『日々の映像』

2008年11月05日(水)  オバマ氏当選、アフリカ系大統領誕生へ

             ――― 米国の記念すべき日 ―――
資料
1、オバマ氏当選、米史上初のアフリカ系大統領誕生へ      朝日
2、オバマ氏勝利、金融危機克服へ希望託す           日経
3、<米大統領選>オバマ氏が当選 史上初の黒人        毎日
4、米大統領にオバマ氏、黒人で初…民主8年ぶりに政権奪回   読売
5、【米大統領選】高い信頼度 金融危機が決定打         産経
6、オバマ候補が勝利、米連邦議会選挙も民主党圧勝     ロイター
7、次期米政権、深刻な経済問題に取り組むことに      世界日報

 これから一週間オバマ大統領に関する報道が山のようにあるだろう。今日は各紙の1面トップの記事を引用した。4年前までは無名の新人政治家が、アメリカの大統領になる・・。この国の民主主義は学ぶべき点が多いと思う。
                    
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1、オバマ氏当選、米史上初のアフリカ系大統領誕生へ
                      2008年11月5日14時19分  朝日
 【ワシントン=小村田義之】08年米大統領選は4日、全米各州で投票、即日開票され、米国の「変化」を掲げた民主党のバラク・オバマ上院議員(47)が、共和党政権の「継続」を図ったジョン・マケイン上院議員(72)を破り、当選を決めた。米史上初のアフリカ系(黒人)の大統領が誕生する。副大統領には、民主党のジョセフ・バイデン上院議員(65)が就く。
 オバマ氏は4日深夜、地元シカゴで10万人近くの観衆を前に勝利演説し、「米国民は今夜、我々は一つの合衆国なのだというメッセージを世界に発した。変化が米国に訪れた。この勝利はあなた方のものだ」と宣言した。
 マケイン氏はオバマ氏に電話し、敗北を認めた。その後、地元アリゾナ州フェニックスで支持者を前に敗北宣言し、「これは歴史的な選挙だ。オバマ氏は偉業を達成した。私は彼が国を率いるのを助けると誓う」と語った。
 オバマ氏は09年1月20日、ワシントンで就任式に臨み、ブッシュ現大統領につぐ第44代大統領になる。任期は13年1月までの4年間。民主党はクリントン前大統領以来、8年ぶりに政権を奪還する。
 4日午後11時(日本時間5日午後1時)すぎ、CNNがオバマ氏の当選を報じた。集計によると、オバマ氏は、激戦州のバージニアやフロリダ、オハイオ各州をはじめ、マケイン氏が最終盤に力を入れていた東部ペンシルベニア州も獲得。オバマ氏の地元イリノイのほか、西部の大規模州カリフォルニアなどで勝利を収め、獲得した選挙人数は、当選に必要な過半数270を大きく上回る338に達した。一方で、マケイン氏も南部サウスカロライナ州などを得たが、選挙人数は156にとどまっている。
 米メディアの出口調査によると、有権者にとって最も重要な争点は「経済」が62%で圧倒的だった。このうち約6割がオバマ氏を支持した。続いて、イラク政策が10%、テロとの戦いが9%、医療保険改革が9%、エネルギー政策が7%の順。経済の状況が「良くない」との回答は計93%。「良い」との回答は計6%にとどまり、政権党である共和党に逆風となった。年収1千万円以上の人々の間でも、52%がオバマ氏を支持した。
 最も重要な争点を「テロとの戦い」と回答した有権者のうち、86%はマケイン氏に投票した。今回初めて投票した人のうち72%はオバマ氏を支持しており、マケイン氏支持は27%にとどまった。
 人種別にみると、白人男性の55%、白人女性の51%がマケイン氏に投票した。一方で、黒人の男女の96%はオバマ氏に票を投じた。ヒスパニックも、男性の65%、女性の70%がオバマ氏に投票。CNNによると、有権者の2割が「人種問題は投票の際、重要だった」と答えたが、そのうち55%はオバマ氏、44%がマケイン氏に票を投じた。人種問題が重要でないと回答した8割の中でも、オバマ氏が53%対44%で上回った。
 オバマ氏は集会の動員などにインターネットを駆使し、若者の政治への関心を高めた。草の根の100ドル(約1万円)以下の個人献金を広く集め、オバマ陣営への献金は過去最高の約6億ドル超に達した。本選挙ではこうした資金力を生かしてテレビ広告を大々的に展開し、約8400万ドルの公的助成金を中心に戦うマケイン氏を突き放した。
 共和党内では「一匹おおかみ」的な存在のマケイン氏は、同党初の女性副大統領候補としてペイリン・アラスカ州知事(44)を起用し、党内保守派の支持を固めた。だが、ペイリン氏の知識不足や風変わりな発言がテレビなどを通じて浸透し、無党派層の支持離れを招いた。
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2、オバマ氏勝利、金融危機克服へ希望託す
                          2008年11月5日 日経
 【ワシントン=米山雄介】米国の新しい指導者を決める大統領選は、4日の投開票の結果、民主党のバラク・オバマ候補(47)が勝利した。イラク戦争や経済格差への不満を背景に、一貫して米国の「変革」を訴えた戦略が奏功。未曽有の金融危機で経済が最大の争点に浮上したこともあり、政策転換への期待が支持を押し上げた。世界経済が底割れの危機に直面する中、米経済の再生が次期大統領としての最優先課題となる。
 「米国に変革をもたらす」。2007年2月の出馬宣言以来、2年近くに及ぶ選挙戦でオバマ候補は「閉塞(へいそく)感に満ちた政治を変える」と主張。人種や党派による分裂を超えた「1つの国民」としての団結を呼びかけてきた。そのメッセージが有権者の心をとらえたのは、景気が急速に悪化、競争や経済格差を前提とした繁栄への夢や希望が色あせたためだ。 (16:00)

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3、<米大統領選>オバマ氏が当選 史上初の黒人
(                     毎日新聞 - 11月05日 11:41
 【ワシントン及川正也】米大統領選は4日、投開票された。米メディアの集計によると、民主党候補バラク・オバマ上院議員(47)が激戦の中西部オハイオ州や南部バージニア、フロリダ両州などを制し、獲得選挙人数を過半数(270)を大きく上回る333として勝利した。民主党は8年ぶりに政権の座に返り咲く。共和党候補ジョン・マケイン上院議員(72)は地元集会で「長い旅だった。オバマ氏を祝福する」と敗北を認めた。

 黒人大統領の誕生は1776年の建国以来初めて。最大争点になった経済問題やイラク戦争の不手際などで、2期8年のブッシュ共和党政権の責任が厳しく問われる結果となった。オバマ氏は副大統領候補のジョゼフ・バイデン上院議員(65)とともに09年1月20日に正式就任する。

 9月の金融危機を機に経済問題が選挙の一大争点となった。オバマ氏がブッシュ政権からの転換を訴え、「変革」のうねりを巻き起こした。マケイン氏は金融危機をめぐる「反ブッシュ」世論の直撃を受け、終盤で失速した。オバマ氏は差し迫った課題である経済対策に加え、国際社会での米国の指導力回復を目指すことになる。

 4日深夜(日本時間5日昼過ぎ)までのCNNテレビなど米メディアの集計によると、オバマ氏は04年大統領選でブッシュ大統領が勝利したオハイオ、バージニア、西部ニューメキシコなどを奪還した。バージニア州での民主党勝利は1964年以来44年ぶり。激戦の東部ペンシルベニアや中西部ミシガンなど激戦州で躍進し、獲得選挙人数を333に伸ばした。

 マケイン氏は激戦州のウェストバージニア州などに加え、テネシー州など共和党地盤の南部諸州を制したが、獲得選挙人数は155にとどまっている。

 ケニア人の父と米国人の白人の母の間に生まれたオバマ氏はアフリカからの奴隷を起源とする黒人とは出自を異にする。支持基盤の黒人や若者に加え白人層にも一定の支持を広げたことが勝因となった。1863年の奴隷解放宣言以降も残る人種差別の壁を乗り越えたことで、米社会は画期的な節目を迎えた。現職上院議員から大統領への転出は1961年のケネディ大統領(民主党)以来。47歳での就任は史上5番目の若さ。

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4、米大統領にオバマ氏、黒人で初…民主8年ぶりに政権奪回   
                    2008年11月5日14時03分 読売新聞
 【ワシントン=五十嵐文】米大統領選は4日夜(日本時間5日朝)、全米各地で順次、開票が行われ、民主党のバラク・オバマ上院議員(47)が共和党のジョン・マケイン上院議員(72)を破り大勝した。
 オバマ氏は来年1月20日、第44代大統領に就任、米史上初の黒人大統領が誕生する。大統領就任時43歳だったジョン・F・ケネディ、46歳だったビル・クリントン両氏に続き、戦後では3番目に若い大統領となる。副大統領にはジョゼフ・バイデン上院議員(65)が就任する。
 6年目に突入したイラク戦争や金融危機で米社会に閉塞(へいそく)感が充満する中、「変革」を訴えたオバマ氏に期待が集中し、人種の壁を打ち破った。民主党の政権奪回は、クリントン政権(1993〜2001年)以来、8年ぶりとなる。民主党は、大統領選と同時に行われた上下両院選のうち上院でも過半数を維持した。
 オバマ氏は、04年の前回選挙で共和党が勝利したフロリダ、オハイオ、ニューメキシコなどの各州を制したほか、44年ぶりにバージニア州も奪還。NBCテレビによると4日午後11時(日本時間5日午後1時)過ぎの時点で、選挙人数は当選に必要な270人を大きく上回る333人に達した。
 オバマ氏は選挙戦で、米史上最低レベルの支持率にあえぐブッシュ政権との違いを強調した。外交ではイラク駐留米軍の早期撤退を公約。9月に金融危機が深刻化し、経済の立て直しが最大の争点となると、金融市場に対する規制強化など暮らしに配慮した政策を打ち出し、支持を拡大した。
 ケニア出身の黒人の父、米国人の白人の母の間に生まれたオバマ氏は、人種や党派の違いを超えた「統合」を訴え、若者を中心に「オバマブーム」を巻き起こした。
(2008年11月5日14時03分 読売新聞)

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5、【米大統領選】高い信頼度 金融危機が決定打
                      2008.11.5 18:24  産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】1930年代の大恐慌以来最大の金融危機は、オバマ上院議員が大統領選を制する決定打となった。マケイン上院議員は、得意の外交・安保分野で力を発揮し切れず、最終盤でも挽回できなかった。オバマ氏への高い支持は、来年誕生する新政権の経済のかじ取りへの強い期待でもある。
 米CNNの出口調査では有権者の62%が「経済」を最大争点と答え、「イラク戦争」は10%にとどまった。事前の世論調査で示されたオバマ氏の経済運営への高い信頼度が、投票行動に反映された格好だ。
 両候補の支持率が各世論調査で拮抗(きっこう)し、マケイン氏がリードした調査もあった選挙戦終盤の9月中旬に、米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)。金融危機の深刻化はマケイン陣営には大きな誤算で、初の黒人大統領誕生の原動力となった点は否めない。
 前回2004年にブッシュ大統領を支持した大票田のフロリダ、ネバダ、オハイオの3州もオバマ氏が獲得したが、3州はローン焦げ付きによる住宅差し押さえが全米で最も多発している地域。サブプライム危機がオバマ氏の追い風となったことを物語っている。
 ブルッキングス研究所のピエトロ・ニボラ上級研究員は「金融危機はイラク戦争など他の争点をすべて吹き飛ばした。マケイン陣営は例えば、オバマ氏と過激派組織(ウィリアム・エアーズ氏ら)との関係を攻撃しようと試みたが、成功しなかった」と指摘する。
マケイン氏は、自身が唱えたイラク増派成功など安保・外交分野の実績を生かせず、「金融危機も好機にできなかった」(ピエトロ氏)。9月下旬に金融安定化法案の政府・議会の交渉に選挙戦を一時中止して介入したことも、マケイン氏の性急さを印象づけてしまったからだ。
 最終盤、マケイン氏は中間層への減税と国民皆保険を実現するため年収25万ドル以上の富裕層を対象に増税するというオバマ氏の税制に絞り反撃に出た。オバマ氏が有権者に「富を周りに分配したら皆のためになる」と漏らした発言を引き合いに、「社会主義的」と批判し、オバマ氏の「リベラル色」に不安を持つ一部有権者の揺さぶりに成功したが、大きな支持奪還には至らなかった。
 ただし、オバマ氏に勝利の美酒に酔う時間はない。大統領就任時の来年1月下旬には、米景気の後退は一段と進むはずだ。世界同時不況を阻止するためにも、追加景気対策の実施や金融システム安定化など早急な行動が迫られている。


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6、オバマ候補が勝利、米連邦議会選挙も民主党圧勝
                           11月05日ロイター

 [ワシントン 4日 ロイター] 米メディアによると、4日投票が行われた2008年の米大統領選挙は、民主党候補のオバマ上院議員(47)が共和党候補のマケイン上院議員(72)に勝利し、米国初の黒人大統領が誕生することになった。
 オバマ氏は来年1月20日に第44代大統領に就任する。
 次期大統領は今後4年間、経済危機やイラク問題、医療制度改革などのさまざまな課題と取り組むことになる。
 キング牧師が人種差別の撤廃を目指す公民権運動を展開して45年後にケニア出身の黒人を父に持つオバマ氏の大統領就任が決まったことは、米国の歴史にとっても重要な意味を持つ。
 選挙戦の終盤になって、金融危機に対するオバマ氏のリーダーシップや提案が有権者から評価され、支持率が上昇した。出口調査では、有権者の6割が最優先課題として経済問題を挙げた。
 マケイン氏は前回04年の大統領選で勝敗を決した場所となったオハイオ州を落としたほか、1964年以降共和党の牙城だったバージニア州を切り崩されるなど、一連の激戦州での敗北が響き、勝利に届かなかった。
 マケイン氏はフェニックスで支持者を前に演説し、オバマ氏に祝意を表明した上で、「われわれは長い旅の終着点にきた。私を支持してくれたすべての国民に対し、私と共にオバマ氏を祝するばかりでなく、次期大統領に私たちの気持ちを示してほしい」と述べた。
 大統領選と同時に実施された連邦議会選挙でも、改選前に上下両院で過半数を占めていた民主党がさらに議席を上積みしたが、上院では共和党によるフィリバスター(議事妨害)を阻止できる安定多数の60議席を獲得には至らないもよう。
 上院選では100議席(現有議席は民主党51、共和党49)のうち35議席が改選対象。その現有議席は民主党12、共和党23だったが、民主党は現時点で4議席増やし、55議席を確保した。
 共和党の有力議員では、ノースカロライナ州で、1996年の大統領選に立候補したドール候補の妻である共和党のエリザベス・ドール議員が議席を失ったほか、ニューハンプシャー州では、ジョン・スヌヌ議員が落選した。
 ただ、民主党が主な標的としていた共和党院内総務のマコネル議員は、ケンタッキー州で議席を死守した。
 民主党は435議席すべてが改選された下院(現有議席は民主党235、共和党199、欠員1)でも共和党を25%上回る議席を獲得し、圧倒的な勝利を収めた。

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7、次期米政権、深刻な経済問題に取り組むことに
                       2008/11/05 17:44 世界日報
 【フェニックス 5日 ロイター】 2008年の米大統領選の勝利者は、1930年代以来最も深刻な経済問題に取り組むことになる。次期大統領には、社会保障やエネルギーの対外依存解消といった問題に加え、金融危機の連鎖、住宅市場低迷や米金融市場混乱への対応が求められる。
 大統領選の勝利が確実となった民主党のオバマ氏について、アナリストは、来年1月20日の就任後に直面する最大の試練は深刻かつ長期化する可能性がある不況だと指摘する。
 元国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストで、大統領選挙戦ではオバマ陣営に何度か助言したことのあるケネス・ロゴフ氏は「米国は深刻なリセッションに陥っている。大統領就任時の状況は、いまと同様ないしさらに悪くなっている可能性がある。この問題は、他の問題を差し置いても対応する緊急性を持つことになる」と述べた、
 経済アナリストの多くが期待するのは、オバマ氏が早期、おそらく金融危機について協議するためワシントンで11月15日に開催される緊急首脳会議までに経済チームを編成することだ。
 すでに財務長官候補には、ボルカー元米連邦準備理事会(FRB)議長、サマーズ元財務長官、ガイトナーNY連銀総裁の名前が挙がっている。 
 <第2次景気対策> 
 経済危機により良く対応できるとの見方で支持を広げたオバマ氏は、インフラ投資や追加戻し減税などを盛り込んだ1750億ドル規模の第2次景気対策を打ち出している。
 オバマ陣営で経済政策を担当するブライアン・ディーズ氏は、ロイターに「それがオバマ氏が直ちに実施する必要があると考えていることだ」と述べている。
 共和党マケイン陣営は、オバマ氏の経済対策を増税路線への回帰と批判したが、オバマ氏は米国には共和党にさらに4年間政権をとらせる余裕はないと反論していた。
 エコノミストやオバマ陣営関係者からは、次期政権の政策課題でリセッションは重要な位置を占めるだろうが、経済面ではそれ以外に目先的、長期的な課題があり、それらの優先度も高くなるとの見方がでている。
 オバマ氏は、金融分野の規制改革、医療費削減、温暖化問題への取り組みなどを公約に掲げている。しかし、金融危機対策やイラク・アフガニスタン関連費用で財源は限られており、多くは達成困難な公算。
 ハーバード大学ケネディ・スクールのジェフリー・フランケル氏は「エネルギーの対外依存脱却は基本的に達成不可能。財財政均衡も達成不可能。リセッション回避は遅きに失した話だ」と述べている。
 オバマ陣営のディーズ氏は、オバマ氏が医療改革を後回しにすることはない、としている。
 「オバマ氏は、米国の財政面の長期的課題が医療制度問題と緊密に結びついており、野心的な改革を待っている余裕はないと理解している」と述べた。
 ( Jeff Mason 記者;翻訳 武藤邦子)
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石田ふたみ