『日々の映像』

2009年02月24日(火) 食品小売業の廃棄食糧は58万トン(販売量の22%を捨てている)

報 道
1、セブンイレブンに公取委調査 値引き不当制限の疑い
                     2009年2月22日  日経
2、セブン−イレブン:値引き制限 コンビニ商法に逆風 加盟店の負担重く                        毎日新聞 2009年2月21日
3、社説 セブンイレブン 「もったいない」も考えて
                     2009年2月22日 新潟日報 


 日本の消費文化には異常な面が多くある。その多くは食品小売業が引き起こしている。報道4のとおり、農林水産省が公表した「食品ロス」の調査によると、06年度の食品関連事業者からの廃棄量は94トンなのだ。このうち、食品小売業で58万トンが捨てられている。この58万トンとは実に小売店などで販売される全体の22%に当たるという凄まじさなのだ。

 58万トンを捨てる主力はコンビニである。その食品を捨てる代表選手がセブンイレブンなのである。夕方に売れ残った生鮮品や総菜を値引きするスーパーが多いなか、セブンイレブンを含む大半のコンビニが原則的に値引き処分をしていない。「定価販売」を守ることで厚い粗利益を確保するという事業モデルなのだ。ただし、賞味期限の越えた食品は廃棄処分するのである。

 セブン―イレブン・ジャパンがフランチャイズチェーン(FC)加盟店に対し消費期限の近づいた弁当などを値引き販売しないよう不当制限をした疑いがあるとして、公正取引委員会の立ち入り検査を受けている。公正取引委員会の判断がどうなるかは分からないが、売れ残り食品を廃棄することは、社会の支持を受けられないだろう。消費期限ぎりぎりの商品を50%引きに販売して廃棄する食品はゼロに近づくと思う。

 セブン―イレブン・ジャパンのビジネスモデルは、大不況の社会環境では通用しないと思う。セブン―イレブン・ジャパンの理念が正しいと思うのであれば、廃棄する食品の数量と金額を公表すべきだ。廃棄する数量と金額分を消費者に負担させているという視点が欠落している。

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1、セブンイレブンに公取委調査 値引き不当制限の疑い
                         2009年2月22日  日経
 セブン―イレブン・ジャパンがフランチャイズチェーン(FC)加盟店に対し消費期限の近づいた弁当などを値引き販売しないよう不当制限した疑いがあるとして、公正取引委員会が同社を立ち入り検査した。処分が出るかどうかは未定だが、販売不振の一部加盟店で値下げで売り切る動きが出てくる可能性がある。
 夕方に売れ残った生鮮品や総菜を値引きするスーパーと違い、セブンイレブンを含む大半のコンビニが原則、値引き処分をしていない。24時間営業の便利さを強みに「定価販売」を守ることで厚い粗利益を確保し、本部と加盟店が分け合う独特の事業モデルだ。(07:00)

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セブン−イレブン:値引き制限調査 コンビニ商法に逆風 加盟店の負担重く                       毎日新聞 2009年2月21日
 ◇商品廃棄損失、加盟店の負担重く
 コンビニ最大手セブン−イレブン・ジャパンが、公正取引委員会の調査を受けている加盟店の値引き販売制限は、「業界では半ば慣行化している」と指摘されている。値引き販売をいったん容認すれば、値下げ競争などに発展し、好業績を続ける各社の収益に打撃となりかねないためだ。ただ、値引き販売をできずに商品を廃棄した場合の損失は加盟店の重荷となっており、各社は今後、廃棄損失の負担問題などで新たな対応を迫られそうだ。【小倉祥徳、望月麻紀】
 今回問題となったのは、賞味・消費期限切れで売れ残る可能性のある弁当やサンドイッチなどの販売方法。売れ残った場合、原価分の損失は加盟店が負担する仕組みになっており、加盟店側は損失を少なくするため値引きしてでも売りたいのが本音だ。コンビニの既存店ベースの売り上げは07年まで8年連続で前年割れし、廃棄損失に対する加盟店の負担感は年々増していた。
 20日会見したセブンの顧問弁護士は「消費者は価格ではなく、新鮮な商品の提供をコンビニに求めている」と強調。値引き合戦になれば本部だけでなく加盟店の収益も圧迫し、「コンビニのビジネスモデルが崩壊する」(国内証券アナリスト)との指摘もあり、各社が値下げ販売するのはバレンタイン商戦で売れ残ったチョコレートなど一部商品にとどまっているのが実態だ。
 コンビニ業界では、たばこ自販機用成人識別カード「タスポ」を持たない喫煙者がたばこを買うため来店する「タスポ効果」で販売好調が続くが、効果は一時的との見方も根強い。深刻な景気後退で消費不振が日用品にも及ぶ中、コンビニ本部と加盟店の双方が経営を安定化させる手だてが求められている。
 小売業界に詳しい清水倫典・キャピタル・パートナーズ証券調査部長は「本部が廃棄に伴う損失の一部を負担するのも手法の一つ」と指摘する。売れ残り食品の廃棄は環境面からの批判も多いだけに、廃棄そのものを少なくするための対応策も求められそうだ。
【関連記事】

毎日新聞 2009年2月21日 東京朝刊

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3、社説 セブンイレブン 「もったいない」も考えて
                     2009年2月22日  新潟日報
 コンビニエンスストア最大手セブン−イレブン・ジャパンに独禁法違反の疑いがあるとして公正取引委員会が調査を進めている。
 フランチャイズの加盟店が、消費期限の迫った弁当などを値引き販売していたことに対し、フランチャイズ本部が「優越的地位」を利用してやめさせようとしたという。公取委が二〇〇二年に例示した本部と加盟店間の指針に抵触する。
 フランチャイズは加盟店に特定の商号での営業権を認める一方、加盟店がその使用料などを支払う仕組みだ。
 だが加盟店は独立した事業者であり、値引きについて本部がとやかく言う筋合いのものでは本来ない。
 スーパーなどでは、売れ残りそうな食品の割引は当たり前のように行われている。売れ残りを少なくして売り上げをできるだけ増やすためだ。
 フランチャイズ加盟店の気持ちも同じだろう。廃棄しても商品の原価は支払わねばならない。捨てるくらいなら、安く消費者に買ってもらった方がいいに決まっている。
 それなのに値引き販売をした加盟店には「契約違反」までちらつかせ、定価販売を守らせようとしていた。
 そんな加盟店からの相談を受け、公取委は昨年秋からセブン−イレブン本部などから、事情を聴いていたという。本部側は公取委の調査に全面的に協力するとしている。
 問題は、なぜ加盟店を押さえつけるようにしてまで値引きを防ぐかだ。スーパーのように割引する時間帯に客が訪れるようになると、定価で買う客が少なくなる可能性がある。
 コンビニは近い所に多くの店が立地する。その利便性が値下げ競争を加速させかねない。値引きしない商品の売れ残る量が増え、その結果として全体の収益をも圧迫する。そんな理由から、他のコンビニでも値引きを実質的に禁じているとみられている。
 消費者が安い品物を求めるのは当然で、不況下にあってはなおさら値下げは大歓迎だろう。公取委の調査を機に、コンビニ業界は消費者本位の経営について知恵を絞ってほしい。
 捨てられる食材が多いことにも目を向けていきたい。農林水産省が昨年八月に公表した「食品ロス」の調査によると、〇六年度の食品関連事業者からの廃棄量は九十四万トンだ。
 このうち、食品小売業では五十八万トンが捨てられている。小売店などで販売される全体の22%に上る。実に四分の一近くが廃棄されている現状を私たちも考える必要がある。
 食べ物を大切にする。この当たり前のことがなおざりにされていないか。コンビニ経営の在り方だけで、今回の問題を片付けてはならない。

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石田ふたみ