2008年10月11日(土) |
米ビッグ3の動向・実体経済に深刻な影 |
世界規模に拡大した金融危機が、米大手自動車メーカー3社(ビッグ3)を直撃している。株価が一切を物語る。
1、GMは9月26日に10ドル割れ。10月9日には4ドル台まで急落し、市場で飛び交う「会社更生手続きを進めるのではないか」との憶測の火消しにGM側は追われ続けた 2、フォードの株価は10日、1ドル台まで落ち込み、資金繰りに行き詰まる恐れが出てきた。マツダ株はフォードにとっては貴重な虎の子だが、運転資金捻出(ねんしゅつ)のために手放さざるを得なくなった。
このような状態になると、正常な金融環境でも民間の金融機関の借り入れは出来ない。この2社を潰さないためには、米政府金融機関の役割を果たす必要がでるという異常事態である。
ビッグ3:ガケっ縁 販売も株価も急落 毎日新聞 2008年10月11日 22時20分 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ビッグ3:ガケっ縁 販売も株価も急落 毎日新聞 2008年10月11日 22時20分 世界規模に拡大した金融危機が、米大手自動車メーカー3社(ビッグ3)を直撃している。10日、最大手ゼネラル・モーターズ(GM)による3位クライスラーの買収協議が表面化した。さらに2位フォードが傘下のマツダ株売却の検討に入った。生き残りをかけた再編、リストラを迫られるビッグ3。米メディアは「GMが米連邦準備制度理事会(FRB)に特別融資を求める公算」とも報じており、自力再建できるのかギリギリの局面が続いている。 GMは、証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)以降、きわめて厳しい事態に陥っていた。もともと低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に絡む不良資産を抱えて業績の悪化していた金融関連の元子会社GMACが、自動車ローンの大量の焦げ付きなどで経営危機に直面。GMの本業、自動車販売も「リーマン・ショック」で客足が途絶え、大幅に落ち込んだ。 以前から低水準だった株価は一段と下落し、9月26日に10ドル割れ。10月9日には4ドル台まで急落し、市場で飛び交う「会社更生手続きを進めるのではないか」との憶測の火消しにGM側は追われ続けた。GMはあえてビッグ3の一角、クライスラーの買収に打って出ることで起死回生を狙った形だが、先行きに明るい展望があるわけではなく、GMの苦境を救う手立てになるかは未知数だ。 マツダ株の売却に動いたフォード・モーターも、苦境に立たされているのはGMと同じ。フォードの株価は10日、1ドル台まで落ち込み、資金繰りに行き詰まる恐れが出てきた。マツダ株はフォードにとっては貴重な虎の子だが、運転資金捻出(ねんしゅつ)のために手放さざるを得なくなった。 金融危機の深刻化で、銀行の貸し渋り傾向が日に日に強まっており、GMもデトロイトの本社売却など資産の切り売りで難局打開を目指すが、資金繰りの展望は一向に開けていない。【ワシントン斉藤信宏】 ◇再編、日本にも影響 ビッグ3を中心にした自動車業界再編の動きは、日本メーカーにも影響を及ぼしている。 フォードのマツダ株売却は「手元資金を確保するための苦渋の判断」(大手自動車メーカー幹部)で、マツダの支配権を同業他社に握られないようにするため、マツダ自身やマツダの取引先への売却を当面は目指すとみられる。マツダと取引関係がある住友商事は「打診は来ていないが、あれば検討せざるを得ない」(首脳)とする。このため「同業の国内自動車メーカーは売却には絡まないのではないか」(大手)との見方が強い。 ただ、経営悪化に追い込まれるフォードが資金確保を優先し、「高い買収価格を示したところに売る」(大手証券)可能性も否定できない。特に今春、フォードから英ジャガーなどを買収したインドのタタ自動車を「有力候補」とみる声は多く、国内自動車メーカーからは「低価格車に強く、勢いのある新興国メーカーとマツダの技術力が結びつけば脅威だ」(大手)との懸念も出ている。 国内各社がマツダ株の行方以上に注目しているのが、GMとクライスラーとの合併交渉の行方。両社は現在、金融危機やガソリン高で、フォード以上の経営危機にひんしている。しかし、合併が実現すれば、世界販売台数でGMに肉薄していたトヨタ自動車を再び引き離す存在になる。規模の大きさを生かしたコスト削減も可能で、日本勢にとってこちらも脅威になりうる。「弱者連合にすぎない」との見方もある一方、「再び侮れない競争相手になるかもしれない」(中堅メーカー)との声も出ている。 特に日産自動車は、クライスラーと小型車などのOEM(相手先ブランドによる受託生産)供給で提携しており、過去には仏ルノーとともにGMやクライスラーと資本提携交渉をしたことから、「日産自動車・ルノー連合も負けじと合併交渉に名乗りを上げるのでは」(関係者)との観測は強い。ただ日産首脳は11日、「これだけ市場が揺らいでいる中では良い買い物とは言えない」と現時点での買収の可能性を否定した。【宮島寛、宇都宮裕一】 ◇ことば ビッグ3 米デトロイト市周辺に本社を置くゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、クライスラーの3大自動車メーカーの総称。20世紀の世界を代表する企業で、GMは一時、いすゞ自動車、富士重工業に出資し、スズキには現在も出資。フォードがマツダを傘下に収めるなど、日本メーカーへの影響力も大きい。いずれも大型車が主力のため、近年は景気減速やガソリン高の影響で販売が落ち込み、フォード、クライスラーは世界販売台数でトヨタ自動車に抜かれた。最近は「世界でも米国でもトップ3ではない」という意味から、「デトロイト3」と呼ばれることも多い 毎日新聞 2008年10月11日 22時20分(最終更新 10月11日 23時07分)
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