『日々の映像』

2009年11月18日(水) コポイント「住宅版」の創設の気配

報 道

社説 「低炭素で豊かな生活」問われる企業 (11/16)
                     2009年11月16日 日経
コポイント「住宅版」の創設を検討 菅副総理が表明
                      2009年11月16日  日経
 コポイント「住宅版」が導入される気配である。多少住宅の情報がわかる立場で言うと、住宅産業が激変すると言わねばならない。具体的には次のようなことが出来ない既存業者のところに仕事が流れない現象となることは必至だ。

1、 北九州市の芝浦特機は、屋上に太陽光発電パネルを敷き詰めた賃貸住宅を次々に建てている。
2、 東京都内に「経堂の杜(もり)」というマンションがある。環境共生型の家を専門とする会社が造った。夏は日射を遮り冷気を入れ、冬は日照を確保。建物は断熱工法だ。気温が35度でも室内はエアコンなしで27度に抑え、冬は明け方でも14度までしか下がらない。
3、 パナソニックや新日本石油が燃料電池などを用いCO2の排出をゼロにしたモデル住宅を完成させた。家を巡るさまざまな試みが具体的な形を見せつつある。
4、ドイツでは素人にも分かるエネルギー効率の指標を家ごとに示す。クルマでいえば燃費だ。
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1、社説 「低炭素で豊かな生活」問われる企業 (11/16)
                     2009年11月16日 日経

 地球温暖化を防ぐには生活のあり方も変わらなければならない。しかしただ消費を手控え、つましく暮らそうと強いるのでは長続きしない。これまでより快適で、便利で、楽しく、お得な低炭素時代に適した暮らし方の提案があれば自然に広がっていくはずだ。そうした新しい生活への挑戦は、すでに始まっている。

 日本の二酸化炭素(CO2)排出量は昨年度12億1600万トンだった。

家づくりから工夫を
 家庭からの分は14.1%。少ないようだが、消費財の生産、商業やサービス業、買い物の移動などを足すと総量の約6割が個人の生活によるとの試算もある。生活のあり方が変われば影響は大きい。

 第1のカギは家づくりだ。

 東京都内に「経堂の杜(もり)」というマンションがある。環境共生型の家を専門とする会社が造った。北側にケヤキの大木5本を残し、南側には落葉樹を植栽。ベランダにはウリ科の植物で天然のすだれを作った。夏は日射を遮り冷気を入れ、冬は日照を確保。建物は断熱工法だ。気温が35度でも室内はエアコンなしで27度に抑え、冬は明け方でも14度までしか下がらない。好評から同種の集合住宅をほかに2棟手がけた。

 大手企業ではパナソニックや新日本石油が燃料電池などを用いCO2の排出をゼロにしたモデル住宅を完成させた。家を巡るさまざまな試みが具体的な形を見せつつある。

 日本の住宅の平均寿命は30年弱。米英の半分程度だ。高度成長期に建った家がいま寿命を迎える。短命を逆手にとり、エネルギー効率のいい家を増やす好機にしたらどうか。

 そのためには環境性能の分かりやすい表示が必要になる。ドイツでは素人にも分かるエネルギー効率の指標を家ごとに示す。クルマでいえば燃費だ。家の燃費が分かれば、家賃は高めでも燃費のいい家を建てる(借りる)という判断を、知識の乏しい消費者も下しやすくなる。

 家庭用の省エネ機器はまだ高い。助成金もいいが、普及させるための仕組みも工夫したい。北九州市の芝浦特機は、屋上に太陽光発電パネルを敷き詰めた賃貸住宅を次々に建てている。環境機器のオンウェーブ(東京)は家庭用の風力発電機を月単位で貸し、3カ月の順番待ちだ。大手電機メーカーはLED(発光ダイオード)照明の企業向けリースを始めた。LEDや太陽光発電も個人でお試し利用ができれば喜ばれる。

 第2は消費のあり方だ。日本コカ・コーラのヒット商品「い・ろ・は・す」は国内最軽量のペットボトルを用いたミネラル水。容器を4割軽くし年間3000トンのCO2を削減した。手で簡単につぶせ、邪魔にならず回収コストも下がる。環境と利便性の両立で消費者の支持を得た。企業はイメージ戦略を脱し、実利を伴う環境商品の開発を競うべきだ。

 流通はIT(情報技術)活用がカギになる。昨年度通販市場は百貨店やコンビニを抜いた。主力はネット通販だ。スーパーなどが撤退し買い物に不便な地域が増えている。衣食住の買い物がネットで間に合えば環境と高齢化の両方への対応となる。

 ただし配送でCO2が増えては温暖化防止につながらない。ヤマト運輸は2010年度までに02年度比で荷物1個あたりのCO2排出量を3割減らす。手段は低公害車の導入、鉄道への切り替え、自転車とリヤカーの活用などだ。同様の取り組みを他の物流企業も進めるべきだろう。

自転車を生かそう
 3つめは暮らしの舞台である町の未来の姿だ。中心部に住宅や都市機能を集め、公共交通機関を充実させるコンパクトシティーづくりが叫ばれている。世代をまたぐ長期計画として気長に取り組むことになる。

 とりあえずいまのインフラを生かし、環境負荷の小さい移動手段の競争力を増すことを考えてほしい。例えば欧州にならい、JR、地下鉄、バスなど異なる種類の乗り物を、初乗り運賃なしで自由に乗り継げるよう検討してはどうか。大都市ではロンドンのようにエコカー以外のクルマが中心部に乗り入れるとき課税することも考えられる。在宅勤務の推進も通勤のための移動を減らす。

 自転車を交通体系の中にきちんと位置づけることも有力な手段だ。電動アシスト付き自転車の年間販売台数が原付き(ミニバイク)を超えたいま、安全面から見て緊急の課題でもある。車道の一部を自転車専用帯とし、保険などのサービス、通勤時のルールも整備し、駅などに修理場付き駐輪場を設けるのもいい。

 快適なサービス、お得なモノ、心地いい移動を選んだら、結果的に温暖化防止につながった。精神論よりも、そうしたビジネスの提供や社会システムをつくることが大切だ。

エコポイント「住宅版」の創設を検討 菅副総理が表明
                      2009年11月16日  日経
 菅直人副総理・国家戦略相は16日午前の記者会見で、省エネ家電製品の購入を促す政府の「エコポイント」の住宅版の制度を創設する考えを表明した。2009年度第2次補正予算や10年度当初予算での経済対策に盛り込む方向で調整する。環境対策を施した住宅を新築したり改修したりした場合に、様々な商品やサービスと交換できるポイントを付与する仕組みとなる見通し。消費喚起による景気浮揚を狙う。
 会見で、菅氏は「『エコ住宅ポイント』で若干の支援をすることで、財政出動が小さくても大きな成果を得られる」と表明した。現在のエコポイント制度は温暖化対策の一環として、省エネ効果があると認定した薄型テレビ、エアコン、冷蔵庫を購入すれば、色々な商品やサービスと交換できるポイントを付与する仕組み。環境に配慮した自動車の購入を優遇する「エコカー減税」などとともに、麻生太郎前政権下の09年度第1次補正予算で導入した。(14:23)

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石田ふたみ