『日々の映像』

2009年12月25日(金) 大学生の親「年収450万未満」急増

1、<東大生>親の年収「450万円未満」急増
                    2009年12月24日  毎日
2、九大が学生に10万円支援、生活苦1000人に
                2009年12月19日   読売新聞
3、独自の奨学制度 少子化 大学の競争激化
                   2009年12月22日 読売新聞
4、学費負担してくれぬ親
                   2009年12月19日 読売新聞
2、授業料を全額免除する制度の参考
千葉大学
http://www.chiba-u.ac.jp/student/pw/remission.html
岡山大学
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/life/seikatu_a1.html
秋田県立大学 特待生、最大4年間全額免除
http://www.akita-pu.ac.jp/money/money02.htm

比較的裕福な家庭が多いといわれる東京大生にも不況が影を落としている。同大学の08年の「学生生活実態調査」によると、親の世帯収入が年収450万円未満の学生が前年の9.3%から17.6%に急増しているという。

反面比例するように年収が1050万円以上高額所得層も減収している。07年に45・5%に達した1050万円以上の層が36.5%に減少している。親の収入減に伴い様々な問題があるが、大学生はまずは情報」を確実に把握して対処してほしいと思う。過去の歴史の例によるまでもなく恵まれた環境からは大人物は出ていないのである。
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1、<東大生>親の年収「450万円未満」急増
                    2009年12月24日  毎日
 比較的裕福な家庭が多いといわれる東京大生にも不況が影を落としている。同大学の08年の「学生生活実態調査」によると、親の世帯収入が年収450万円未満の学生が前年の9.3%から17.6%に急増した。学生自身の収入も大幅に減っている。

 調査はリーマン・ショック後の08年末に学部生の4分の1を対象に実施し、1585人から回答を得た。例年10%前後だった年収450万円未満の層が大幅に増えた一方、高額所得層は減少。07年に45.5%に達した1050万円以上の層が36.5%に減った。

 仕送りやアルバイト代、奨学金など学生が得る収入は、自宅外生(寮生を除く)に限ると、男子は月平均1486円減の15万4234円、女子は同1万7093円減の14万8097円。特に女子の減少が大きかった。収入が多かった時期と比べると、男女とも2万〜3万円以上減り、20年前の水準に戻った。

 自由記述欄には「教科書が高すぎて、興味のある講義をあきらめざるを得ない」(文1男子)、「学費が高すぎる。生活が苦しい」(文3男子)といった声も多く寄せられた。東大は保護者の年収が400万円以下の学生の授業料を全額免除する制度を創設しているが、学生生活委員会の担当者は「寮の拡充などさらなる対策が必要だ」と話している。【井上俊樹】
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2、九大が学生に10万円支援、生活苦1000人に
2009年12月19日   読売新聞
 九州大(福岡市、有川節夫学長)は18日、経済的な理由で授業料を納付できなかったり、生活に困窮したりしている在学生計1000人に対し、1人10万円、総額1億円の奨学一時金の支給を決めた。
 学部生541人と大学院生459人で、留学生92人を含む。来年1月末までに支給する予定。1億円は、今年度取り組んだ全学的な経費削減運動で生み出した。
 九大によると、授業料の免除申請を行った学生数は昨年度まで4900人前後で推移していたが、今年度は5100人に増加した。授業料免除や奨学金だけでは救済できない学生が増えていることから、支援することになった。来年度以降も、授業料免除枠の拡大や大学独自の経済支援策を検討するという。
(2009年12月19日00時11分 読売新聞)
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3、独自の奨学制度 少子化 大学の競争激化
2009年12月22日 読売新聞
 大学の学費の捻出(ねんしゅつ)は家計にとって大きな負担です。不況の下ではなおさらですね。そこで、家計の苦しい学生や成績の優秀な学生に授業料を免除したり奨学金を支給したりする大学が増えています。

 ――大学独自の奨学制度は、なぜ増えているのでしょうか。早稲田塾総合研究所主任研究員の倉部史記さんに聞きます。
 倉部さん 「不況に対応した経済支援という面もありますが、根底にあるのは大学間競争の激化です。少子化で学生数が減ったため、優秀な学生を集めるためにアピールする狙いがあります。今では、ほとんどの大学が何らかの取り組みをしています」
 ――奨学制度に、どんな種類のものがあるんですか。
 倉部さん 「大学によって様々ですが、大きくわけると〈1〉経済的に苦しい学生向け〈2〉成績が優秀な学生向け――の2種類です。最近の傾向として、国際基督教大学のように多額の奨学金を支給する大学も増えてきました」
 ――多額ってどのくらいでしょう。国際基督教大学(ICU)財務理事の白石隼男さんに聞きます。
 白石さん 「昨年度から始まった『ICUピースベル奨学金』は、在学中4年間にわたって年間100万円を支給します。入学試験の成績や家計の状況などを考慮し、毎年15人程度を選考しています。奨学金の原資となる基金は卒業生などからの寄付でまかなわれています。奨学金を受けている学生からは、『この制度がなければ入学できなかった』という声も届いています」
 ――一人400万円とはすごいですね。でも、学生を支援するのは私立だけじゃなくて、国立大学にもあるようです。
 東京大学奨学厚生グループ長の千々岩(ちぢいわ)高美さん 「教育の機会均等のために授業料免除制度は前からやっていました。ただ、入学後の審査まで免除を受けられるかどうかが分からず受験や進学をためらう学生もいました。そこで、2008年度からは、世帯の給与年収が400万円以下などの条件に合う学部学生は、授業料を全額免除するよう制度をハッキリさせました。事前に免除の基準やその計算方法も公表し、学生が安心して受験できるようになりました」
 ――授業料免除を受けている学生はどれくらいいるのでしょうか。
 千々岩さん 「今年度の前期実績では、留学生を除いた学部学生のうち697人が全額免除となっています。不況の影響もあってか、昨年よりも増加しています」
 ――各大学の奨学制度を知るには、どうすれば良いのでしょう。
 倉部さん 「制度は大学により違い、毎年変わります。大学のホームページで確認したり、個別に大学に問い合わせたりすることが必要でしょう。知らなければせっかくの制度も活用できません。高校時代の成績を考慮する大学も多いので、早いうちから実力をつけておくことも大切です」(経済部 中村直哉)
(2009年12月22日 読売新聞)
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4、学費負担してくれぬ親
2009年12月19日 読売新聞
 20歳過ぎの女子大学生。親が「学費を出す」と言ってくれたので頑張って大学進学しました。しかし2年前から父の給料が減り身内の不幸も重なりました。父は短気になり「家のローンもある。大学を出してやると言ったのはなかったことにしてくれ」と。今、両親は1円も出してくれません。
 学費のために授業の後、深夜までアルバイトをしています。教室で睡魔に負けてしまうことも。卒業までとても持ちません。遊ぶお金も時間もない。楽しそうにサークル活動をする同級生をねたんでしまう。それなのに両親は休日にそろって外食に出かけることも。
 先日、酒に酔った父が「自分で支払えているし、いいじゃないか」と言うので口論に。顔を殴られアザになりました。来年までに大学から授業料免除を認められなければ中退し、親子の縁を切って家を出て働こうかと。最近は母とは最低限の会話だけ。父とは目も合わせていません。(千葉・S子)

 本当に、今までよく頑張ってこられましたね。昨今の不況で、学業を続けられなくなった学生さんの話を聞くたびに、大学の教員として胸が痛みます。あなたの場合は、精神的にも追い詰められている様子が気がかりです。
 授業料免除が通れば良いのですが、もし免除されなかった場合でも、あなたには大学を卒業してほしいと思います。大学のゼミの先生や学生相談室などへ相談に行きましたか。奨学金や貸付金など使える制度は利用しましょう。ご両親ともう一度冷静に話し合い、借りるという形でも、一部でも、払ってもらえるよう頼んでみましょう。
 どうしてもあなたが全額負担しなければならず、アルバイトと授業の両立が困難なら、あなたの大学の制度にもよりますが、休学して授業料をためるという手もあるかと思います。
 大卒という資格は重要ですし、卒業して就職すれば自分自身で人生を歩むことができるのです。今はつらいと思いますが、やけになることなく、人生を大切に歩んでください。あなたの将来の幸せを、陰ながら祈っています。
 (山田 昌弘・大学教授)

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石田ふたみ