『日々の映像』

2010年01月18日(月) 阪神大震災15年:情報の収録




1、阪神大震災15年、首相が追悼の辞 「手厚い支援できる体制を」
                     2010年1月17日  日経                   
2、「教訓を語り継ごう」 阪神大震災15年、各地で追悼行事
                     2010年1月17日  日経
3、社説 減災社会へ住宅耐震化が急務(1/17)
                     2010年1月17日  日経
4、社説:政権と震災―政治主導で危機へ備えを
                     2010年1月17日  朝日新聞
5、社説:阪神大震災15年 教訓を忘れず確かな備えを
                     2010年1月17日 読売新聞

 阪神大震災の公共的な復興費は8兆円余り投入した。しかし、被災した個人に対する支援はこの100分の1以下なのである。日本の行政思想は、自然災害では、国が個人を救済しないという前提に立っている。社説の論議は枝葉のテーマで、この根本を論議する必要がある。

阪神大震災から2年経った1997年1月17日に次の短歌を作ったのでご紹介します。
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1997年01月17日(金) 阪神大震災から2年経った
1月17日 鮮明に残っているこの大震災の印象を31文字に綴りたい。

・災害時 縦割り行政 ノロノロと 死に行く人こそ 哀れなりけん
・熱風に 乗って切り裂く 叫び声 阿鼻叫喚の 地獄絵図かな
・宇宙より わが身(地球)の方に 未知多し 地震の予知など あてにならずか
・文明の 自然に対する 挑戦も 非力なりしか 地震に対して
・地質図に 無数に走る 断層が いつまた動くか 地殻の力
・傷心の 震災孤児の 大半は 自分の責(とが)と せめにさいなむ
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1、阪神大震災15年、首相が追悼の辞 「手厚い支援できる体制を」
                   2010年1月17日 日経
 鳩山由紀夫首相は17日、神戸市を訪れ、阪神・淡路大震災15周年追悼式典に出席した。首相は「未曽有の災害をもたらした震災から15年が経過した。すべての被災者に心からお見舞い申し上げる」と追悼の辞を述べた。その上で「市民の皆さんの連携や協力は新しい公共の姿を示すものだ」と述べた。
 式典後、記者団に「再建のための支援もさらに手厚い支援ができるような体制をつくりたい」と語り、災害時の支援体制を強化していく姿勢を強調した。 (21:30)
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2、「教訓を語り継ごう」 阪神大震災15年、各地で追悼行事
                  2010年1月17日  日経
 6434人が亡くなった阪神大震災は17日、発生から15年を迎えた。神戸市など兵庫県内各地で開かれた追悼行事では、参加者が犠牲者の鎮魂を祈り「体験や教訓を語り継ごう」との思いを新たにした。
 皇太子ご夫妻と鳩山由紀夫首相が出席した追悼式典も開かれた。
 被災地では高齢者支援や地域活性化など懸案が残り、震災が原因で身体障害者になった「震災障害者」の実態把握という新たな課題も浮上している。
 犠牲者の名前が刻まれた「慰霊と復興のモニュメント」がある神戸市中心部の東遊園地では「1.17」の形に並べた竹灯籠に火をともし、発生時刻の午前5時46分に黙とうした。
 引き続きあった神戸市主催の追悼行事で、祖母を亡くした遺族代表の下浦裕美さん(49)が「この日がくるたびに(当時を)鮮明に思い出し涙が出る」とした上で「風化することがないよう、子どもたちにずっと伝えたい」と記憶の継承を誓った。矢田立郎市長はハイチの大地震にも触れながら「震災で得た経験をほかの被災地支援に役立てていくことがわたしたちの使命」と強調した。〔共同〕(13:30)
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3、社説2 減災社会へ住宅耐震化が急務(1/17)
                     2010年1月17日  日経
 カリブ海の島国ハイチを直下型の大地震が襲い、犠牲者は20万人に上るとの見方もある惨事となった。医薬品や食料、水など生存に必要なものすべてが現地では不足している。大規模な国際支援が必要で、日本も迅速に支援の輪に加わるべきだ。

 倒れた建物に生き埋めになった犠牲者。懸命に救出を試みる住民たち……。こうした光景は、15年前に起きた阪神大震災を想起させる。私たちは都市のもろさを知った。

 阪神大震災では約10万棟の家屋が全壊、亡くなった約6400人の約8割は住宅などの倒壊が原因とされる。揺れても壊れにくい町、壊れても人命を奪わない「減災社会」を築く必要性を痛感した。

 大震災を教訓に住宅や公共施設の耐震化は進んだが、まだ不十分だ。住宅の耐震化率は昨年4月現在で79%。全国で約1千万戸は耐震性がないか、耐震診断がなされていない。

 国と自治体が補強工事を補助する制度があるものの、制度を持つ市町村はおよそ半数だ。地域によっては自治体も住民も危機意識が薄い。

 木造住宅の耐震改修費は平均200万円ほど。3分の1の補助を受けても高齢者世帯などには負担は大きく、利用が広がっていない。これでは危険を抱え込んでいるようなものだ。あまりお金をかけずに命を守る住宅改修ができないものか。

 東京都などは割安かつ効果的な補強法のアイデアを工務店などから募り、公表している。合板を張って壁を厚くしたり、窓など開口部に丈夫な枠をはめ込んだりすれば、短期間の工事で耐震性が高まる。せっかくの知恵をもっと住民に広めたい。補強工事が広がれば、雇用創出の効果も期待できる。

 社会基盤の補強も進んだが、落とし穴がある。昨夏、駿河湾の地震で東名高速道路が路盤から崩れた。東京湾などの埋め立て地は石油タンクをのせた地盤の液状化が心配だ。公立小中学校の校舎や体育館も昨年4月現在で約4万棟が耐震対応していない。着実に耐震化を進めたい。

 日本は世界の大地震の2割が集中する。事前に警報を確実に出せるほど地震の科学は成熟していない。いつ、どこを震災が襲ってもふしぎはないことを改めて肝に銘じよう。
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4、社説:政権と震災―政治主導で危機へ備えを
                    2010年1月17日  朝日新聞
 6434人の犠牲者を出した阪神大震災からきょうで15年を迎える。戦後初めて大都市を直撃した震災は、日本の危機管理のありようが問われた人災でもあった。
 当時は「自社さ」連立の村山政権だった。非常災害対策本部が動き出したのは地震発生から約6時間後。緊急対策を打ち出すのには、さらに一日以上もかかった。救援が後手後手に回り被害を拡大させてしまったのは、被災の実態をつかむのに手間取ったからだ。
 地震列島といわれながら、歴代の政府が国民の命を守ることに真剣に取り組んでこなかったつけが、このときに回ってきた。
 その教訓から震度計をきめ細かく配備し、国内外の危機情報を24時間収集できる体制も整えた。省庁の縦割りの弊害を排するために内閣危機管理監も置いた。一昨年の岩手・宮城内陸地震では、発生から7分後に首相官邸に対策室ができた。
 初動体制は整ってきたが、それだけでは十分でない。危機管理監は災害の事前対策には不慣れな警察官僚OBが務めてきた。防災を担う内閣府の職員は他省庁からの出向で、2年もすれば出身の省庁に戻る。防災を専門とする人材の厚みができていないのだ。
 民主党は「危機管理庁」の創設をマニフェストに掲げているが、まだ議論すらされていない。日本列島は地震の活動期に入ったといわれ、いつ、どこで地震が起きてもおかしくない。目の前にある危機に備え、まずは既存組織を最大限に有効活用することを考えてはどうか。
 防災の経験が豊富な人物を危機管理監にあて、内閣府に「防災職」ともいえるプロパーを育てる。消防庁長官には現場の仕事をよく知った専門家を登用すれば、命がけで救助にあたる消防士らの士気も上がるだろう。
 政治主導で適材適所を進め、防災面から霞が関を変える。そんな意気込みで態勢づくりを急いでほしい。
 気がかりなのは防災関連の予算が軒並み縮小されてしまいそうなことだ。とりわけ公立小中学校の耐震化工事の予算が6割も削られるのは深刻だ。「高校授業料無償化」の予算をひねり出すためだが、中国・四川大地震で学校が倒壊して多くの子どもが犠牲になったことを思い出したい。
 中米・ハイチの首都を直撃した大地震はひとごとでない。東京を襲う直下地震では、木造住宅の密集地で火災が同時多発し、65万棟が焼失すると想定されている。壊滅的な打撃を受ける恐れが強い。いつになれば、首都機能の分散を真剣に考えるのか。
 鳩山由紀夫首相は所信表明演説で「地震列島で万全の備えをするのが政治の第一の役割」と述べている。実行が伴うかどうか注視したい。
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5、社説:阪神大震災15年 教訓を忘れず確かな備えを
(1月17日付・読売)
 被災地では悲しい記憶が今も消えない。阪神・淡路大震災から、17日で15年になる。
 犠牲となった6434人の冥福を改めて祈るとともに、大地震に備える決意を新たにしたい。
 震災の教訓は、まだ十分に生かされていない。命を守る体制が整ってきたとは言い難い。
 犠牲者の死因の8割以上は、住宅の倒壊や家具の転倒による窒息死・圧死だった。大半は建物の耐震性の低さに帰因している。
 政府は、2015年までに住宅の耐震化率90%を目指すが、約75%にとどまっている。改修のペースを2〜3倍に上げなければ、目標を達成できない。
 公立小中学校では、09年度予算での耐震工事が終わっても、震度6強の揺れで倒壊の恐れがある施設が2万5000棟に上る。
 子供たちの安全にかかわる上、地域住民の避難拠点だ。早急に改善すべきだ。だが、鳩山政権は高校授業料無償化を優先し、公立小中学校の耐震化予算を前政権に比べて6割も削減してしまった。
 大震災では、病院も被災している。スタッフの不足や負傷者の殺到、交通渋滞による転送の遅れなどが重なった。応急措置が不十分のため、助かるべき負傷者が死に至る事態を防ぐことが、災害医療の最大の目的だ。
 病院の耐震化を進めていくのはもちろん、大震災を想定した緊急時の医療体制を整えておかなければならない。
 初動の救援活動の大切さも、大震災は教えている。
 建物や家具の下敷きになって、自力で脱出できなかった被災者の多くが、近隣住民らに助け出された。消防や警察、自衛隊による救助は2割程度にとどまるとする専門家の調査もある。
 被害が甚大な場合は、消防や警察も対応しきれない。住民同士の救助体制を公的な危機管理に取り込む仕組みも必要だ。
 東海、東南海、南海、首都圏直下など巨大地震はいつ起きてもおかしくない。政府は、緊張感をもって対策に取り組んでほしい。
 折もおり、カリブ海の最貧国ハイチで大地震が発生した。
 首都が壊滅状態に陥り、多数の人々が、瓦礫(がれき)の下敷きになっている。死者は20万人に達する可能性もあるという。
 日本政府は、国際緊急援助隊の医療チームを派遣したが、阪神大震災の教訓からも、迅速な対応が肝要だ。効果的な支援に努めてもらいたい。
(2010年1月17日01時22分 読売新聞)

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石田ふたみ