2009年02月15日(日) |
小泉発言 もはや政権末期の症状だ |
報道 1、社説:小泉発言―あきれる自民の右往左往 2009年2月14日 朝日 2、社説:小泉発言 もはや政権末期の症状だ 2009年2月14日 毎日 3、社説1 首相の政権基盤を痛撃した小泉発言 2009年2月14日 日経
大失業時代を迎えようとしている時に、郵政民営化の賛成・反対でうつつを抜かしている場合ではない。最近の首相の発言でため息が出るのは私だけではないだろう。ここでは毎日新聞の社説の一部を引用するに留めたい。
「小泉純一郎元首相が郵政民営化に関する麻生太郎首相の発言を公然と批判し、2兆円に上る定額給付金の財源を確保する08年度第2次補正予算関連法案の再可決にも異議を唱えた。「麻生首相では次期衆院選は戦えない」と言っているのに等しい発言で、今後、同調者が増える可能性がある。麻生政権はいよいよ末期症状を呈し始めたといえるだろう。小泉氏が麻生首相の発言を「怒るというよりも笑っちゃう」などとあからさまに批判したのは、麻生首相をはじめとする最近の郵政民営化見直しの動きに、小泉政治を真っ向から否定するものと映ったからだと思われる。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1、社説:小泉発言―あきれる自民の右往左往 2009年2月14日 朝日 「怒るというよりね、笑っちゃうくらい、ただただあきれている」。このところ表舞台から姿を消していた小泉元首相が、せきを切ったように麻生首相への激しい批判をぶつけた。 小泉氏がやり玉にあげたのはまず、郵政民営化をめぐる首相の一連の発言である。反対だったと言ったかと思えば、賛成したと言い、分社化の見直しに触れた直後に、見直しの中身を言う立場にないと退き……。 この発言にあきれているのは小泉氏だけではない。4年前の郵政総選挙で得た議席があるからこそ、衆院の再議決で野党をかろうじて抑え込んでいるのに、そのおおもとの大義を首相自らがぐらつかせるとは。国民もそこに厳しい目を向けていることは14%にまで落ち込んだ内閣支持率で明らかだ。 小泉氏は衆院再議決にも疑問を投げかけた。「定額給付金は(衆院の)3分の2を使ってでも成立させねばならない法案だとは思わない」 野党優位の参院は近く、定額給付金を含む第2次補正予算の関連法案を否決する。政府与党は衆院での再議決で成立させる構えだが、党内にいぜん大きな影響力のある小泉氏が再議決に背を向けるとすれば、動揺は必至だ。 小泉氏は「政治に一番大切なのは信頼感だ。首相の発言を信じられなければ選挙は戦えない」とも述べた。倒閣宣言ともとられかねない言葉だ。 自民党内は大揺れだ。首相はきのう「私に対しての叱咤(しった)激励だと感じました」と述べたが、この4カ月余の麻生政権の迷走に不満を募らせていた議員の間には、閉塞(へいそく)感を打ち破ってくれたという安堵(あんど)の空気も広がっている。 深刻化する不況、下落し続ける内閣支持率。麻生首相のままではとても総選挙は戦えないという思いは強まるのに、「反麻生」の旗はだれもあげようとしない。そんな焦りの中に、小泉氏が絶妙の一石を投げ込んだ形だ。 だが、そもそも麻生氏を重用し、首相の座をうかがえるところまで押し上げたのは小泉元首相その人である。定額給付金に疑問があるならもっと早く声をあげるべきではなかったか。 今回の小泉発言で、結果として自民党に国民の耳目が集まったのは間違いない。得意の短い発言で流れをつくる「小泉劇場」の再現を狙っているとすれば、それは引退を表明した元首相がやるべきことではあるまい。 いや、小泉氏が本気で首相に政策転換を促すというのなら、定額給付金をめぐる衆院再議決では言葉通り「反対」の行動をとるべきだ。 情けないのは、麻生政権に批判や不満があるのに、正面から主張しようとしない自民党の議員たちだ。福田前首相にも、自ら公約した道路特定財源の一般財源化が骨抜きになったことを、どう思っているのか聞いてみたい。
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2、社説:小泉発言 もはや政権末期の症状だ 2009年2月14日 毎日 小泉純一郎元首相が郵政民営化に関する麻生太郎首相の発言を公然と批判し、2兆円に上る定額給付金の財源を確保する08年度第2次補正予算関連法案の再可決にも異議を唱えた。「麻生首相では次期衆院選は戦えない」と言っているのに等しい発言で、今後、同調者が増える可能性がある。麻生政権はいよいよ末期症状を呈し始めたといえるだろう。 小泉氏が麻生首相の発言を「怒るというよりも笑っちゃう」などとあからさまに批判したのは、麻生首相をはじめとする最近の郵政民営化見直しの動きが、小泉政治を真っ向から否定するものと映ったからだと思われる。 今期で引退を表明している元首相の発言が、これまでの政権批判の中で最も大きな衝撃として報じられていること自体が今の自民党の活力のなさや実力者不在を物語る事態だ。それでも小泉氏の批判には一定の説得力があると受け止められているのはなぜか。 「私は民営化に賛成ではなかった」に始まる首相の発言があまりにお粗末であり、自民党議員のみならず、国民の多くも「この経済危機の中、麻生首相で大丈夫か」と大きな不安を感じているからだろう。 小泉発言のもう一つの大きなポイントは補正予算関連法案が参院で否決された後の衆院での再可決に強い疑問を呈したことだ。 小泉発言の場となった12日の会合には18人が出席。衆院本会議で与党から何人が造反するかは速断できないが、再可決できず、目玉政策の定額給付金が実現不能となれば、たちまち麻生政権は窮地に陥る。今回の会合での発言で自民党内の倒閣運動は初めて具体的に顕在化したとも言える。首相の苦しさはここにある。 首相はどうするのか。 再三指摘している通り、衆院の3分の2を占める今の与党勢力は、郵政民営化を争点にした05年の衆院選で得たものであり、民営化を根本から見直し、自らの政策を遂行したいと思うなら、衆院解散で信を問い直すのが筋だ。 だが、麻生首相自らの言動が批判を招き、支持率は上向く気配がない。このため、解散は、ただひたすら先送りされる状況になっている。一方、自民党内では仮に補正予算関連法案を成立させても、今後、総裁選を前倒しし、衆院選前に首相を交代させようとの動きが強まるだろう。 国民が一番迷惑なのは、こうした党内抗争だけが、ぐずぐずと続くことだ。政治空白とは、まさにそれを指すのだ。 経済状況が日に日に深刻になる中、国民の信任を得た首相にしか思い切った経済政策は断行できない。首相が交代するにせよ、しないにせよ、当面必要な経済対策を実行したうえで、早期に衆院解散・総選挙を行うことだ。改めてそれを指摘しておく。 【関連記事】 小泉発言:自民執行部が造反封じに躍起 小泉発言:麻生首相「叱咤激励だ」 小泉氏発言:政権への影響回避を 自民、沈静化に躍起 小泉氏発言:自民に広がる動揺 倒閣運動への波及懸念 小泉元首相:厳しく政権批判 郵政見直し「あきれた」 毎日新聞 2009年2月14日 0時22分
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3、社説1 首相の政権基盤を痛撃した小泉発言(2/14) 2009年2月14日 日経 小泉純一郎元首相の発言が、低支持率にあえぐ麻生太郎首相の政権基盤を痛撃した。
小泉氏は12日、郵政民営化に関する首相の一連の発言を「怒るというより笑っちゃうくらい、ただただあきれている」と厳しく批判したうえで「首相の発言に信頼がなければ選挙を戦えない」と強調した。
参院で審議中の定額給付金の関連法案についても「3分の2を使ってでも(衆院再可決で)成立させなければならない法案だとは思わない」と述べ、衆院の再可決で造反する可能性を示唆した。首相経験者が現職の首相をこれほど非難するのは、極めて異例のことである。
首相は当初、国会答弁で小泉内閣の総務相当時には郵政民営化には賛成ではなかったと述べたが、批判を受けて「民営化した方がいいと最終的には思った」などと答弁を修正した。郵政民営化の根幹の4分社化の見直しにも言及し、民営化推進派議員の強い反発を招いた。
小泉氏はこれまで沈黙を守ってきたが、自らの最大の実績である郵政民営化を巡って迷走する首相に、堪忍袋の緒を切らした格好だ。
首相の責任は重い。4分社化に疑問を示す一方で「内容についてこうしろああしろという立場にない」と語るなど、あいまいな点も多い。信念なき軽率な発言が、自民党内の混乱に拍車をかけている。
2005年の衆院選では、郵政民営化を訴えた小泉自民党が大勝した。公明党と合わせ衆院で3分の2を超える議席が麻生政権を支えている。一連の首相発言は、05年の郵政選挙の結果の正統性を疑わせることにもなりかねない。
私たちは09年度予算案と関連法案を早期に成立させたうえで、衆院を解散するよう求めてきた。郵政民営化の見直しに踏み込むなら、なおさら民意を問う覚悟が要る。
衆院選の環境を整えるには、まず今年度第2次補正予算の財源の裏づけとなる関連法案を早く成立させる必要がある。自民党から16人が反対に回れば、再可決はできない。小泉発言をきっかけに、自民党内で定額給付金への慎重論が再燃する可能性が出てきた。定額給付金にかかわる部分は撤回して、関連法案成立を目指す柔軟姿勢があってもいい。
今年の秋までに必ず衆院選があるという状況で、来年度予算と関連法案成立後の衆院解散のタイミングを逃せば、自民党内で「麻生おろし」の動きが一気に強まる公算が大きい。解散か総辞職か。麻生政権は重大な岐路に差しかかりつつある。
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