『日々の映像』

2009年11月24日(火) 勤労感謝の日に想う 



社説:勤労感謝の日 汗して「稼ぐ」尊さ見直せ
                    2009年11月24日  新潟日報

 勤労感謝の日に関連した社説を掲げた新聞社は1社だけであった。このたび政府の緊急人材育成支援事業に基づいて「建築営業社員養成講座」に関連して失業者34人と面談して、24名がこの講座に参加することになった。これらの人たちと面談して感ずることは、「働く場所」がないことである。 

 サブプライムローン、リーマンショックに始まった世界不況は、働き方のいかんを問わず、世界中の人を巻き込んだ。派遣切りは正社員切りへと広がり、県内でもパナソニック、三洋など大きな進出工場の閉鎖や希望退職が相次いだ。
その地場の企業の閉鎖も相次いでいる。9月の県内有効求人倍率は0・44倍しかない。来年度高卒の就職内定率は10月末で55.8%といずれも過去最低水準となっている。
 
 日本も米国同様に働こうにも、その機会さえ奪われ、職を手にすることが困難な状況が続いている。オバマ大統領、支持率は50%以下となっている。 
http://ameblo.jp/syogai1/entry-10393823878.html
 これは戦後4番目の早さであるという。10月の米失業率、29州で10%
http://ameblo.jp/syogai1/entry-10394699324.html
を超えているのだから失業率が落ちで当然である。
米経済成長率、10年は2.9%になると予測
http://ameblo.jp/syogai1/entry-10395387191.html
されているが、米国経済の構造からして就業率の回復は困難であろう。日本も同じ道を歩んでいると認識するしかない。
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社説:勤労感謝の日 汗して「稼ぐ」尊さ見直せ
                    2009年11月24日  新潟日報
 「稼ぐ」。本来は精を出して働く意味だが、いまでは金を儲(もう)ける意味で使われることの方が多くなっているのではないか。でも、新潟では違う。
 「よう、稼ぎなさるね」という語り掛けは「がめつく儲けている」という皮肉ではなく、「働き者だ」という褒め言葉だ。実直な新潟県人らしさが漂う言い回しである。
 金を儲ける「稼ぐ」と、額に汗する「稼ぐ」。世界同時不況が地域経済にも深いダメージを与え、いまだ出口を見いだせずにいる。そんな中できょう「勤労感謝の日」を迎える。一つの言葉に込められた二つの意味を考える良い機会としたい。
 サブプライムローン、リーマンショックに始まった世界不況は、金に金を生ませる投機的金融資本主義が行き着くところまで行った結果、引き起こされた。それは、地道に稼ぐ実体経済とは懸け離れたものだ。
 だがリーマンなどの破綻(はたん)の衝撃は、働き方のいかんを問わず、世界中の人を巻き込んだ。派遣切りは正社員切りへと広がり、県内でもパナソニック、三洋など大きな進出工場の閉鎖や希望退職が相次いだ。
 9月の県内有効求人倍率は0・44倍しかない。来年度高卒の就職内定率は10月末で55・8%といずれも過去最低水準となっている。
 働こうにも、その機会さえ奪われ、職を手にすることが困難な状況が続いている。米国の大手金融機関は、既に業績を回復しつつあるという。破綻のダメージは、それに巻き込まれ、働き口を失った人たちの方がはるかに深刻ではないか。
 汗が報われぬ、欲望のシステムから抜け出す道を探らねばならない。儲けという単一の価値だけで競うのではなく、地域に根差し、個性を生かした稼ぎ方を再評価することが大切だ。
 この危機的状況の中で、農業県新潟の伝統を受け継ぐ食品加工業は、9月中間決算でも比較的安定した業績を維持した。暗い話題が多い経済記事の中で数少ない明るい話題の一つだ。
 個々の企業努力や「内食」志向などさまざまな要因はあるだろう。だが、そこからは、派手さはなくとも得意技を生かす経済活動が持つ「耐性」を感じ取ることができる。
 まっとうに働き、価値を創造する稼ぎ方は、長期の安定的成長のためには不可欠だ。鍵を握るのは地域発の企業育成であり、それが雇用の安定、暮らしの安心にもつながる。
 「稼」という文字は、稲穂を表す「のぎへん」と、家という字でできている。もともとは農耕を意味する言葉だ。その地に暮らし、働き続けることに感謝できる社会でありたい。
新潟日報2009年11月23日

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石田ふたみ