『日々の映像』

2009年11月25日(水) 太陽光発電景気回復のリード役となるか


1、太陽光発電、補助申請10万件突破 経産相「確実に拡大」
                      2009年11月24日  日経
2、太陽電池の出荷、過去最高 7〜9月、国内は2.6倍
                    2009年11月16日
3、リフォームローン、省エネ住宅向け利用急増 国の補助、追い風
                    2009年11月19日
4、大和ハウス、太陽光発電装置付きアパートを11月発売
                      2009年10月29日 日経
5、社説 「低炭素で豊かな生活」問われる企業 
                     2009年11月16日 日経
 要点をメモしよう。
1、余剰電力を従来の約2倍の値段で買い取る制度が始まった11月に入ってからは申請件数が1日800件を超えており、経産相は「太陽光発電の普及は確実に拡大している」
2、太陽光発電協会が16日発表した太陽電池の出荷統計によると、国内出荷と輸出を合わせた7〜9月の総出荷は前年同期比31%増の39万7545キロワット(発電能力ベース)となり、3四半期ぶりに過去最高を更新した。
3、現在販売中のアパートの居住者の年間光熱費は18万3364円だが、新商品では余剰電力を従来の2倍の価格で売れる新制度による収入を差し引くと年間の光熱費は3579円で済む。
 要点中の要点は、各家庭が太陽光発電で180万円支出しても、年間約18万円の光熱費が安くなるので投資額を約10年で回収できるのである。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
1、太陽光発電、補助申請10万件突破 経産相「確実に拡大」
                      2009年11月24日  日経
 直嶋正行経済産業相は24日の閣議後の記者会見で、住宅用の太陽光発電への補助制度の申請件数が1月からの累計で10万件を突破したと発表した。電力会社が余剰電力を従来の約2倍の値段で買い取る制度が始まった11月に入ってからは申請件数が1日800件を超えており、経産相は「太陽光発電の普及は確実に拡大している」と述べた。
 経産省は今年1月、出力1キロワットあたり7万円を機器の購入時に補助する制度を始めた。標準的な家庭用の発電機器の場合、1世帯あたりの補助額は20万円超になる。
 経産相によると、申請件数は11月19日までに10万260件となった。国内住宅向けの太陽光パネルの出荷量は7〜9月期に12万8000キロワットとなり、前年同期の2.7倍に拡大。太陽光でつくった電力のうち使わずに余った分を電力会社が従来の2倍の1キロワット時48円で買い取る制度が始まった11月に入ってから増加ペースに拍車がかかっている。 (16:00)
――――――――――――――――――――――――――――――――
2、太陽電池の出荷、過去最高 7〜9月、国内は2.6倍
                         2009年11月16日
 太陽光発電協会が16日発表した太陽電池の出荷統計によると、国内出荷と輸出を合わせた7〜9月の総出荷は前年同期比31%増の39万7545キロワット(発電能力ベース)となり、3四半期ぶりに過去最高を更新した。余った電力を買い取る制度の拡充などで、国内が2.6倍に急増。景気低迷で落ち込んでいた輸出もリーマン・ショック前の水準に回復した。
 国内出荷は住宅用が2.7倍に増えた。国や自治体の補助金制度に加え、発電した電力のうち余った分を従来の2倍の単価で電力会社が買い取る制度が11月に開始。投資回収までの期間が10年程度に短縮されることから、制度開始を前に新規の需要が拡大した。
 総出荷のおよそ3分の2を占める輸出は前年同期比3.5%増の26万861キロワットだった。主力の欧州向け輸出が前年同期とほぼ同じ水準に回復。オバマ政権が積極的な普及策を進める米国向けは1.5倍に伸びた。 (11:43)
――――――――――――――――――――――――――――――ー

3、リフォームローン、省エネ住宅向け利用急増 国の補助、追い風
                    2009年11月19日
 太陽光発電機器の設置や、すべての熱源を電気でまかなうオール電化住宅への転換など、省エネ住宅へのリフォーム向けのローンを活用する家庭が増えている。信販大手、オリエントコーポレーションの4〜9月の取扱高は前年同期比5割増の841億円に急増した。環境志向の高まりや政府の促進政策で省エネ住宅への改修ニーズが高まるとみて、大手銀行や地方銀行も、優遇金利ローンを投入し始めている。
 オリコの4〜9月のリフォームローンのうち太陽光発電を対象としたローンの取扱高は266億円で、2008年度の取扱高(210億円)を上回った。11月からはネットで事前審査する「Webリフォームローン」を始め、融資の迅速化など対応を強化する。 (16:00)
関連特集
―――――――――――――――――――――――――――――――――

4、大和ハウス、太陽光発電装置付きアパートを11月発売
                      2009年10月29日 日経
                 
 大和ハウス工業は29日、太陽光発電装置を標準搭載したアパートを11月2日に発売すると発表した。IHクッキングヒーターなども備えたオール電化仕様。11月に始まる太陽光発電の売電制度を活用すると、従来のアパートと比べ居住者が光熱費を年約98%削減できるという。
 商品名は「セジュールエコハ」。高効率給湯器「エコキュート」や節水トイレ、保温浴槽などの省エネ機器を標準装備。ドアの上に欄間をつけたり、開け閉めが簡単にできる間仕切りや天窓をつけるなど、風通しをよくし、エアコン無しでも涼しく過ごせる設計にした。
 床面積98.3平方メートル、居住家族3人という条件で比較した同社の試算では、現在販売中のアパートの居住者の年間光熱費は18万3364円だが、新商品では余剰電力を従来の2倍の価格で売れる新制度による収入を差し引くと3579円で済むという。(29日 19:45)

5、社説 「低炭素で豊かな生活」問われる企業 
                     2009年11月16日 日経

 地球温暖化を防ぐには生活のあり方も変わらなければならない。しかしただ消費を手控え、つましく暮らそうと強いるのでは長続きしない。これまでより快適で、便利で、楽しく、お得な低炭素時代に適した暮らし方の提案があれば自然に広がっていくはずだ。そうした新しい生活への挑戦は、すでに始まっている。

 日本の二酸化炭素(CO2)排出量は昨年度12億1600万トンだった。

家づくりから工夫を
 家庭からの分は14.1%。少ないようだが、消費財の生産、商業やサービス業、買い物の移動などを足すと総量の約6割が個人の生活によるとの試算もある。生活のあり方が変われば影響は大きい。

 第1のカギは家づくりだ。

 東京都内に「経堂の杜(もり)」というマンションがある。環境共生型の家を専門とする会社が造った。北側にケヤキの大木5本を残し、南側には落葉樹を植栽。ベランダにはウリ科の植物で天然のすだれを作った。夏は日射を遮り冷気を入れ、冬は日照を確保。建物は断熱工法だ。気温が35度でも室内はエアコンなしで27度に抑え、冬は明け方でも14度までしか下がらない。好評から同種の集合住宅をほかに2棟手がけた。

 大手企業ではパナソニックや新日本石油が燃料電池などを用いCO2の排出をゼロにしたモデル住宅を完成させた。家を巡るさまざまな試みが具体的な形を見せつつある。

 日本の住宅の平均寿命は30年弱。米英の半分程度だ。高度成長期に建った家がいま寿命を迎える。短命を逆手にとり、エネルギー効率のいい家を増やす好機にしたらどうか。

 そのためには環境性能の分かりやすい表示が必要になる。ドイツでは素人にも分かるエネルギー効率の指標を家ごとに示す。クルマでいえば燃費だ。家の燃費が分かれば、家賃は高めでも燃費のいい家を建てる(借りる)という判断を、知識の乏しい消費者も下しやすくなる。

 家庭用の省エネ機器はまだ高い。助成金もいいが、普及させるための仕組みも工夫したい。北九州市の芝浦特機は、屋上に太陽光発電パネルを敷き詰めた賃貸住宅を次々に建てている。環境機器のオンウェーブ(東京)は家庭用の風力発電機を月単位で貸し、3カ月の順番待ちだ。大手電機メーカーはLED(発光ダイオード)照明の企業向けリースを始めた。LEDや太陽光発電も個人でお試し利用ができれば喜ばれる。

 第2は消費のあり方だ。日本コカ・コーラのヒット商品「い・ろ・は・す」は国内最軽量のペットボトルを用いたミネラル水。容器を4割軽くし年間3000トンのCO2を削減した。手で簡単につぶせ、邪魔にならず回収コストも下がる。環境と利便性の両立で消費者の支持を得た。企業はイメージ戦略を脱し、実利を伴う環境商品の開発を競うべきだ。

 流通はIT(情報技術)活用がカギになる。昨年度通販市場は百貨店やコンビニを抜いた。主力はネット通販だ。スーパーなどが撤退し買い物に不便な地域が増えている。衣食住の買い物がネットで間に合えば環境と高齢化の両方への対応となる。

 ただし配送でCO2が増えては温暖化防止につながらない。ヤマト運輸は2010年度までに02年度比で荷物1個あたりのCO2排出量を3割減らす。手段は低公害車の導入、鉄道への切り替え、自転車とリヤカーの活用などだ。同様の取り組みを他の物流企業も進めるべきだろう。

自転車を生かそう
 3つめは暮らしの舞台である町の未来の姿だ。中心部に住宅や都市機能を集め、公共交通機関を充実させるコンパクトシティーづくりが叫ばれている。世代をまたぐ長期計画として気長に取り組むことになる。

 とりあえずいまのインフラを生かし、環境負荷の小さい移動手段の競争力を増すことを考えてほしい。例えば欧州にならい、JR、地下鉄、バスなど異なる種類の乗り物を、初乗り運賃なしで自由に乗り継げるよう検討してはどうか。大都市ではロンドンのようにエコカー以外のクルマが中心部に乗り入れるとき課税することも考えられる。在宅勤務の推進も通勤のための移動を減らす。

 自転車を交通体系の中にきちんと位置づけることも有力な手段だ。電動アシスト付き自転車の年間販売台数が原付き(ミニバイク)を超えたいま、安全面から見て緊急の課題でもある。車道の一部を自転車専用帯とし、保険などのサービス、通勤時のルールも整備し、駅などに修理場付き駐輪場を設けるのもいい。

 快適なサービス、お得なモノ、心地いい移動を選んだら、結果的に温暖化防止につながった。精神論よりも、そうしたビジネスの提供や社会システムをつくることが大切だ。









 < 過去  INDEX  未来 >


石田ふたみ