『日々の映像』

2009年05月12日(火) 完全水際対策に限界があるのだ



1、水際対策に限界 新型インフル国内感染4人目 『潜伏期間の患者難題』                        2009年5月11日東京新聞
2、社説1 国内の二次感染に備え冷静な対応を(5/10)
                       2009年5月10日 日経
3、新型インフル、コスタリカでも感染者の死亡確認
                     2009年5月11日  日経
4、新型インフル、米の感染者数2500人超 
                     2009/05/11 11:15 日経 
5、「よくわかる新型インフル」正しい知識で新事態に備え  
                      2009年5月10日 読売新聞

 10日の米の感染者1639人であったが、11日11時時点では2500人の感染と
なっている。感染防止対策に限界があるのだ。時期は分からないが、日本も
米国と同じ状態になるだろう。このように悲観的な見方をする根拠は以下の通りである。

 成田空港検疫所の職員は「潜伏期間の患者が一番の難題」と指摘する。ウイルスの潜伏期間は10日ほどといわれている。水際対策を立てても潜伏期間中の人は把握できないのだ。一番厄介」なことは、発症の約1日前から感染力があるという。発症者を見つけて検査する今の方法では、完全に食い止めることはできないのだ。

 水際で少しでも見つけ、感染の広がりを遅らせる作業をしているのである。時間を稼ぐ間に、ウイルスの特徴を解明できるかもしれないし、病院への患者報道の通り検疫官は「発症した感染者を見つけて国内感染を抑え、予防や治療方法を確立するまでの時間を稼ぐ。それが役割と思っている」と本音を漏らしている。

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1、水際対策に限界 新型インフル国内感染4人目 『潜伏期間の患者難題』        2009年5月11日東京新聞

 成田空港にカナダから帰国し、国内四人目の新型インフルエンザ感染が十日に確認された男子高校生(16)は、三人目の感染者と同じく機内検疫では異常が分からなかった。潜伏期間の患者が検疫をすり抜ける可能性は当初から指摘され、水際対策の限界が浮き彫りになっている。
 厚生労働省などによると、男子生徒は機内検疫では異常がなかったものの、同行の生徒ら三人に感染の疑いがあったため、八日夜に停留措置になった。
 三人の感染が確認された九日、七人が体調不良を訴えて救急車で県内の三病院に搬送され、四十二人はホテルでの“隔離”状態が続いている。
 三人の感染者のうち一人は、機内検疫を終えて航空機を降りた後、国内線に乗り継ぐ前に感染の疑いが判明。厚労省の担当者は「たまたま同行者に感染の疑いが出たから分かった」と認めている。
 四人目の男子生徒も感染疑いの患者と無関係だったら、足止めされることなく入国していたとみられる。
 成田空港検疫所の職員は「潜伏期間の患者が一番の難題」と指摘。ある検疫官は「発症した感染者を見つけて国内感染を抑え、予防や治療方法を確立するまでの時間を稼ぐ。それが役割と思っている」と本音を漏らす。
 大量の応援要員で大型連休の帰国ラッシュをしのいだ検疫所だが、職員は「連休後も便数自体は変わらない」と疲れ切った表情。
 新型感染は三十の国と地域で確認され、増え続けている。世界保健機関(WHO)が警戒水準(フェーズ)を最高の「6」に引き上げる可能性もあるが、「休み返上で人をやりくりしている。機内検疫の対象便を増やすのは無理だ」との“悲鳴”も聞かれた。 (宮本隆康)
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2、社説1 国内の二次感染に備え冷静な対応を(5/10)
                  2009年5月10日  日経
 米国やメキシコ、欧州などで新型インフルエンザの感染が広がっているなかで、日本国内でも初めて感染者が確認された。だが、新型といっても海外での状況をみる限り、症状は季節性インフルエンザと大差はない。早めに処置すれば治るとされ、極端にうろたえる必要はない。

 世界保健機関(WHO)は警戒水準を先月27日にフェーズ4、同29日にフェーズ5へと相次いで引き上げた。この間に新型インフルエンザのもたらす症状や治療法もある程度わかってきた。

 今回、日本で感染が確認された高校生らの座席周辺にいた人の中にそのまま自宅に帰ったとみられる人がいる。この人たちを含め、乗り合わせた人は潜伏期間とされる10日ほどの間は普段以上に健康管理に注意を払ってもらいたい。できるだけ外出を控え、体調に気になることがあったらすぐに厚生労働省の電話相談窓口などに連絡をしてほしい。

 今回の感染確認がどう波及していくかは予断を許さない。今後、国内で感染がある程度の広がりを示すのは避けられないかもしれない。

 すでに世界各地にウイルスが拡散し、水際の検疫で押しとどめ続けるには限界があるからだ。

 肝心なことは、感染が広がる速さを今の日本の医療態勢で対処できる程度に抑えられるかどうかだ。水際対策はまさにそれが目的だ。

 季節性インフルエンザでも毎年国内で人口の約1割が感染し、1万人以上が亡くなる年もある。新型インフルエンザの病原性がこれと大差ないとしても、多数の感染者を出してしまえば重症者も出かねない。

 感染が急に広がって医療機関がパンクするなどの社会的混乱は避けたい。感染者を早めに把握し、二次感染を防ぐ地域的な封じ込めがこれから大事になってくる。

 政府は新型インフルエンザ対策本部(本部長・麻生太郎首相)の幹事会を開き、水際対策の徹底や国内での二次感染を想定した準備を進めることを申し合わせた。

 これまでのところ情報は早めに開示され、対策は適切にみえるが、気になる点もある。

 一部の病院で発熱を訴える人が診察を断られる事態が起きた。これは発熱外来の機能など大切な情報が医療提供者の間に正確に浸透していないことを意味してはいないか。

 無関心も困るが、過剰な恐怖感も禁物だ。行政や医療関係者が緊張感を持ちながらも、的確な情報を共有して動いてこそ、国民に冷静な対応を求めることができる。
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3、新型インフル、コスタリカでも感染者の死亡確認
                     2009年5月11日  日経
 【ワシントン=弟子丸幸子】米西部のワシントン州政府は9日、先週死亡した同州在住の男性を新型インフルエンザによる死者と認定したと発表した。米国での死者は3人目。米国で死亡したのは30代で心臓に疾患のあった男性だった。コスタリカでも政府が感染者の男性の死亡を確認。死亡者が確認された国は米、メキシコ、カナダ、コスタリカの4カ国に増えた。AP通信社などによれば死者数は計53人となった。(01:32)
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4、新型インフル、米の感染者数2500人超 
                2009/05/11 11:15 日経 
 【ワシントン=弟子丸幸子】米疾病対策センター(CDC)は10日、豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザの米国での感染者数が2532人に達したと発表した。死者数は3人。全50州のうち43州と首都ワシントンの特別区で患者が出ており、ほぼ全米に感染が拡大してきた。
 前日との比較では278人の増加だった。1日あたり500人以上、増えてきた過去数日と比較すると増加ペースは落ちているが、10日の発表は週末の検査結果の集計だったことが理由とみられる。CDCは今後さらに感染者が広がると予測、警戒を強めている

5、「よくわかる新型インフル」正しい知識で新事態に備え  
  2009年5月10日 読売新聞

 著書に「新型インフルエンザ 世界がふるえる日」(岩波新書)がある長崎大熱帯医学研究所の山本太郎教授(国際保健学)=写真=に話を聞いた。
     ◇
 国内の空港で新型インフルエンザの感染者が確認された状態は、国の行動計画上、実質的な「国内発生早期」ともいえる。だが、国内で感染したものではないとして、1段階低い現状の「海外発生期」にとどめた国の判断は理解できる。
 行動計画は、強毒性の鳥インフルエンザを想定したもので、様々な行動制限が含まれる。しかし新型は弱毒性とされ、国は行動制限に伴う社会経済への影響の大きさに配慮したとみられる。仮に強毒性であれば「国内発生早期」で対応したのではないか。
 水際対策は今後も続けるべきだ。発症の約1日前から感染力があり、発症者を見つけて検査する今の方法では、完全に食い止めることはできない。しかし、水際で少しでも見つけ、感染の広がりを遅らせることが大切だ。時間を稼ぐ間に、ウイルスの特徴を解明できるかもしれないし、病院への患者集中や欠勤者続出による極端な社会機能の低下を防ぐこともできる。
 また、航空機の同乗者の追跡調査が行われているが、毒性からみれば、同乗者全員の厳重な隔離は必要ない。同乗者は、しばらく外出を控え、体調が変化すればすぐ関係機関に連絡してほしい。今のところ、国内で深刻な事態になる可能性は低い。感染が広がる前に正しい知識を深め、次なる事態に備えることが大切だ。
(2009年5月10日 読売新聞)






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森光子さん:国民栄誉賞受賞へ 17人目 
 河村建夫官房長官は11日の記者会見で、女優の森光子さん(89)に国民栄誉賞を授与すると発表した。今月下旬に正式決定する。森さんは9日、主演する舞台「放浪記」(菊田一夫作、三木のり平潤色・演出、北村文典演出)で、上演回数2000回を達成した。
 授与理由について河村長官は「2000回の大変な金字塔を立て、他人ではまねができない大事業、前人未到の業績だ。麻生太郎首相も国民栄誉賞に十分値すると判断した」と述べた。
 森さんは14歳でデビュー。初演の1961年以来演じ続ける「放浪記」の林芙美子役は、単独主演回数としては国内最高。公演回数は千秋楽の29日で2017回に達する。
 1977年8月に創設された同賞は「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった人」が対象で、森さんは17人目。麻生政権では作曲家の故・遠藤実さんに続き2人目となる。【坂口裕彦】


森光子さん、「放浪記」上演2000回 89歳の誕生日に
                       2009年5月9日 日経
 女優の森光子さんが9日、東京の帝国劇場で舞台「放浪記」の上演2000回を達成した。代役を立てない単独主演としては前人未到の記録。「この舞台と巡り合えて、本当に幸せです」と喜びをかみしめていた。
 この日は森さんの89歳の誕生日。悲願の記録達成のため、毎日欠かさない屈伸運動のヒンズースクワットを150回から200回に増やし、体を鍛えてきた。観劇した中村勘三郎さんを「2年前に共演したときよりも元気だ」と驚かせた。
 「放浪記」は、極貧生活から流行作家になった林芙美子の自伝的小説を下敷きに、菊田一夫が劇化、初演は1961年。休憩を挟み4時間近い舞台で、芙美子役の森さんはほぼ出ずっぱり。この年齢で肉体を酷使する演技を日々こなすのは、世界でもあまり例がない。(09日 20:14)
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森光子「放浪記」初演は61年10月
 ◆森光子(もり・みつこ)本名・村上美津。1920年(大9)5月9日、京都市生まれ。尋常小6年時に伯父の嵐寛寿郎の芸能プロに属し、娘役や歌手として活動。戦後は大阪で喜劇女優となるが、58年に劇作家菊田一夫に誘われ上京、芸術座「花のれん」に出演。59年に演出家の岡本愛彦氏と結婚するが後に離婚。ライフワークの舞台「放浪記」は61年10月20日が初日で「1人の女優による同一舞台」として最長記録を更新中。舞台では芦屋雁之助とコンビを組んだ「おもろい女」に出演。ドラマでは70年にスタートした「時間ですよ」シリーズなどに主演した。74年から14年間、ワイドショー「3時のあなた」の司会も務めた。98年文化功労者。05年文化勲章。
 [2009年5月9日21時12分
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石田ふたみ