『日々の映像』

2010年03月14日(日) 資源高による景気失速の危険



社説1 資源高による景気失速に警戒を怠るな(3/14)
                       2010年3月14日  日経

資源の過剰な買い付けが原因なのか、原燃料高が続いている。日本の企業収益を圧迫し、回復途上の景気を失速させる危険があるのだ。

日経の社説から主な原料の高騰をメモ。
・原油先物は1バレル80ドルを上回り、前年同期と比べ7割高い
・銅が最高値圏の1トン8千ドル台に高騰している。
・鉄鋼大手と豪州資源大手が原料石炭の55%の値上げで合意。
・製紙原料パルプの輸入価格は主産国チリの地震被害も加わり、昨年初めに比べて4割以上も高騰した。

これらの値上がりは中国の景気刺激策や備蓄増強が深く影響しているようである。中国の昨年の輸入量は銅が08年の2倍、亜鉛が4倍に急増している。


―――――――――――――――――――――――――――――――――
社説1 資源高による景気失速に警戒を怠るな(3/14)
                       2010年3月14日  日経
 原油、鉄鉱石など幅広い資源が値上がりしている。要因は投資資金だけではない。各国が危機対策として供給した資金は中国などの新興国に流入し、資源の過剰な買い付けにつながった。原燃料高は日本の企業収益を圧迫し、回復途上の景気を失速させる恐れがある。

 米原油先物は1バレル80ドルを上回り、前年同期と比べ7割高い。2008年夏に記録した147ドル台の最高値から見れば安いが、リーマン・ショック前との景気実態の違いや、産油国が大幅な減産を継続しても在庫が減らない需給の緩みからは乖離(かいり)した高値といえる。

 価格上昇には第一に、年金やヘッジファンド、個人投資家が原油など国際商品への投資を増やし、欧米の商品先物市場に資金が流入した要因がある。米原油先物でファンドの買い越しは1月に13万5千枚(1枚は1千バレル)と過去最高に拡大し、直近でも10万枚を超す。

 証券取引所で売買する上場投資信託(ETF)を通じた資金流入も目立つ。金やプラチナ、原油などの価格に連動するETFの運用残高は世界で7兆円を超え、東京や大阪の証券取引所に上場する商品ETFの数も今月中に11から25に増える。

 投資家にとって、株式や債券以外に運用対象が増えることは分散投資に役立つ。ただ商品市場への急激な資金流入が価格の乱高下や実体経済への悪影響につながらないように、政府は各国当局と協力して監視する必要がある。

 資源や食糧の消費で世界の3〜5割を占める中国の影響は大きい。そこに米国など先進国で余った資金が流入し、需要を刺激する構図にも注意すべきだ。

 非鉄金属市場で銅が最高値圏の1トン8千ドル台に迫るのは、中国の景気刺激策や備蓄増強とともに、投機的な買い付けが影響している。中国の昨年の輸入量は銅が08年の2倍、亜鉛が4倍に急増した。

 現物市場で売買する鉄鉱石の価格は、今年度の国内鉄鋼各社の契約価格より9割高い。鉄鋼大手と豪州資源大手が55%の値上げで合意した原料石炭に続き、4月以降の価格引き上げは避けられない情勢だ。

 製紙原料パルプの輸入価格は主産国チリの地震被害も加わり、昨年初めに比べて4割以上上がった。

 新興国経済の強さは日本の輸出を増やし、景気を下支えしている。しかし製品価格に下げ圧力が強い中で原燃料高が続けば、やがて企業収益とともに景気を下押しする可能性に警戒は怠れない。

 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ