『日々の映像』

2009年04月06日(月) 北朝鮮:ミサイル発射で何の益がある

1、「軌道上に衛星なし」北朝鮮打ち上げは失敗と米軍司令部
                    4月5日20時32分 読売新聞
2、「極めて遺憾、厳重に抗議」 官房長官、飛翔体発射で会見
                       2009年4月5日  日経
3、韓国大統領府「挑発に毅然と対応」 飛翔体発射で
                      2009年4月5日  日経
4、ミサイル発射でも6者協議再開目指すと、北朝鮮政策の米特別代表
 2009年4月5日 CNN
5、着実に進化している北朝鮮のミサイル技術
2009.4.5 22:46 産経新聞
1998年にテポドン1号が発射され時は、青森に主張中であった。このときは確か青森県の上空を飛行し、飛翔距離は1600キロであった。今回は約2倍の3000キロと飛翔距離を延ばしていた計算になる。北朝鮮にとって、このミサイル発射がプラスになるのあろうか。費用は300億円であるという。
この300億円が北朝鮮に通って如何に負担が重いかを「北朝鮮・韓国・(日本)のデータ」から一部を引用したい。
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Apricot/9959/data.html

国内総生産(GDP)1999年の比較
日本  513兆円
韓国   40兆6700億円 (4067億ドル×100)
北朝鮮  1兆5800億円 (158億ドル×100)韓国銀行の推定

 上記の通り北朝鮮のGDPは日本の3%なのである。北朝鮮から見れば日本のGDPは北朝鮮の324倍も大きいのである。この国が300億円もかかるミサイルを発射することは、日本で言えば
  300億円×324倍=9兆7000億円のミサイルを発射するようなものである。

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1、「軌道上に衛星なし」北朝鮮打ち上げは失敗と米軍司令部
                    4月5日20時32分 読売新聞

 【ワシントン=小川聡】米コロラド州の北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と米北方軍司令部は5日朝、声明を発表し、「北朝鮮が日本海と日本の上空を越えるテポドン2ミサイルを発射した」としたうえで「軌道に入った物体はない」と指摘、北朝鮮が主張する「人工衛星打ち上げ」に失敗したとの認識を示した。
 声明は「ミサイルの1段目は日本海に落ちた。残りの数段は搭載物とともに一緒に太平洋に落ちた」としている。「残りの数段」とした複数形の表現は、ミサイルが3段式だったとの分析とみられる。また、「この宇宙への運搬手段は、北米やハワイへの脅威ではなく、対応措置はとらなかった」とした。
(200)
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2、「極めて遺憾、厳重に抗議」 官房長官、飛翔体発射で会見
                       2009年4月5日  日経
 河村建夫官房長官は5日の緊急記者会見で、北朝鮮が「人工衛星」搭載を主張する長距離弾道ミサイルとみられる飛翔(ひしょう)体を発射したことについて「国連安全保障理事会の決議1695号と1718号に違反する。発射を強行したことは極めて遺憾で、厳重に抗議する」と述べた。政府は安保理非常任理事国として緊急会合の開催を要請し、新たな決議の採択をめざす方針だ。
 北朝鮮がミサイルを連射した2006年7月の国連安全保障理事会による決議1695号と、核実験を強行した同年10月の1718号は北朝鮮に「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の停止」を明記している。 (12:27)
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3、韓国大統領府「挑発に毅然と対応」 飛翔体発射で
                      2009年4月5日  日経
 【ソウル=尾島島雄】韓国の青瓦台(大統領府)の李東官(イ・ドングァン)報道官は5日、北朝鮮の飛翔(ひしょう)体について、午前11時30分15秒に発射したことを確認したと発表した。報道官は記者会見で「挑発に断固、毅然(きぜん)として対応する。同時に、開かれた姿勢で忍耐心と一貫性を持って北朝鮮の変化を待つ」と強調した。(12:41)

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4、ミサイル発射でも6者協議再開目指すと、北朝鮮政策の米特別代表
  2009年4月5日 CNN
(CNN) オバマ米政権の北朝鮮政策担当であるボズワース特別代表は3日、ワシントンで記者会見し、北朝鮮が人工衛星と主張する長距離弾頭ミサイルの発射実験の中止を促しながらも、例え打ち上げられたとしても北朝鮮核をめぐる6者協議の再開は必要との考えを示した。
発射が強行された場合、国連安保理で適切な対策を講じることは必要としながらも、「情勢が落ち着けば、6者協議の速やかな再開を目指す」と強調。安保理で制裁決議などが実現した場合、北朝鮮が6者協議崩壊を警告していることについては、「北朝鮮が事態をエスカレートさせるとは予想しないが、確かでもない」と述べた。
ミサイル発射については、人工衛星であろうと、ミサイルであろうと、米国の判断では違いはないと強調。「挑発的な行為であることは確かだ」とし、発射の中止を要求した。

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5、着実に進化している北朝鮮のミサイル技術
2009.4.5 22:46 産経新聞
 北朝鮮によるテポドン2号改良型とみられる長距離弾道ミサイルの発射は、その技術レベルの着実な進歩を裏付けた。北朝鮮は今後、発射データを分析し、実戦配備に向け「切り離し技術」などに関し改良を重ねていくものとみられる。一方で、北朝鮮が示した技術力は、既に日本をほぼ射程内に収め実戦配備されているミサイルに、核弾頭が搭載される近未来を予感させた。
 日米両国の各種レーダー網や衛星情報を付き合わせたうえでの解析には一定の時間がかかるため、現時点で実験が成功したか否かは断定できない。ただ、1段目が秋田県西方280キロの日本海に落下したとの暫定情報は注目に値する。この海域は北朝鮮が事前通告した危険区域内に含まれる。しかも、日本列島通過までの「7分」という飛翔(ひしよう)時間も、弾道ミサイルとしての速度が正常に保たれた証左と見てよいだろう。1段目の発射・切り離しが「成功」したとすれば、その意味は大きい。弾道ミサイルの開発では重力に逆らい上昇する1段目には巨大な推力が必要で、最も重要な開発部分とされるからだ。2006年のテポドン2号発射の際は、1段目に新型ブースターを使用したが燃焼は42秒で終了、2段目も分離できなかった。1段目の燃焼時間は「3分以上」という技術理論から見ても、今回の1段目は十分な燃焼時間を経たものとみられる。
2段目が切り離されたか否かは確認されていないが、少なくとも日本列島の東2100キロまでは「2段目以上」のミサイルの全部か一部が飛翔し続けたとのレーダー情報がある。これも通告された危険区域の50キロ手前。長距離弾道ミサイルにとり「50キロ」は誤差の範囲に過ぎないうえ、さらに飛翔を続けたとの観測もある。北朝鮮が通告した危険地域から逆算すると、1段目は北朝鮮から650キロ、2段目は3600キロを落下地点として想定されていた。1998年にテポドン1号が日本列島を越えて三陸沖に着弾した際の飛翔距離は1600キロであったから、2倍前後に飛翔距離を延ばしていた計算になる。
 「3段目以上」の有無やその航跡については不明だ。ただ、仮に「3段目以上」が存在した場合、2段目とともに固体燃料であった可能性がある。一定レベルの燃焼が確認されれば、北朝鮮は軍事的有効手段を得る。液体燃料は注入に時間がかかり、偵察衛星に発射の兆候を察知されるが、固体燃料は地下サイロや移動式トレーラーからいきなり発射できるからだ。
今回の目標射程は7〜8000キロでハワイ周辺に到達する計画であったと推定される。テポドン2号改良型の“進化”は米本土はともかく、アラスカやハワイが標的となったことを意味する。かつてはパキスタンやリビアから、現在でもイランから技術供与され、データを交換している成果でもある。そう考えれば、日本を狙い200〜320基も実戦配備されている準中距離弾道ミサイル・ノドン(射程1300キロ)に搭載できるほど小型(400〜500キログラム)の核爆弾を開発したという見方が一挙に現実味を帯びてくる。北朝鮮は40〜45キログラムのプラトニウムを保有、5〜6個の核兵器を製造したともいわれる。
 北朝鮮が今回の「成果」を追い風に、瀬戸際外交を続けることは間違いない。


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石田ふたみ