『日々の映像』

2010年03月20日(土) 公示地価:2年連続99.6%の地点で下落


1、公示地価:2年連続下落 上昇わずか7地点、過去最少に
                    2010年3月18日 毎日新聞
2、公示地価、2年連続下落 4.6%、商業地の下げ目立つ
                     2010年3月19日  日経
3、公示地価の下げ幅拡大は不動産株に冷水、本格回復はかなり先の声
2010年 03月 18日 18:48 JST
4、地価下落―新しい成長の足場にも
                    2010年3月19日 朝日

 日本経済の厳しさは枚挙にいとまがない。公示地価の2年連続下落もその中の一つだ。国土交通省が18日発表した今年1月1日時点の公示地価は、全国平均で住宅地が前年比4.2%下落、商業地が6.1%下落と、ともに2年連続で下落した。過去と比較可能な2万7410の調査地点のうち99.6%に当たる2万7302地点で下落したというからどうにもならない。

 下落率が全国最大の地点は東京都港区新橋1の26.9%というから暴落に近い。下落率上位10地点はすべて商業地で、9地点が東京都心部だった。地価の高いところでは商売ならない背景があると思う。

 商業地の下落が著しいのは、郊外の大型ショッピングセンターなどに客を奪われ、地方都市を中心にシャッター商店街が続いていることも地価の下落に拍車をかけている。不動産関係者のコメントは、追って地価は持ち直すとの見解をのべているが、少子高齢化などで成長が期待できない国の不動産価格が、大幅に上向くのはあり得ない。

 65歳以上が50%を超える限界集落の地価は、限りなくゼロになっていくのである。住み利用する人がいなくなれば、地価は限りなく下落するのは自然の流れと言える。日本全体が少子高齢化と共に、地価の下落という大波に遭遇するといわねばならない。個人的な行動基準は、利用しない土地は持つべきでないが鉄則のように思う。
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1、公示地価:2年連続下落 上昇わずか7地点、過去最少に
                   2010年3月18日 毎日新聞

 国土交通省が18日発表した今年1月1日時点の公示地価は、全国平均で住宅地が前年比4.2%下落、商業地が6.1%下落と、ともに2年連続で下落した。過去と比較可能な2万7410の調査地点のうち99.6%に当たる2万7302地点で下落し、08年秋のリーマン・ショック以降の土地需要冷え込みが全国で続いていることを示した。上昇はわずか7地点で、調査を始めた70年以降で最少。横ばいも101地点にとどまった。
 前年調査で住宅地は3.2%下落、商業地は4.7%下落だったが、今回はそれぞれ下落幅が拡大した。オフィスビル空室率の上昇などで収益力低下が続く商業地の下落率が大きい。
 ただ、昨年7月1日時点の基準地価と共通する3大都市圏(東京、大阪、名古屋)の892の調査地点で半年ごとの下落率を見ると、住宅地は09年前半2.9%→後半2.0%、商業地は前半4.4%→後半3.1%と、いずれも年後半に下落率が縮小。景気持ち直しの傾向を反映し、地価底打ちの兆しも出始めた。
 3大都市圏の公示地価は住宅地が4.5%、商業地が7.1%の下落。地方圏は3大都市圏より下落率が小さいが、18年連続の下落となった。都道府県別でもすべてが下落。下落率が大きいのは、住宅地は石川(6.4%)、東京(6.2%)、徳島(同)、商業地は東京(9.0%)、大阪(8.9%)、秋田(8.4%)などだった。
 下落率が全国最大の地点は東京都港区新橋1(26.9%)。下落率上位10地点はすべて商業地で、9地点が東京都心部だった。住宅地の下落率は渋谷区神宮前4(17.5%)が最大。上昇率上位の5地点は、いずれも地下鉄が延伸される名古屋市緑区だった。
 全国最高価格は、住宅地が14年連続で東京都千代田区五番町12の6で1平方メートル当たり283万円。商業地は4年連続で中央区銀座4の5の6(山野楽器銀座本店)で2840万円だったが、前年比では25.7%下落した。【位川一郎】
 【ことば】▽公示地価▽ 国土交通省の土地鑑定委員会が全国の都市計画区域とその周辺の標準的な地点を選び、毎年1月1日時点の価格を判定して発表する地価。10年の調査対象は2万7804地点。都道府県が毎年7月1日時点で調査する「基準地価」とともに、土地取引の目安となる。
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2、公示地価、2年連続下落 4.6%、商業地の下げ目立つ
                     2010年3月19日  日経
 国土交通省が18日発表した2010年1月1日時点の公示地価は全国平均(全用途)で前年比4.6%下落し、2年連続で前年を下回った。08年秋からの世界同時不況の影響が全国に広がり、下落率は前年の3.5%から拡大した。地価が上昇した地点は全国2万7410地点のうち愛知、静岡両県の7地点だけで、1970年の調査開始以来、最も少なかった。
 10年の公示地価は全国の住宅地が前年比4.2%、商業地が6.1%下落するなど、商業地の落ち込みが大きい。下落率が大きい10地点のうち9地点は新橋や銀座など、東京都心の商業地だった。
 住宅地は83年の水準。商業地は調査開始以来最低で、これまでのピークだった91年の3割以下にまで落ち込んだ。(01:41)
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3、公示地価の下げ幅拡大は不動産株に冷水、本格回復はかなり先の声
2010年 03月 18日 18:48 JST
水野 文也記者
 [東京 18日 ロイター] 公示地価が下げ幅を拡大しつつ2年連続でマイナスとなり、戻り歩調の不動産株に冷水をかける格好となった。
 国内金融政策は低金利継続の方向が鮮明となり追い風だが、急速に不動産市況改善が期待できず、さらに景気に対して遅行性があることから、関連銘柄の本格的な相場回復には時間を要するとの見通しが広がっている。
 2010年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途)で前年比マイナス4.6%と2年連続で下落。マイナス幅は09年の3.5%から拡大した。全国で調査した地点の99.6%で下落、とりわけ07年と08年には全国平均の地価をリードし、不動産業界の収益を押し上げ要因となった3大都市圏の下落が著しい。国土交通省によると、地価の下落幅は昨年上期よりも下期に縮小しているが、下げ止まったとは判断できない状況という。
 株式市場では「オフィスの空室率悪化など、これまで悪い指標が目立っていただけに、サプライズ感はない。株価全体を崩す要因にはならないのではないか」(東洋証券・ストラテジストの檜和田浩昭氏)との見方が出ていた。しかし、不動産株や銀行株など関連銘柄の多くは、このところ戻り歩調をたどっていたために影響が懸念されている。
 東証業種別指数で不動産は、4日の安値752.35ポイントを起点に17日高値843.34ポイントまで上昇。この日は利益確定売りに押されていたものの「マンション販売上向きのニュースがあったほか、日銀の追加緩和策に対する期待感も手伝って買われていた。その分の反動が生じる可能性もある」(大和証券キャピタルマーケッツ・投資戦略部の西村由美氏)という。
 不動産株について直近の買い材料となったのは、15日に民間の不動産経済研究所が発表したマンション市場動向。2月の首都圏マンション発売戸数は2777戸、前年比10.7%増となり3カ月ぶりにプラス、マンション契約率は70.7%で、順調に在庫圧縮が進展していると読み取れる内容だった。しかし、ある国内系証券・不動産担当アナリストは「供給サイドが値下げした結果。売上高は回復しても利益は計上できないため、評価できる指標とは言えない。地価が下げ止まらない以上に、不動産全体の需給改善が見込めないことが問題だ」とコメントしていた。
 野村証券・不動産担当アナリストの福島大輔氏はリポートで、問題点として貸し手と借り手のミスマッチを指摘する。福島氏によると、市場で魅力的な不動産が売りに出ておらず積極的に買う状態になく借入金を圧縮する一方、簿価の高い不動産会社・ファンドはバランスシート調整が終了しておらず資金調達ができないという。そのため、市場に恩恵を及ぼすとの見方もある追加的な金融緩和策が、大手不動産会社のファンダメンタルズに大きな影響を及ぼさないとしている。
 ただ「一時はオフィスビルで解約が入居を大幅に上回る状態だったが、足元では入居が上回るようになっている。景気に対して遅行性があるため、先行き徐々に不動産の状況は改善しそうだ」(大手不動産関係者)との声や「スケールは小さいながら、不動産ファンドを組成する動きもポツポツと出始めた。楽観はできないながら、このまま下げ幅を広げるような様子でもない」(SMBCフレンド証券・不動産担当アナリストの馬場正夫氏)といった見方もある。2011年3月期には企業業績全体の上向きが見込まれているため、遅行性を踏まえれば徐々に需給の改善も期待できるようになり「ここからは市況底打ちのタイミングを待つ場面になる」(馬場氏)という。
 それでも「2─3年前にピークを打った時もそうだったが、不動産が活況になるのは株価が大幅に上昇するなど資産バブルの様相を呈した時。低金利継続は確認されながらも、こうした状態にない現在、急速に不動産業界が上向くとは思えない」(東洋証券の檜和田氏)との声もあり、今回の公示地価下落によって不動産株が悪材料出尽くしから本格的な相場回復に向かうといったムードは市場で感じられない。
 市場では「少子高齢化などで成長が期待できない国の不動産価格が、大幅に上向くのは難しそうだ。過去には資金を振り向けた海外勢も、現状では日本の不動産を注目するとも思えず、構造的に市況が上がりにくいと言えるのではないか」(UBS証券・チーフストラテジストの道家映二氏)と厳しい指摘もあった。
 (ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
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4、社説:地価下落―新しい成長の足場にも
                            2010年3月19日 朝日

 地価の動きは経済の勢いを映す鏡といえる。デフレで地価が下がるのも当たり前のこと。鏡を見て服装を整えるように、新しい現実を景気回復への足がかりにしたい。
 国土交通省がきのう発表した公示地価は、全国で2年連続の下落だった。下げ幅は住宅地が4.2%、商業地は6.1%だった。
 調査対象の約2万7千地点のうち上昇地点はわずか7地点。2008年秋のリーマン・ショック後の世界同時不況から抜け出せない日本経済の姿が確認された。
 とはいえ、バブル崩壊後の90年代とは様相が異なる。地価の下落が不況に拍車をかける悪循環に陥ってはいない。首都圏や中京圏では、下落傾向が緩やかになってきた。
 直近のピーク時からの下落率は、住宅バブルが破裂した米国や英国などに比べ格段に小さい。20年近くに及ぶ長い調整期間を経て、ようやく利用価値に見合う地価水準に落ち着いてきたようにも見える。
 アジア向け輸出の回復や財政・金融政策を頼りに不況からの出口をさぐっている日本経済にとって大事な時期だ。地価下落が経済に悪影響を及ぼさないよう、政府は注意深く手を打ってもらいたい。
 地価が下がって担保価値が落ちれば、金融が収縮したり投資や雇用が減少したりしかねない。それに対応するきめ細かい金融行政や中小企業対策が必要だ。資産の目減りで消費が冷えないよう、住宅ローン減税などの目配りも欠かせない。
 だが、地価下落はチャンスも生む。企業が事業拡大の好機と受けとめ、個人が新たな住宅取得へと動くなら、いずれ景気回復へとつながってゆく。
 たとえば首都圏ではここ数年、住宅価格が平均年収の6〜7倍の水準にあった。90年代前半、宮沢政権が「大都市圏の住宅を平均年収の5倍程度に」との目標を掲げた。今でも妥当かどうかは別として、この水準に近づけば、買う人がだんだんと増えてくる可能性はあるだろう。
 今年に入って首都圏でマンション契約率に回復の兆しが出ているのは、そうした変化を示すようにも見える。
 これを機に、福祉施設の建設も期待できる。大都市圏では保育所が大幅に不足している。地価下落で建設費が安くなった以上、不足の解消へ踏み出す決断を関係者に求めたい。
 海外からの投資も呼び込みやすくなった。土地は投機の対象にしてはならないが、眠らせておくものでもない。有効に利用すべきものだ。
 住む人には暮らしやすく、ビジネスや観光で海外から来る人にも魅力的な日本作りを進める好機である。ここから新しい成長への道筋を考えたい。



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石田ふたみ