった105人 経管栄養(鼻からのチューブ、胃ろうなど):1年11か月 点滴(腕などの静脈からの低カロリー点滴):2か月
ある病院の場合 04年4月〜05年3月にある院で亡くなった患者155人(死亡時の平均年齢86.2歳) (1)経管栄養をつけてから、最後まで経管栄養だけの人:約2年3か月 (2)中心静脈栄養:6か月半 (3)人工栄養を選ばない:口から食べられる量が生命維持ぎりぎりになった時から2か月 医師の意見 ・脳血管障害の場合、栄養状態が良ければ長く延命する。入院して胃ろうが必要と言われ承諾した家族も、在宅となり介護が長引くと、後悔するケースがあるとケアマネージャーからの報告をうけた。 ・食べられなくなった高齢者には、胃ろうなどの経管栄養や中心静脈栄養をすることが多い。我が国の平均寿命が延びた一つの理由であると思われる。 ・この処置により今後どのようになるか正確な情報を家族に伝えることが必要。 ・胃ろうの家族を介護している者や医療従事者が心身ともに疲れることも多い。こうした現状を真剣に考える時がきているのではないか。胃ろうも最初は「栄養管理」だが、長引けば「延命治療」ということになる。 ・胃ろうを造ることが多くなっているが、つくりっぱなしが多いのが問題。意志疎通ができない患者に対しての胃ろうは、とくに注意を要する ・積極的にリハビリをすると、2割近くは経口摂取が可能になるが、胃ろうを一度つくってしまうと、リハビリをなおざりにしてしまうケースが多い。仮に胃ろうを抜去できても、受け皿の家庭における介護の負担という問題もある。 ・胃ろうは、栄養管理のツールとしてうまく使いこなせば非常に有用であることは間違いない。だが同時に、一度入れたら最期まで抜けない、延命治療のツールともなっているのが現状。・終末期への備えとして、食べられなくなったときの本人の希望は早い段階から聞いておくことが理想だろう。末梢点滴、中心静脈栄養、経鼻胃管、胃瘻と、栄養経路の選択肢が多くなっている今、患者および家族にそれぞれの利点と欠点を知ってもらった上で、意思を確認することが必要だ。
ある医師が終末期の近付いた患者や家族に渡す文書(要約) http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/EiyouYomei.shtml
飲み込むことの障害すなわち嚥下障害は、肺炎の大きな要因であり、生命に影響が及ぶ危険性も高い。その対策の一つとして、経管栄養(胃ろう、あるいは経鼻経管栄養、管の挿入時にやや“辛さ”を感じます)という手段がある。欧米では、思想の違いからほとんど行われません。 (略) 思想的背景以外にも、「いたずらに長生きさせて、苦痛を長引かせるのは医療費の適切な使い方とはいえない」という考え方がある。 私は、脳梗塞などが原因で、意識はしっかりしているのに嚥下の能力に障害を生じた場合には、経管栄養の施行を積極的に支持。 高齢となり老衰などが主因の嚥下障害の場合には、「延命」的な要素が強いため、経管栄養の施行には消極的な立場(老衰などで自身の力で食事摂取できなくなった時が、天寿ではないかと考えている)。 ただ、経管栄養を施行するかどうかを最終的に決定するのは、ご本人(判断が不可能な場合はご家族)。よく話し合ってほしい。 リポーターの独り言 “老衰”でとはいえ、食事が摂れなくかった家族を目前にすれば、「どんな手段をとってでも長生きさせたい」という思いと「それが本人にとっては良いことなんだろうか」「本人はどのように望んでいるんだろうか」といろいろな思いが錯綜する事でしょう。また、家族間でもいろいろな意見が出てくることと思います。 医療者にとことん聞いて、家族でとことん話し合って納得した上で処置をする事が、大切だと思いました。 関係者が一緒に一つの命についてとことん議論する、そのことが、命の尊厳を守ることではないでしょうか。
参考にしたHP YOMIURI ONLINE: http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20060927ik02.htm 栄養管理ガイド: http://www.1eiyoukanri.net/chuushinseimyaku.html さくらいクリニックホームホスピスケア: http://www.reference.co.jp/sakurai/hospice1.html 開業医の一日 http://homepage2.nifty.com/kaigyoi/bunnrui1309.htm 高齢者の終末期医療を考える会 http://www.fureai-net.com/syuumatuki.htm#03 最新医療情報 http://www.inetmie.or.jp/~kasamie/EiyouYomei.shtml
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