『日々の映像』

2009年10月09日(金) 花王の食用油「エコナ クッキングオイル」出荷停止

報 道

1、花王、エコナの特保返上へ 消費者庁に失効届
                     2009年10月9日  日経
2、エコナの特保認定、消費者委「取り消しか停止」で見解一致
                     2009年10月9日  日経
3「エコナ」出荷・販売停止、健康影響はあるか
        2009年9月18日日経 /電子報道部解説委員・池辺 豊 

 友人のお歳暮で食用油「エコナ クッキングオイル」を頂いたので、大半消費してしまった。多く食用油を使うわけでないが製造時に脱臭工程で副生される「グリシドール脂肪酸エステル」という成分から、発がん性物質が生じる恐れがある・・・というから気持ちが良い話ではない。

この面での造詣に深い友人が安全性に疑いが持たれているこの「クッキングオイル」について「にせもの」と表現していた。こんど発足した消費者庁の審議は消費者団体の代表や法律家など9人で構成されているので企業の擁護に動くことはないと思う。それだけに、この種も問題が多く提起されてくると思う。

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1、花王、エコナの特保返上へ 消費者庁に失効届
                2009年10月9日  日経
 花王の特定保健用食品(特保)の食用油「エコナ クッキングオイル」などに発がん性物質に分解される可能性のある成分が多く含まれていた問題で、同社は8日、エコナの特保の許可の失効届を消費者庁に提出すると発表した。ほかの食用油と同程度の含有量に抑えられる技術を確立したうえで、改めて申請手続きをする方針だ。
 エコナの売上高は年間200億円で、食用油市場でシェア首位。 (15:21)
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エコナの特保認定、消費者委「取り消しか停止」で見解一致
                    2009年10月9日  日経
 花王の特定保健用食品(特保)「エコナ」シリーズから発がん性物質に変化する恐れのある成分が検出され販売が自粛された問題を巡り、内閣府の消費者委員会は7日、全体会合を開き「特保の認定を取り消すか、少なくとも一時停止すべきだ」との見解で一致した。エコナ関連製品の特保認定の再審査も視野に入れる消費者庁は同委の意見も考慮し、8日にも対応方針を決める。
 消費者委は消費者庁と同じ9月1日に発足。消費者団体の代表や法律家など9人で構成、消費者行政について意見を述べる役割を担っている。
 この日の会合で委員からは「安全性に疑いが持たれているのに、国が健康食品のお墨付きを与える特保認定を放置しておくのはおかしい」との意見が相次いだ。(07日 23:59)

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3「エコナ」出荷・販売停止、健康影響はあるか
        2009年9月18日日経 /電子報道部解説委員・池辺 豊       

 花王は17日、特定保健用食品「エコナ」シリーズでクッキングオイルなど59商品の出荷と販売を停止した。製造時に脱臭工程で副生される「グリシドール脂肪酸エステル」という成分から、発がん性物質が生じる恐れがあるからだ。「体に脂肪がつきにくい」という触れ込みで、年間約200億円の売り上げがある代表的な特定保健用食品(トクホ)。健康への影響はどれほどあるのだろうか。
 実はエコナにかかった疑惑は初めてではない。2001年に商品の販売が始まったが、03年ごろから主成分の「ジアシルグリセロール」に発がんを促進する恐れがあるとして、国の食品安全委員会などの場で、安全性が審議された。05年までの調査ではオスのラットに舌がんを起こしやすいという結果が出た。その後も調査は続き、最近になってやっと「通常の摂取では安全上の問題はそれほどない」と無罪放免になる見通しだった。
 そんな矢先に、降ってわいたグリシドール脂肪酸エステルの問題。同エステルが分解すると、グリシドールという遺伝毒性がある発がん物質が遊離する。欧州では、赤ちゃん用ミルクに使われる精製パーム油で、濃度が約10ppm(ppmは100万分の1)の同エステルが検出された。どれだけのグリシドールが生じるかは不明だが、欧州の食品安全評価機関は仮に100%が遊離する最悪の場合に健康リスクが生じると想定。メーカーにパーム油精製工程の見直しを指示した。
 花王が7月に実施した分析で、エコナから検出された同エステルの濃度は、最高がクッキングオイルの91ppmだった。国内外の食品安全情報に詳しい国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子主任研究官は「欧州の事例よりひとケタ多く、出荷・販売停止は当然の措置」と指摘する。花王はクッキングオイル中の同エステル濃度を3ppm未満に引き下げるなどして、来春にも出荷再開する予定だ。
 ただし、幸いなことに高濃度とはいえ、グリシドールの発がん性の強さはそれほど強くない。実験で50%の動物にがんを起こすと考えられる濃度は、体重1キロ当たりに1日に4.28ミリグラムとされる。これを体重60キロの人に当てはめると、毎日約2キログラム以上のクッキングオイルを摂取することに相当するが、非現実的な摂取量だ。エコナを投与した動物実験でも、発がん性は認められていない。畝山主任研究官は「すでに食べてしまったことが原因でがんになると心配する必要はない」と話している。
[2009年9月18日/電子報道部解説委員・池辺 豊]


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石田ふたみ