『日々の映像』

2010年01月17日(日) 小沢氏の進退時間の問題か

報 道

1、社説:石川議員逮捕―小沢氏に進退を問う
                  2010年1月16日 朝日新聞
2、社説:石川議員ら逮捕 裏献金の有無が核心だ
                   2010年1月16日  毎日
3、社説2 石川議員逮捕は小沢氏に責任(1/16)
                   2010年1月16日  日経
4、社説:石川議員逮捕 小沢氏の責任は極めて重い
2010年1月16日  読売

 政権が変わって金まみれではどうにもならない。検察は行くところまで行くような気配である。以前自民党の川島副総裁が「政治の一寸先は闇」と表現したことがある。政治の一寸先である明日はどうなるのか、政治家にとっては闇かもしれないが、国民にとっては決して闇ではない。

 社説のポイント部分を引用しよう。

朝日新聞
 このままでは、政権交代をしたのにカネまみれの政治の姿は何も変わらないと、国民の失望は深まる。 刑事責任の有無とは別に、小沢氏が負うべき政治責任はそこにあるのではないか。小沢氏は自らの出処進退を決断すべきだ。

毎日新聞
小沢氏の政治資金問題で現職国会議員が逮捕され、鳩山内閣の運営に与える影響は極めて重大だ。捜査の進展次第では小沢氏の進退問題も絡むだけに、国会は冒頭から緊迫した展開となる。

経済新聞
しかし検察は、単なる虚偽記載にとどまらない悪質な規正法違反があったとみている。小沢氏の地元で国が建設中のダムの受注を巡り、ゼネコン側からヤミ献金が小沢氏側に入り、それが購入資金の一部になった疑いをもっているのだ。

読売新聞
鳩山首相は地検が一斉捜索に乗り出した後も、小沢氏を擁護してきた。野党・自民党が首相の偽装献金事件だけでなく、小沢氏の土地購入疑惑を厳しく追及するのは必至だ。
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1、社説:石川議員逮捕―小沢氏に進退を問う
                           2010年1月16日 朝日新聞
 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体の土地購入疑惑をめぐり、石川知裕衆院議員が東京地検特捜部に政治資金規正法違反の疑いで逮捕された。ほかの元秘書も逮捕された。
 国会開会中に国会議員を逮捕するには、許諾請求の手続きが必要だ。捜査当局とすれば、週明けの通常国会開会の前に石川議員の逮捕に踏み切ったということだろう。
 民主党政権の真価が問われる初めての通常国会を直前に控え、政権一の実力者である小沢氏の側近だった現職の国会議員らが逮捕された。まさに異常事態である。
 きょう開かれる民主党大会は、夏の参院選に向けて結束を示すはずだったのに、それどころではなくなった。
 小沢氏をめぐっては、西松建設の違法献金事件で、公設第1秘書が政治資金規正法違反の罪で逮捕・起訴され、東京地裁で公判中だ。秘書は無罪を訴えている。今回の土地取引疑惑でも、小沢氏は「意図的に法律に反する行為はしていない」と語り、検察の任意の事情聴取要請にも応じていない。
 しかし、側近から3人もの逮捕者を出した政治的、道義的責任は極めて重いと言わざるをえない。
 小沢氏の資金管理団体は、5年前に東京都内の宅地を購入した。購入資金に充てた約4億円を「収入」として収支報告書に記載しなかったことなどが、石川議員の逮捕容疑だ。
 疑惑の核心は、4億円の原資がどこから出てきたかだ。その一部が、同じ時期に岩手県内のダム工事を下請け受注した中堅ゼネコンから、石川議員に渡された5千万円ではないかとのヤミ献金疑惑が浮かんでいる。
 小沢氏はこれまで、捜査中であることを理由に、この4億円の出どころや不自然な経理操作の理由などについて、一切説明をしていない。
 しかし、もはや説明を拒み続けることは許されまい。検察の事情聴取に応じ、国民に対しても納得のいく説明をすべきだ。それができないのであれば、「やましい金だった」と思われても仕方ない。
 民主党では、鳩山由紀夫首相の元公設第1秘書も違法献金事件で起訴され、公判を待つ身だ。
 通常国会は冒頭から、野党の厳しい追及が予想され、混乱は必至だ。小沢氏に対し、説明責任を果たすよう求める動きがほとんどなかった民主党内でも、ようやく小沢氏の責任論が言われだした。
 このままでは、政権交代をしたのにカネまみれの政治の姿は何も変わらないと、国民の失望は深まる。
 刑事責任の有無とは別に、小沢氏が負うべき政治責任はそこにあるのではないか。小沢氏は自らの出処進退を決断すべきだ。
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社説:石川議員ら逮捕 裏献金の有無が核心だ
                  2010年1月16日  毎日
 民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る事件で、東京地検特捜部の捜査が大きく動いた。
 小沢氏の元私設秘書、石川知裕衆院議員と別の元私設秘書を政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕、西松建設事件で公判中の大久保隆規・公設第1秘書の逮捕状を取った。
 陸山会は04年10月、東京都世田谷区に土地を購入した。金融機関から借りた4億円を支払いに充てたと小沢氏側は従来説明していた。だが、実際は、小沢氏から提供された別の4億円が充てられたという。
 容疑は、この4億円を政治資金収支報告書に記載しなかったなどの疑いだ。なぜそうしたのか。小沢氏の提供とされる4億円の原資は何か。それが事件の核心だ。
 陸山会を巡り、中堅ゼネコン「水谷建設」元幹部が「1億円を小沢氏側に渡した」と供述しているという。5000万円は04年10月に石川議員に、残り5000万円は翌年、大久保秘書に渡したと話しているという。
 国が発注した胆沢(いさわ)ダムの下請け工事受注の成功報酬だという。この供述が事実だとすれば裏献金である。
 特捜部は時期的に、最初の5000万円が、土地代の支払いに充てられた可能性があるとみるのだろう。
 胆沢ダム工事で水谷建設の元請けだった大手ゼネコン「鹿島」に捜索が入ったことからもうかがえる。
 逮捕容疑は、4億円を報告書に記載しなかったことだ。だが、仮に裏献金を使って土地を購入したことを隠す意図がその背景にあったとすれば、悪質というほかない。
 石川議員は特捜部の調べで4億円の原資について「知らない」といい、説明は合理性を欠いていたとされる。逮捕は、そのためだろう。
 18日に通常国会が開会する。仮に開会後に石川議員を逮捕する場合、所属する衆院の許諾が必要になる。特捜部は、石川議員の在宅起訴の方針を転換し、逮捕しての真相解明にかじを切る中で、ギリギリの判断で、時機を探ったとみられる。
 小沢氏は虚偽記載の経緯についてどういう認識だったのだろうか。捜査を尽くすよう改めて検察に求めたい。
 小沢氏の政治資金問題で現職国会議員が逮捕され、鳩山内閣の運営に与える影響は極めて重大だ。捜査の進展次第では小沢氏の進退問題も絡むだけに、国会は冒頭から緊迫した展開となる。
 小沢氏をはじめ党が国会審議を通じての真相究明に協力すべきことは言うまでもない。鳩山由紀夫首相は党代表として自浄能力を示すため、指導力を発揮する責任がある。
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3、社説2 石川議員逮捕は小沢氏に責任(1/16)
                   2010年1月16日  日経
 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り東京地検特捜部は、政治資金規正法違反容疑で陸山会の会計担当者だった石川知裕衆院議員らを逮捕した。

 土地購入資金の流れを解明するのに欠かせない参考人聴取に小沢氏が応じないために、関係者の逮捕に踏み切ったとみられる。検察と政治の関係を不必要なまでに緊張させ、異様な事態に立ち至らせた小沢氏の責任は極めて重大といえる。

 小沢氏は政権与党第一の実力者である。検察への有形無形の圧力を否定できなかったのが政界捜査の歴史だ。今また小沢氏がその権力を用いて検察の捜査に介入するようなことがあってはならない。

 一方で検察も、法と証拠に基づき厳正で、何より公平な捜査を遂げなければならない。そうしなければ国民が選んだ政権との微妙な距離感を見失う恐れがある。被疑者の人権を守りつつ真相を解明するという基本を踏まえ、果敢な捜査を徹底することが求められよう。

 検察は陸山会が東京都世田谷区で購入した宅地の取引に絡み、原資となった約4億円の資金の流れを捜査してきた。

 陸山会の政治資金収支報告書の記載は虚偽で、実は、購入原資は小沢氏の「個人の資金」だったと石川議員はこれまでの任意の事情聴取で明らかにしたもようだ。

 しかし検察は、単なる虚偽記載にとどまらない悪質な規正法違反があったとみている。小沢氏の地元で国が建設中のダムの受注を巡り、ゼネコン側からヤミ献金が小沢氏側に入り、それが購入資金の一部になった疑いをもっているのだ。

 小沢氏は、公設第1秘書が規正法違反に問われ裁判が始まった西松建設の巨額献金事件でも、十分な説明をしてこなかった。

 自民党など野党は18日召集の通常国会で小沢氏本人や関係者の参考人招致を求め、一連の疑惑を厳しく追及していく方針だ。

 鳩山由紀夫首相をはじめ民主党の幹部はこれまで説明責任を果たそうとしない小沢氏を擁護する姿勢をとってきた。所属議員の逮捕という事態を受けて、どう自浄能力を発揮するのかが問われている。

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4、社説:石川議員逮捕 小沢氏の責任は極めて重い
2010年1月16日  読売
                       
 昨年3月の公設第1秘書逮捕に続き、私設秘書だった石川知裕衆院議員が政治資金規正法違反の疑いで逮捕された。小沢民主党幹事長の政治責任は重大である。
 小沢氏は、地検の事情聴取に応じるのはもちろんのこと、数々の疑惑について、国民への説明責任を果たさねばならない。
 18日からは通常国会が始まる。それを目前に地検が石川議員らの逮捕に踏み切ったのは、任意の事情聴取を重ねてもその供述になお曖昧(あいまい)な部分が多いことなどから、逮捕しなければ全容を解明できないと判断したためとみられる。
 石川議員の逮捕容疑は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐるものだ。
 陸山会は2004年10月、東京都内の土地を購入した。石川議員の供述では、小沢氏から手渡された現金4億円を充てたという。
 これも含め、小沢氏は、政治資金収支報告書に記載のない、少なくとも16億円の収支に直接かかわっていた可能性が高い。
 また、陸山会では、なぜか土地購入代金を払った直後、4億円の定期預金を組み、これを担保に金融機関から同じ金額を借り入れている。東京地検では土地購入の原資を隠す偽装工作とみている。
 この際の融資関係書類にも、小沢氏の署名があったという。
 小沢氏の地元岩手県のダム工事を下請け受注した中堅ゼネコンの幹部らは、土地購入とほぼ同時期に、石川議員に5000万円を提供したと供述している。
 地検では、土地購入の原資にゼネコンからの裏献金が含まれていた疑いがあるとみており、こうした点について、今後、石川議員を追及する方針だ。
 小沢事務所の資金集めに関し、地検は、公設秘書の政治資金規正法違反事件の公判で、公共工事の受注業者決定に対する影響力を背景に多額の献金を受けていた、と指摘している。
 検察当局は石川議員らの取り調べを通じ、疑惑の全体像に迫ってもらいたい。
 小沢氏は土地購入疑惑が昨年10月に明るみに出て以降、潔白を強調するだけで、事実関係は一切説明していない。小沢氏がなすべきは事実を明らかにすることだ。
 鳩山首相は地検が一斉捜索に乗り出した後も、小沢氏を擁護してきた。野党・自民党が首相の偽装献金事件だけでなく、小沢氏の土地購入疑惑を厳しく追及するのは必至だ。民主党も真相究明に乗り出さねばなるまい。
(2010年1月16日01時22分 読売新聞)

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石田ふたみ