『日々の映像』

2009年11月17日(火) 景気二番底が必至の情勢だ。

報道と論説

1、景気二番底に危機感 鳩山政権2カ月、「15カ月予算」に活路
                  2009年11月16日 日経
2、4.8%成長でも消えぬ二番底懸念 7〜9月ピーク説も
                  2009年11月16日   日経
3 、2009年度の実質成長率、マイナス2.7%に・NEEDS予測
http://www.nikkei.co.jp/keiki/gdp/
4 、日本経済に二番底の懸念、早急に景気対策を=榊原早大教授
2009年 09月 9日 17:38 JST

昨日と同じ視点の記述である。鳩山由紀夫首相は、景気の「二番底」懸念への対応に追われている。今年度2次補正は編成の声も上がっているが、本予算の組み立てに追われているので大胆な景気対策は無理に気配である。

税収の減で本予算では、45〜50兆円の国債の発行が予想されている。これ以上の国債発行の景気対策は常識の範囲では出来ないと思わる。元大蔵官僚の榊原早大教授は「日本の個人金融資産が1400兆円程度にのぼることなどを挙げ、『日本は世界最大の債権国。日本の財政状況が危機的とは思っていない』とし、『現在の国債市場は、10─15兆円の国債発行を十分に吸収できる。金利が若干上がっても、(現在1.3%台の長期金利が)2%を上回ることはない』」と語っている。果たして、鳩山政権はどのような決断をくだすか。
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1、景気二番底に危機感 鳩山政権2カ月、「15カ月予算」に活路
                  2009年11月16日 日経
 16日で就任2カ月を迎える鳩山由紀夫首相は、日米首脳会談に続いてアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席と外交活動を展開する一方、国内では景気の「二番底」懸念への対応に追われる。2009年度第2次補正予算案を来年度予算案と一体編成する「15カ月予算」の形で景気対策を打ち出したい考えだが、新味のある政策メニューをそろえるのは難しい状況で、財源確保のめども立っていない。
 「歳出カットした部分を経済が厳しい中で使うのは国民生活を考えればありうべしだ」。首相は14日、シンガポールで同行記者団に来年1月召集の通常国会冒頭に提出する2次補正の財源に、自公政権で編成した1次補正の執行停止分2兆9000億円の大半を充てると明言。雇用、環境、景気など国民生活に直結した分野に重点配分する方針だ。政府は17日にも来年度予算も合わせた「15カ月予算」の基本方針を閣議決定する。切れ目ない対策と売り込むが、その第1弾となる今年度2次補正は編成期間が短く、大胆な内容を盛り込めるかは微妙だ。(シンガポール=大場俊介)(15日 18:14)
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2、4.8%成長でも消えぬ二番底懸念 7〜9月ピーク説も
                  2009年11月16日   日経
 内閣府が16日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)速報値は市場の事前予想を大幅に上回り、実質の前期比年率で4.8%増の「高成長」となった。だが国内外での経済対策効果が数字を押し上げている面は否めず、市場では「7〜9月ピーク説」が急浮上。この先の「二番底」懸念は消えない。
 個人消費が2期連続で伸びた背景にはエコポイントなど政策効果による耐久消費財の伸びがある。来年度以降の消費の「先食い」が指摘される分野だ。設備投資のプラス転換は明るい材料だが、前政権下の公共事業の押し上げ効果は早くもはげ落ち、輸出の好調も海外の政策効果が無視できない。追加経済対策の必要性と財政規律の確立のジレンマに悩む政府にとって、経済政策運営の難しさは増す。
 実質の高成長とは裏腹に、名目成長率は6期連続のマイナス。物価下落が背景だ。デフレ懸念にどう向かいあうのか。「来年4〜6月期にマイナス成長になる可能性がある」(幹部)とみる日銀にとっても、重い課題が突きつけられている。 (12:29)
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2009年度の実質成長率、マイナス2.7%に・NEEDS予測
http://www.nikkei.co.jp/keiki/gdp/

 日本経済新聞デジタルメディアの総合経済データバンク「NEEDS」の日本経済モデルに、11月16日に内閣府が公表した2009年7〜9月期の国内総生産(GDP)速報を織り込んで予測したところ、09年度の実質GDPは2.7%減と2年連続のマイナス成長ながらも08年度よりマイナス幅は縮小する見通しとなった。10年度は1.4%増で3年ぶりのプラス成長に復帰する。
景気後退期抜けを示す
 GDP速報によると7〜9月期の実質GDPは前期比プラス1.2%(年率換算で4.8%)で2期連続のプラス成長を確保した。内閣府は景気動向指数の基調判断を11月に上方修正したが、GDP速報も日本経済が既に景気後退局面を抜け出した可能性が高いことを示した。7〜9月期の高成長の主役は民需。前期の成長を押し上げた外需は、輸入が増加したため寄与度が前期の1.5ポイントから0.4ポイントへと低下。公共投資も5四半期ぶりに前期比で減少した。そうした中でも2年半ぶりの高い成長率になったのは堅調な個人消費に加え、設備投資が1年半ぶりのプラスになったため。住宅投資は引き続き落ち込んだものの、民需全体の寄与度は0.8ポイントと1年半ぶりに成長率を押し上げた。

4、日本経済に二番底の懸念、早急に景気対策を=榊原早大教授
2009年 09月 9日 17:38 JST

 [東京 9日 ロイター] 榊原英資早大教授(元財務官)は9日、日本記者クラブで講演し、日本経済は年末から来年初にかけて二番底を打つ可能性があると述べ、9月中旬に発足する鳩山由紀夫政権は新規国債の発行を財源に、景気対策を早急に打つべきと提言した。
 国債増発に伴う金利上昇懸念に対しては、日本は世界最大の債権国であり、10─15兆円の国債発行は市場で吸収可能と述べ、影響は限定的と語った。
 世界的な金融・経済危機の広がりを背景に、ドルの信認に懸念を示す声も出ているが、少なくとも今後20年はドル基軸通貨体制は変わらないとの見解を述べた。
 <景気対策財源は国債発行で賄うべき、長期金利は2%超えない>
 榊原氏は冒頭、自身を民主党のサポーターの1人と述べる一方、民主党のマニフェスト(政権公約)について「マクロ政策に対する記述がほとんどない」ことに苦言を呈した。
 その上で、日本経済は「微妙な段階にある。このままいけば年末から来年初にかけて、二番底を打つ可能性がある」と懸念を示し、鳩山政権に対して「そう遠くない時期、この1カ月間くらいに景気対策を打つべきだ」と提言した。具体的には、現政権が実施したエコ・ポイントやエコ減税などの継続、民主党が掲げる「子ども手当」や高速道路料金の無料化、ガソリン税などの暫定税率廃止を景気対策として実施すべきと主張。
 こうした対策の財源については「予算の執行を止めれば経済が無茶苦茶になる。不況の時は国債を新規発行しなければ景気対策にならない。当面は財源問題に配慮せず、新規施策を打つことが大事だ」と国債発行で賄うべきとし、民主党が表明している予算の執行停止や組み替えによる財源確保は「中長期的に財政規律が大切なのは間違いない。4年間かけて、じっくり無駄な歳出を削ればいい」との考えを示した。
 国債増発に伴う長期金利の上昇が懸念されるが、榊原氏は日本の個人金融資産が1400兆円程度にのぼることなどを挙げ、「日本は世界最大の債権国。日本の財政状況が危機的とは思っていない」とし、「現在の国債市場は、10─15兆円の国債発行を十分に吸収できる。金利が若干上がっても、(現在1.3%台の長期金利が)2%を上回ることはない」と語った。
<今後20年はドル基軸に変化ない、米国と対等な関係を>
 また、榊原氏は世界の現状を「20世紀型、米国資本主義の崩壊」と表現、「モノを中心とした経済の崩壊だ」と語った。
 米国が昨秋の「リーマン・ショック」の震源地となり、世界的に金融・経済危機が広がる中で米ドルの信認に懸念を示す声も聞かれるが、榊原氏は「相対的に弱くはなっているが、米国が世界のリーダーであることは10─20年は変わらない。ドルが基軸通貨であることは、少なくとも今後20年は変わらない」と指摘。
 今後の日米関係について「米国は力を持ち、速く変化を実現できる国であり、連携していかなければならない」としながら、「米国と日本が対等な関係であることをはっきり認識すべき。対等な関係で議論することは当然だ」と語った。
 アジア共通通貨構想に対しては「長期的な課題として考えていい。ただ、(実現は)20─30年先の話だ」と指摘。「中国が為替介入を撤廃するのも10年はかかる」との見方を示した。
 <新政権への参画、「オファーあれば考えたい」>
 さらに、榊原氏は、政治主導をめざす鳩山新政権に対し、「官僚をうまく使っていくことが重要」とし、具体策として1)事務次官や局長などの人事サイクルを首相任期と同一にする、2)省庁設置法を廃止する、3)改革派の閣僚と連携する−−ことなどをアドバイスした。
 新政権が設置する首相直属の「国家戦略局」に参加を要請された場合の対応を問われ、「何らかのかたちで新しい改革をサポートできるオファーがあれば考えたい」と語った。

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石田ふたみ