『日々の映像』

2009年09月30日(水) 円急伸 国内の職場がさらに減少する

報 道

1、円急伸、一時88円台前半 8カ月ぶり水準、ドルに先安観
               2009年9月29日  日経
2、円高「今の水準なら業績それほど変わらず」 経団連会長
               2009年9月29日  日経
3、円高、戦略転換を迫る 自動車や小売り
                2009年9月29日 日経
4、社説 鳩山政権は市場の懸念に耳を澄ませ(9/29)
                2009年9月29日  日経

 為替のことは難しい。しかし、ハッキリと言えることがある。円高が進めば物価は安くなるが、28日に書いたように、国内の働く場所が減少していくのである。この時代の流れを明確に意識するする必要がある。

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1、円急伸、一時88円台前半 8カ月ぶり水準、ドルに先安観
               2009年9月29日  日経
 外国為替市場で円高・ドル安が加速し、28日早朝に円相場は一時、1ドル=88円台前半まで上昇した。1月下旬以来、約8カ月ぶりの高値。米国の金融緩和が長引くとの見方から、ドルの先安観が強まっている。藤井裕久財務相が円売り介入に否定的な発言をしたことをきっかけに、海外投資家による円買いが勢いを増した。急速な円高の影響を受け28日の東京株式市場で日経平均株価は大幅安となり、一時、約2カ月ぶりに1万円を割った。
 25日(日本時間26日)に閉幕した20カ国・地域(G20)首脳会議(ピッツバーグ・サミット)では、各国が景気刺激策を引き続き実施することで合意。米国の低金利政策が長引くとの見方が改めて確認され、ドルを売る動きが広がった。投資家がドル売りの受け皿に選んだのが円。藤井財務相の発言で「買い進めやすい通貨」との見方が出ているためだ。
 週明け28日の外為市場では早朝からドルの売り注文が相次ぎ、円相場が急伸。海外のヘッジファンドなどの投機マネーがドル売りに動いた。(28日 16:00)

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2、円高「今の水準なら業績それほど変わらず」 経団連会長
                  2009年9月29日  日経
 日本経団連の御手洗冨士夫会長は28日の記者会見で、外国為替市場で円が一時1ドル=88円台前半まで上昇したことについて「80円台というレートが許容できるかどうかは業種による。さらに円高が進めば業績にインパクトがあるだろうが、今はそれほど変わりない」との見方を示した。
 望ましい為替レートの水準については「産業界にとっては安定していることが望ましい」とした。
 円高となった理由に関しては「米国不況長期化の懸念などによるドル安の裏返し」と指摘。「藤井裕久財務相の(円高容認)発言が大きなインパクトになって潮目を変えるとは思っていない」と述べた。
 東京株式市場で日経平均株価が取引時間中に一時1万円割れとなったことについては「(終値は)1万円台を維持しているし、大きな変動があって将来も続くとは思っていない」との考えを示した。〔NQN〕(28日 16:58)

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3、円高、戦略転換を迫る 自動車や小売り
                 2009年9月29日 日経
 為替市場で1ドル=90円を超える円高が進み、企業活動に影響が出てきた。米国など海外を主力市場とする自動車主要7社は、下期だけで為替変動が会社計画比で約1000億円の減益要因になり、生産体制の見直しなど対応策が急務だ。一方でセブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂が円高還元セールを実施するなど、輸入コストが減る内需型企業は新たな拡販策を打てる環境になってきた。
 「(新興国で稼いだ利益が)一瞬にして削られかねない」。日産自動車の幹部は、円高への危機感を隠さない。対ドルで1円の円高は年間110億円の減益要因になる。仮に今後、1ドル=88円台で推移すれば下期だけで400億円近い利益が吹き飛ぶ計算だ。トヨタ自動車やホンダなど主要7社の影響額を単純合計すると1000億円近い減益要因になる。(09:26)

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4、社説 鳩山政権は市場の懸念に耳を澄ませ(9/29)
                  2009年9月29日  日経
 鳩山由紀夫政権の発足以降、円高・株安が進んでいる。日々の相場に一喜一憂すべきではないが、市場の動向を離れた経済政策の運営はあり得ない。鳩山政権の主要閣僚はもっと丁寧に政策を説明し、市場を味方につけるすべを心得てほしい。

 週明け28日の東京市場で円相場が一時、1ドル=88円台と8カ月ぶりの高値をつけ、日経平均株価も1万円割れする場面があった。

 先週末の20カ国・地域(G20)首脳会議が世界経済の不均衡是正をうたったことで、経常赤字国である米国のドルが売られ、その一方で円が買われた。日本は外需に依存する度合いが大きいので、企業の輸出採算悪化を心配して株価が下がった。

 それは確かであるにせよ、無用な波紋を起こす動きがあったのは否めない。藤井裕久財務相が外国為替市場の介入に否定的な発言を繰り返し、市場参加者の間で介入警戒感が薄れた。市場実勢を尊重しようとする姿勢は間違っていないし、外需に頼り過ぎた経済を内需主導に転換しようという方向性も正しいだろう。

 問題はあらかじめ市場に手の内をさらす発言を重ねることにある。

 G20会議でうたわれた不均衡是正の課題は、世界経済のけん引役を米国一国だけに頼れなくなった現実を反映したものだ。ゼーリック世銀総裁でさえ「ドルに代わる複数の選択肢が増えている」と語るなど、通貨としてのドルのあり方も問われている。ドル安が進みやすい地合いで不介入発言を繰り返すことは、猛牛の前で赤い布を振るようなものだ。

 株安に拍車をかけたのは、亀井静香郵政・金融担当相だろう。亀井氏は中小・零細企業の借り入れの返済猶予の立法化に意欲を示すが、元本ばかりでなく金利返済の猶予も盛り込む考えを示した。

 融資の返済が滞れば銀行経営に悪影響を及ぼす。そんな心配から銀行株は急落している。ところが亀井氏は「株が下がるのは銀行経営に問題があるからだ」と述べた。金融の健全性を守るのが仕事である金融相としてはいかにも不適切な発言だ。

 政策の方向を政治が主導するのは当然であるが、経済政策のかじ取りには合理性が求められるのも確かだ。銀行経営者が融資におじけ付くようでは経済に悪影響を及ぼし、借り手企業も苦しくなりはしまいか。日銀出身で金融問題が専門のはずの大塚耕平金融担当副大臣も、亀井氏にきちんと物申してもらいたい。

 市場の懸念に耳を澄まし、市場の力を生かすようにした方が、政策運営として得策ではないだろうか。


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石田ふたみ